11、アジトを探せ(1)
ファントムたちは、消える前に行った。
「明日になればすべて分かりますよ」
ソロイはみんなに言った。
「じゃあ、さっさと宿を見つけて寝よう」
「この都市にもホテルがあるんじゃないか?」
「きっと金が足りなくて、追い出されるだろうよ」
「あっ、そうだったか」
自分の頭をペシッとたたいた。そういえば、だんだんひえてきたな。ついさっきまではひどく暑かったのに。
オレたちはとりあえず、ダイスの案内で格安の宿に向かう。
そこの宿は『アンティーク・ホテル』だ。なぜ宿なのにホテルっていう名が入ってるんだろう? 仲間たちも首をかしげている。
「まあアンティークには違いないな」
「私からしてみれば、ただのおんぼろ小屋よ」
「その意見、全面的に賛成だよ」
ゆっくりとこの宿の扉を開ける。そこに、じいさんが椅子に座っていた。
「こんにちは。泊まりたいのですが」
ソロイが老人に話しかける。すると、老人は話し始める。
「客はおぬしらだけじゃ。まさか、この宿の正体を見ぬいたか」
「えっ?」
じゃあ、ここは宿じゃないってのか?
「あんたは、何者だ?」
「ふっ。先におぬしらから名前を言うのじゃ」
めんどうなじいさんだな。順番に名前を紹介していく。
「オレはソレイユ・ネバル」
「ソロイ・グラブドだ」
「ダイス・ローザフです」
「私はソラ・ヘーレゴニーよ」
「エルフのサリィ・ハイブラクです」
じいさんはうなずき、一人ずつ指で示しながら言う。
「ソレイユ。一人目のジュエル・ハンターズであり、OSGとESB、そして魔法剣をもった戦士じゃな。そしてソロイはソレイユと同じウルベーン領地の出身のはずじゃ。ダイスは二人目のジュエル・ハンターズで、弓が使え、足も速い。次にソラ。やっぱり国を背負う王女じゃったか。最後はサリィで、三人目のジュエル・ハンターズ」
このじいさん、変だ。何で俺たちの情報を知ってるんだよ。
「わしの名は、ドル・スペラーじゃ」
ソロイはガクガクと震えながら言う。
「あ、あなたはいったい……。そしてここはどこなんですか……」
ドルはにやっと笑う。
「本当は秘密の暗号が必要なんじゃが、ジュエル・ハンターズと王女が来たんなら、話は別じゃ」
そう告げると、奥に入ってしまった。とまどいながらも、オレたちはついていく。
なんとそこは、超豪華な部屋だったのだ。温度もちょうどよく、ありえないほど広い。
「あんな小さい小屋にこんな空間が?」
するとドルは説明する。
「魔法じゃよ。驚異的な魔力で、半年かけて作られた隠れ家なんじゃ」
絶対に、絶対に、おかしいとしか思えない。この老人、正体はなんなんだろう?
「ここにひとまず座ってくれ」
見ると、会議席のような並びの椅子とテーブルが置いてあった。適当に座り、ドルが話すのを待つ。
一分たち、ようやく口を開けた。
「おぬしらは明日、ファントムのアジトへ行くんじゃろう?」
オレはそっけなく答える。
「ああ、そうだ」
「ならば、これをソラにやるぞ」
もらったのは、魔法の紙だった。
「これ、何ですか?」
「ファントムを弱らせる最強に近い呪文が入っておる。なにせ、完全体のファントムは強すぎるからな」
「なんと言えばいいんですか」
「こう言え。『ラギージア・ゴア・ドラクス』とな」
「はい」
「必ず、ファントムに使え。さもないと、ファントムに殺されるからな。手下は少ないが、『双子』がやっかいだ」
「双子?」
「そうだ。一人は戦士、もう一人は魔術師で、おもしろい魔法を唱えてくるから、気をつけるんじゃぞ」
「わかりました」
「さあ、今夜はここで休むといい。食事、風呂、ベットはもちろんあるから、ゆっくりしろ」
そう言って、立ち去ろうとした。だが、オレが引き止める。
「待った! あんたは、味方か、敵か?」
「味方だ。ルアンパバーンに行けば、すべてがはっきりするぞ」
行ってしまった。ルアンパバーンか。それに味方だって言ってたから、少し安心したぜ。
「ソレイユさん! あのドス老人[正しくはドル老人]は何ですか!」
「ルアンパバーンですべてがはっきりするって言ってたぞ」
「ルアンパバーン? 伝説がうずまく賢者の村ですか?」
「よく知ってるな。だけど、それはおいといて、まず現実的な問題に目を向けろ」
「ファントムですね」
「そうだ」
「じゃあ、明日に備えて早めに眠りましょう。ファントムの分身は、明日になればすべて分かるって断言しました」
「まず飯だ!」
ソロイはそう言って、食べ物があるテーブルに突進していった。やれやれ。
オレたちはすでに用意されていた食べ物に疑問を感じたが、腹がすいてたので食った。その後、風呂に入ってベットで心地よく眠りについた。




