9、砂漠の宝石(2)
「久しぶりだ、ソレイユ。おっ、新しい仲間も増えたようだな。ナオ・チャンの言っていた通りだ」
「もう報告を聞いたのか」
「ああ。もう少しで、帝王様の秘策が成功したんだが、ついに『ヘーレゴニーの五騎士』を知ってしまったのだな」
「なぜここに来た」
「お前らを捕らえるためだ。殺しはしない」
「捕らえてどうするつもりだ」
「帝王様の夢を実現させるのだ。八種族の統一! 宝石を手に入れられるのはジュエル・ハンターズだけだが、利用できるのは力を持つものだ。帝王様こそふさわしいと思わないのか!」
「ふざけないで!」
言ったのは、ソラだった。ウシュナルクはにらみつける。
「この女が国王の娘か。生きているとやっかいだから、親の前で殺してやろう。どんな顔をするかな。ふふふ」
「あなたたちなんかに、私たちは負けません。希望はまだ残っている。ジュエル・ハンターズという希望が!」
「ならば、その希望を我ら帝王軍が打ちくだいてやろう。デーモンども、やつらを生け捕りにするのだ」
「グゴォー」
一斉に剣を構えて、こっちに来た。デーモンを殺そうとしたが、ウシュナルクの剣で防がれた。
「ソレイユ。お前の相手は私がしよう」
仲間たちは、デーモンの数におされていた。オレもこいつを切って、決着をつけてやる。
「これを受けてみろ!」
まずは斜めに剣を動かし、かがみこんで足を切りつけた。しかし、ジャンプしてよけられたが、予想していたぜ!
「ライジングタワー!」
「うぐっ!」
ジャンプした状態で回避できず、電撃の柱に見事当たった。
「魔法もずいぶん使えるようになったな」
そして後ろに回って回転切りをする。防がれたが、重みのある一撃で少し相手の動きが乱れた。その次に剣で切るかと見せかけて、顔にけりをいれた。
「戦いの戦術もなかなかだ」
フットワークを生かしてウシュナルクの背中に移動する。ふりむくスキも与えず、思いっきり背中にOSGの拳で殴った。ふっとびながらも[ウシュナルクは]しゃべり続けている。
「道具の長所を百パーセント引き出している」
さらに上にジャンプ。まだふっとんで空中にいるウシュナルクにねらいを定める。
「そしてなにより」
ズドドーン! 勢いにまかせて殴り、地面にたたきつけた。
「決してあきらめないその勇気!」
しゃべっているが、実際には体が全く動いていなかった。
「負けを認めるか、ウシュナルク?」
「まだまだ」
ちくしょう。あれだけダメージくらったのに、血を流しながらも立ち上がりやがった。
「私もそろそろ本気を出そう」
エネルギーが一気にふきでた。やばいぞ!
「ドラクス!」
ウシュナルクの上に円盤ができて、そこに力がたまっていく。
「させるか! ミラーブロック!」
オレの前に金色の鏡が出現した。そこに、ウシュナルクの破壊光線が炸裂する。
「ふんばれ、ミラーブロック!」
「ムダだ。この光線はすべてを破壊しつくす」
ガガガガガ! やばい、鏡が負けてしまう!
「負けるなー!!」
すると、願いが通じたのか、壊れる寸前でドラクスをはね返した。
「何? くそぉーっ!」
ギューン! 逆に最強クラスの呪文をくらったウシュナルクはブスブスと煙をあげながら動かなくなった。
「よし、たおしたぜ」
だが、まだ数匹のデーモンが残っているじゃないか。
「助けに来たぜ、みんなー」
「遅いぞ、ソレイユ」
「もっと早く、変な人をたおしてよー」
「あと四匹、そのうち強力なのが二匹いますよ」
「私の魔法と連携するように攻撃してください」
「ああ、まかせとけ」
「グラビムド!」
重力で、デーモンたちの足が地面にくっついて、動けなくなった。
「ライジングビーム!」
おお、ドラクスと同じような呪文か。円盤が頭上に出てきた。そこから雷光線が発射された。
「グォーッ」
うまい具合に四匹全部に当たり、バタンと倒れた。
「やった!」
幸い、けがをした者はいなかった。オレがウシュナルクと戦ってる間、仲間たちはずいぶんデーモンを殺してくれたようだ。
「がんばったな、みんな」
「じゃあ、宝石を取ってください、ソレイユさんとサリィさん」
「ああ。行くか、サリィ」
「ええ」
「いや、待つんだ」
ソロイがある方向を指差して言った。ウシュナルクが倒れていた場所のはずだ。そこを見てみる。
なんと、ウシュナルクは立っていた。
「バカな! あれだけ痛みつけてやったのに」
「あいにく私はダメージをうけにくい体を持っている。だが、それでも少々体力が残ってない」
[オレは]剣先を相手の方に向けた。
「今すぐ殺してやろうか?」
「お前らをみくびっていたようだ。報告よりも、実力が上がっている」
「ソレイユ、あいつをたたき切って!」
「うおおおー」
ESBのスピードを生かし、目にも止まらぬ速さでウシュナルクの目の前にきて、剣を振った。だが、切れる瞬間にやつの姿が消えてしまった。
「くそっ、逃げられたか」
ソロイがくやしそうに言う。それにサリィがつけ加える。
「でも、私たちの完全勝利のようね」
「ああ。きっと帝王もさすがに驚くだろうな。ウシュナルクにデーモン数十体だぜ? オレたち、知らない間に力をつけていたんだな」
いきなり、ソラがオレの腕に抱きついた。
「でも、一番活躍したのはソレイユだよ。あんなにすごい魔法が使えるなんて、ちょっと尊敬しちゃう」
「それに剣どおしの戦いもすごかったぞ」
「だって、暇さえあればお前と剣を交わせているんだ。上達しないわけ、ないじゃん」
「ところで、早く宝石をとって下さいよ」
「へーい」
サリィと宝石に近づく。黒色の光はオレたちが近くに来るたびに輝きが強くなっていた。
「せーので触れるぞ」
「わかったわ」
「せーの!」
触れた直後、周りの景色が変わった。岩だらけの景色から、何もない、まっ白な空間だった。
しばらくすると、上から天使が降りてきた。
三人目のジュエル・ハンターズ
ダイス・ローザフを仲間にしたのですね
そして今
二つ目の宝石を手に入れました
残る宝石はあと六つ
残るジュエル・ハンターズはあと五人です
世界の危機です
なんとしても宝石を……
「待ってくれ。あんたの名前は!」
だが、天使が答える前に現実世界に戻ってしまった。
「ええっ、僕がジュエル・ハンターズ?」
「そうみたいだ。使命を受けてくれないか?」
ダイスは少し悩んだが、決断は早かった。
「わかりました」




