3、出会い、そして別れ
暗い通路を進むオレの足どりは重かった。ちくしょう。オレ一人で帝王に立ち向かえってのか?
くそったれのくそったれ。
オレは立ち止まることなく、黙々と歩き続けた。幸いなことに道は一本しかなく、迷わずに一歩、また一歩と歩く。途中、広い部屋に行き着いたり、階段もあったりした。また、足元には人間のものと思われる骨が落ちていたりした。
長い間歩いた時のことだ。
「誰だ?」
いきなりの声だから、返事をするのが少しおくれてしまった。こんな場所に、人が? きっと、帝王の手下だろう。オレは気の利く返事をした。
「けっ。帝王の手下がこんな所で何やってんだ?」
すると、また声がした。
「ウム、誤解をふきとばすためにも、姿を現さねばならぬようだな」
姿を現したのは、四〇代前半ぐらいの男だ。背の高さは、オレより少し高いくらいだ。手にはスタッフ[杖?]がにぎられている。魔術師か? そんなオレの考えを見通しているかのように答える。
「そう。私は魔術師だ。ここに来た目的はやはり帝王のたいじか。実は私も数人の仲間と昨日まではいっしょにいたんだ。君たちと同じように、帝王を倒しにね。しかし、精鋭部隊によって仲間は全員死んだ。残り少ない魔法でなんとかここにテレポートしてきて、今日まで休んでたってわけだ」
「へぇ、なるほど。実はオレの仲間も、ポロミウスっていう精鋭部隊に殺されたんだ。四の海で死んだ仲間もいるし」
「なるほど、私と同じだな。君とは気が合いそうだ」
「ところで、あんたの名前は何だ?」
すると、魔術師は困ったように言った。
「名前はもう捨てたよ。今まで偽名を使っていたんだが……そうだな、バルダと呼んでくれればいいよ」
「そうか、バルダ。オレはネバル家に生まれた……」
「ちょっと、静かにしててくれ。誰かくる」
オレは、あわてて口をふさいだ。こんな場所に来るやつは、帝王の手下以外考えられない。バルダは、「ちょっと見てくる」と言い、行ってしまった。
「どうだった?」
「帝王の手下だ。あと数分で、ここに着く。しかもその手下というのが、三人しかいないといわれている特殊部隊のうちの一人だ。はやくここから移動しなくてはならない。相手をすることもできるが、帝王の次に強いやつだ。逃げるほかに勝ち目はない」
バルダは落ち着きのない声で言った。特殊部隊? まだそんなやつらがいるってのかよ! そんな時、ふと声がした。
「私は不死身だ。いつまでもお前を追いかけて、殺してやる」
なんと、いきなり姿を現したのは、ポロミウスだった。オレは言う。
「なぜだ? オレが頭をぶったぎってやったのに!」
「ははは! あんな甘い攻撃でこの私がやられると思うか? 今度はお前にこの苦痛を与えてやる」
「ちくしょう、よりによって、こんな時に! バルダ、どうする?」
「来る」
本当だ、来た。前方から、四メートルはある怪物が、のしのしと歩いてくる。バルダは、呪文を唱える。
「テレポート! ファーザン・ドウアーへ!」
ま、まさか。バルダ?
「バ、バルダ! ありがとう!」
「ははは。自分の故郷に戻ったら、英雄伝説として、私やお前の体験を後世に伝えてくれたまえ。じゃあ、さようなら!」
テレポートによって、オレは助かるだろう。しかし、バルダは?




