表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【黒歴史】ジュエル・ハンターズ ~八つの宝石~  作者: 水野 洸也
第二章 運命、選ばれし存在
22/53

19、最凶の敵(後編)

 ハドルゲドンは、怒りにまかせてこっちに飛んできた。そして、その勢いでオレに拳を振り下ろした。


「おりゃあーっ!」


 オレも負けじと、両手をにぎってやつのでかいグーにダブルパンチをおみまいした。ドドーン! OSGがなかったら、オレはこの世とおさらばしていただろう。これをつけてても、死ぬほど痛い。肩の関節がハズレそうな衝撃をくらったが、それは向こうも同じだったようだ。力は互角のようだな。


「くらえっ!」


 オレとハドルゲドンの奮闘のスキに、やつの背中を兄さんが切りつけた。だが、なぜか兄さんの方がふっとばされた。やつの背中は無傷だ。


「くそっ、ドラゴンスケイルか!」

「そうだ。だから、この鋼鉄の鱗はすべての攻撃を無効化するのだ」

「カオスビーム!」


 兄さんとハドルゲドンが話している時間を使って、ナオが呪文でビームを発射した。だが、それが当たっても、まったく平気そうだ。


「ムダだ。私と同じくらいのパワーを当てないと、ドラゴンスケイルは攻略できないぞ?」


 同じパワーか。オレは黙ってやつの後方にむかう。そして、両方の拳を後ろにひいた。ハドルゲドンがオレの方を見て、顔を恐怖にゆがめた瞬間、ひいた拳が背中の鱗に当たり、すさまじい音を立てながら、ドラゴンスケイルは粉々にくだけちった。


「グオォオー!」


 だが、皮膚までダメージを与える事はできなかったようだ。ハドルゲドンはすぐに体勢を立て直し、空へ上昇した。そして、大きな口で思いっきり息を吸いこんだ。


「火をふくつもりだ! 逃げろ!」


 だが、ソロイの叫び声よりも速いブレスが、俺たちの方へとんでくる。


「もうだめだナンー」


 だが、ちょうど兄さんが呪文を唱え終わった。


「シェン・ポラーレオ!」


 すると、兄さんの手から変な渦ができた。炎はそれに当たると、角度がゆがみ、違う方向に行って、壁に当たった。


「兄さん……すごいや……」


 オレが感嘆していると、やつは翼を広げ、上から急降下してきた。次はサリィの番だ。


「グラビム!」


 何の呪文だ? すると突然やつは空中でバランスを崩し、地面に勢いよく墜落した。


「私はこの呪文でドラゴンの片翼に数十倍の重力をかけました。走っているときに片足だけ重りをつけるようなものです。そのうえすごいスピードでしたから、バランスを失うのも当然です」


 ふむ、なるほど。固い岩に叩きつけられたハドルゲドンは、今も重力にてこずっているようだ。しかし、残念なことにやつの体は異常なしだった。それを見たサリィは顔をしかめ、呪文を唱え始める。


「ソレイユ。私が呪文を使ったら、ドラゴンを攻撃しに行ってください。他の者はダメージを与えられないから」


 オレがおろおろしていると、兄さんが話しかけてきた。


「ソレイユ、心配するな。サリィを信じて、やつを殺して来い。きっと彼女なりの策があるんだろう」

「……分かったよ、兄さん」

「それとも、オレにOSGを渡してくれれば、お前は行かなくて済むが?」

「絶対に貨さねーぞ! どうせ、返してくれないんだから」


 オレが反論すると、兄さんはけらけら笑いながら後ろに下がった。前にいるのは、オレ一人だ。サリィの声がした。


「ギガ・グラビム!」

「ギャアアアッ!」


 今度は、やつの体全体に重力がかかったようだ。いいのか? 行っていいのか?


「早く行け、このうすのろ」


 ザーロックの言葉で、恐れがふっと消えた。言い返してこそ、ソレイユ・ネバルだ。


「ドラゴン殺したら、お前の脳天をかち割ってやるからなー!」

「ははは! ドラゴンを殺さないと、オレを殺す資格はないぞ」

「当たり前だ! オレを誰だと思ってる!」

「ソレイユ・ネバル」


 うう、負けた。ザーロックの意地悪を聞き流し、まっすぐハドルゲドンに向かって走る。だが、すぐに足を止めた。いや、無意識に止まってしまったんだ。後ろをふりかえると、仲間たちもびっくりしている。


 やつは、立ち上がっていたのだ。


「この程度の……呪文で……私を……封じることはできぬ」


 そしてドラゴンは静かに呪文を唱えた。


「アンチマジック」


 すると、やつを苦しめていた重力が消えた。兄さんがくやしそうに言う。


「やつめ、こんな高度な呪文が使えるとは!」


 ハドルゲドンはその言葉は無視した。まるで虫ケラを見るような目でオレを見おろしている。


「まずい……ソレイユが危ない!」


 仲間が走ってくるが、もうおそい。やつは息を吸った。火をふこうとしているのか。さっきまでの自信は何だったんだ? 今は足がガクガクふるえて動けないじゃないか。オレはその場にへなへなと座ってしまった。ドラゴンはにやりと笑い、炎をとばした。火がこっちに迫ってくる。ファイアーボールのようなものが、無慈悲に焼きつくそうとしている。オレの人生、ここで終わりか。死を待った次の瞬間だ。


 当たる寸前、何かにはじきかえされて消えてしまった。


 よく見ると、オレの周りをバリアーが包んでいる。何が何だかさっぱり分からない。仲間たちが守ってないのは確かだ。あんな短い時間で呪文を唱え終われるはずがないんだ。だとしたら、いったい?


 そのとき、この部屋の人口で声がした。


「やれやれ。まにあってよかったよ」


 そこに立っていたのは……サリィを救出する前に出会った、シュナイドとかいう男だったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ