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【黒歴史】ジュエル・ハンターズ ~八つの宝石~  作者: 水野 洸也
第二章 運命、選ばれし存在
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17、謎と魔物と出会いと結晶(3)

 オレたちが立っているのは、一つ目の『?』と書いてあった、とても謎めいた場所だ。ソロイの指摘通り、結界はなくなっていた。


「入るナンよ、みんな」


 ゆっくりと中に入る。そこはずいぶんと明るい部屋だった。


 真ん中に、頭に角があって背中に羽がある美しい白馬[がいたの]だった。


「ヒヒーン!」


 馬が声を出すと、入り口に結界ができた。これでオレたちは、こいつと戦うしか道は残っていない。


「嫌な展開になりそうだな」


 ザーロックのつばを飲みこむ音が聞こえた。そして白馬がオレの方に向かって突進してきた!


「よーし、死んでみよう!」


 白馬が角を突き出す。しかしオレはそれを受け流して、足を切ろうとする。だがやつは飛んでそれをよけた。


「ショック!」


 ナオの呪文で、雷が白馬の全身に流れた。しびれて動けないようだ。その間にサリィの呪文が完成する。


「フライ!」

「うおおーっ!」


 うわっ。ソロイがとんでるぞ? 彼は自分の剣を白馬の方に向けて切りつけた。


「死ねー!」


 ザクッ。しかし切りつけたのは足二本だけだ。切りつける瞬間に体をひねって攻撃をかわそうとしたんだな。白馬は血を流しながらゆっくりと降りてくる。そこにソロイが容赦なく切り捨てた。剣に当たったのは、首のようだ。白馬は地面に倒れると、なぜか消えてしまった[現実に存在する生き物ではなかったのだろう]。その場所で何かが光っている。ナオがそれを拾った。


「これは……結晶ナンか?」

「そうみたいだ。私の知識では、それはエレクトラムというものだ。主に大切な場所の鍵として利用されて、五つ集めないと魔力を発揮しないとか。ソロイ、地図で『?』はいくつある?」

「五つです。……ということは!」


 オレが言葉をつなげる。


「全て集めれば、財宝が手に入るってことだな、ザーロック?」

「そうだ」


 いいや、ザーロックは答えていなかった。返答したのは、オレの兄、ファース・ネバルだったのだ。




「兄さん、久しぶりだな!」

「ああ、お前が十三歳の時以来だな。あの頃とずいぶん変わったようだが?」

「そりゃあ、四年もすれば成長するよ。ところで、これを見てくれ。OSGにライジングソードだぜ!」


 ファースはため息をつく。


「お前にそれが扱えるのか? いっそのこと、オレの剣とガントレット、交換してくれよ」

「やーだよ。そんなオンボロの使い古したやつなんて」


 すると兄さんはにやっと笑う。


「ところで、この仲間はどうしたんだ?」


 オレたちは順々に自己紹介していった。最後に兄さんが自分の名前を言うと、ザーロックは興奮した。


「あ、あなたはもしや、死域といわれるブラット・ワールドで、血の神といわれる怪物、ガーステンを一人で倒したという、伝説の魔法剣士、ファース・ネバルですか!」

「まあ、そういう事だな」

「な、なあザーロック、ターナグの町でいっていた、ブラット・ワールドの伝説って……」

「この方の伝説なんだ」

「ひえーっ!」


 サリィが話に入ってきた。


「ところでファース、ポケットで光っているのは何でしょう?」

「これは結晶だ。ここの山で拾ったんだ。偶然、この山に登り、変な魔物からいただいた」

「結晶? もしやその魔物に会う前、結界がはられていませんでしたか?」

「その通りだ。大変だったよ、それを破壊するのは。至近距離から最強呪文を二発当てて、ようやく[結界の向こう側の部屋に]入れたんだからな。しかもそれを四回もくり返したから、死ぬ思いだったよ」

「じゃあ、兄さんが持っている結晶は四つなのか?」

「ああ、だけどあと一つが見つからなかったんだ。こいつは五つないとまるで使いものにならない、ただの石だからな」


 おお、ザーロックと意見が同じじゃないか。だけど兄さん、残りの石は、オレたちが持ってるんだぜ?


 そのとき、ナオが近づいてきた。


「あのー、五つ目の石はボクたちが持ってるナンよ」


 すると、兄さんは少し感心したようだ。


「へえ、あの結界をこわすことができたんだ」


 サリィがそれを否定する。


「いいえ。私たちはこの山の謎を解いて、結界をなくしたのよ。あなたは地図を持っているの?」

「いや、ない。……もしやお前たちが持っているのか?」


 ナオが自分のリュックから地図をとりだした。兄さんはまたため息をついて言う。


「くそっ、これがあれば苦労しなかったのに。オレたちが今いるのは『四つに分かれし路』って場所だな。ん? 『宝道』だと……。そこに行ったが、宝じゃなくて、ルビーのように光った赤い目をもったネズミしかいなかったぞ」

「そうでしたか」

「よし。『隠された部屋』に行くぞ。そこがあやしい」


 こうしてオレたちはそこに行くことになった。そこまで一分とかからず、侵入者を防ぐ結界もなかった。オレたちは兄さんを先頭に歩く。


 この部屋の奥に、何かをはめる穴が五つ、あった。結晶をはめる穴みたいだ。足を踏み入れると、さっきと同じような声が聞こえた。



 ジュエル・ハンターズよ

 結晶をはめるがよい



「よし、ナオと兄さん。結晶をかしてくれ」


 すると兄さんは驚きに満ちた表情で言う。


「ソレイユ……お前、ジュエル・ハンターズだったのか」

「え? 兄さんは、ジュエル・ハンターズを知っているのか?」

「噂で聞いた覚えがある。残念ながらオレは違うが、まさか弟がそうだったなんてな」


 そしてオレは、サリィと協力して結晶をはめた。ふざけたナオが、結晶の一つをはめて、いきなり爆発して失神してしまうという事故[ジュエル・ハンターズ以外の者がそうした場合に被る罰のようなものだろう]があったが、それ以外は何事もなく穴にはめられた。そして、またあの声が響いた。



 山の封印は解かれた

 迷いし路の番人を倒し

 財宝の眠りし部屋で裁きを受けるがよい



 シューン!


 オレたちは『迷いし路』に立っていた。前を見ると、『財宝の眠りし部屋』の入口と、やけに小さい番人がいた。


「あれは……スライムか?」


 ソロイは笑いながら言う。


「がははっ。あんなのが番人なのか? このオレが切ってやる」


 そう言って彼が剣をふり回そうとしたしたその時だ。兄さんが鋭い声で注意する。


「気をつけろ! 後ろだ!」


 しかしソロイはそれを無視して切りつける。しかしスライムは消えて、一瞬でソロイの後方にまわり、呪文を使った。


「オーバードライブ!」


 すると、スライムの頭のツノが光り、伸びてソロイの体を貫いた。


「ぐああ!」

「くそっ! ソロイ!」


 兄さんは彼のもとに走る。オレは、剣をスライムへ向けて魔法を使う。


「エレキショック!」


 バリバリッ。電撃が流れたが、まるできいてない。怒ったスライムはオレの方にすごいスピードで飛びはねてくる。こんなやつ、切ってやる! 剣をふると、うまくスライムの体に当たった。だが、やつは鋼鉄のようで、OSGでもダメージを与えられない。ちょうどそのとき、サリィが呪文を使う。


「マナミサイル!」


 五つのミサイルがスライムに直撃した。でも、オレでも傷のつけられない体だぜ? やつはバカにしたようにわざと当たった。もちろん、なんともない。


 その間、兄さんがソロイを抱いて戻ってきた。ザーロックが急いで回復させている。どうやら、背中を貫通したようだ。顔はすでに青白くなっているが、息はあるようだ。苦しそうにはあはあ言っている。


 そういえば、いつのまにか周りをマグマが囲んでいた。どんどん地上がなくなっている。はやくこいつを倒さないと、死んでしまうかもしれない。


 だが、スライムも命がけのようだ。オレたちをはやく殺さないと、自分も虫の息になってしまう。突然、スライムがしゃべった。


「死ねスラー!」

「ス、スライムが言葉を?」


 兄さん側にスライムがジャンプした。だが、やつはもう一人の仲間に気づいてない。


「おりゃあっ!」


 ナオだ。彼はスライムに抱きつき、地面にひきずり倒した。どっちもすぐに起きあがると、スライムがナオに向かってくる。


「くらえスラッ! スラスラアタック!」


 なんと、スライムの体中を光が包み、最高速度で体当たりを試みる。それを見切ったナオは、横に転がってよけた。スライムはそのまま壁にぶつかり、マグマに沈んでしまった。


「……」


 みんなあきれて、何も言えない。「おぼえてろよ……」という声が、聞こえたような気がする。


「……さあ、最後の戦いだ」


 オレたちはついに『財宝の眠りし部屋』に入った。

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