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【黒歴史】ジュエル・ハンターズ ~八つの宝石~  作者: 水野 洸也
第二章 運命、選ばれし存在
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15、謎と魔物と出会いと結晶(1)

「よし、まずはルートの確認だ。私たちがいる場所はここ、『始まりの部屋』だ。目的地である『謎解きの近道』へ行くための最短は、『去りゆく敗者』、『流れの部屋』、『新しきものを創造する路』、そして『四つに分かれし路』へと進むルートだ。さらに途中にある『?』の部屋も見ておく。分かったか、みんな?」


 みんなが、うなずく。山の中心部だからといって、空気の多さや気温などは外と同じようだ。部屋の周りに火のともっているたいまつもあるから、明かりは問題ないみたいだ。一番問題なのは、広さだ。ここ、『始まりの部屋』だけでも、ウルベーン領地の半分くらいはありそうだ。こんなものがいくつもあるなんて、信じられない。財宝のところまで、歩くだけでへとへとになるんじゃないか?


「それじゃあ、早速さっそく行ってみるナン。ぐずぐずしててもしょうがないナン」


 よし。行くとするか。オレたちはソロイとナオを先頭にして、『去りゆく敗者』の入口へと向かう。そしてオレが、背後から来る敵に備えて後ろをちらちらとふりむきながら進む。サリィとザーロックは魔法を唱える時間を少しでもかせぐため、ソロイ、ナオとオレにはさまれた位置についている。山にいる間、ずっとこの隊形で進むことになったんだ。突然、ソロイの声がした。


「よし。入口を見つけたぞ。敵はなし」


 オレたちはそろりそろりと入っていく。ついに『去りゆく敗者』へ到着だ。すると、前列の二人が足を止める。どうしたんだ?


「おい、ソロイとナオ。どうして前に進まな……」


 瞬間、オレは言葉を止めた。ライジングソードを抜いて、前方を見る。


 そこには、三メートルはある赤色の機械人形が二体、立っていたのだ。姿からみて、ファイヤーゴーレムか。


「本日、最初の敵キャラってわけだ。みんな、行くぞ」


 オレはあらかじめたてておいた計画通り、サリィ、ナオ、ザーロックが呪文を使うまでじっとしている。さあ、一発目はサリィだ!


「カオスビーム!」


 ビューン! 光線は、右の方にいたやつに直撃した。だが、そいつは倒れずに、サリィの方に突進してきた。左のゴーレムもそれにつづく。その時、ザーロックの呪文が完成する。


「フットコールド!」


 なんと、二体のファイヤーゴーレムの足がカチコチに凍ってしまった。これで、動けないはずだ。


「うおおー!」


 一番手前のやつを水平に切る。だが予想以上に硬く、OSGを使ってやっと切断することができた。


 だが、腰を切られたにもかかわらず、倒れる前にオレの顔をなぐってきた。ちくしょう……オレは後ろにふっとんで、なんとか立ち上がろうとするが、なかなかうまくいかない。向こうでは、ナオの声が聞こえた。


「ショック!」


 なるほど。強い電撃を流して、ゴーレムの運動機能を停止させたんだな。だがもう一体が残ってるじゃないか。やつはいつのまにか足を動かせるようになっていて、なにやら変な躍りを試みている。


「くそっ、あいつを止めなくちゃ……」


 オレは立ち上がり、そいつのところまでふらふらと歩いていく。躍っていて、相手はオレが高くかかげた剣に気がつかないようだ。それを無言でゴーレムの頭に振り下ろした。


「はあっ、はあっ、はあっ」


 やつは前に倒れた。切断部分には、ライジングソードの雷がビリビリと流れていた。仲間がこっちに向かってくる。そして、ナオがオレを支えてくれた。そして、サリィがバッグから薬をとりだす。


「顔がはれているわ。一応、そこにもぬっておくから、目に入らないようつむってて」


 ゆっくりと目を閉じる。彼女の手が触れたところから痛みがひいていく。目を開けて顔をさわってみると、はれが治っていた。


「ありがとな、サリィ」

「あと、薬を少し飲んで。これで完治するわ」


 言われた通り、ちょっとだけ飲む。さっきまでへとへとだったのに、すぐに元気になった。


「さあ、少し休んだら、次の『流れの部屋』に行くナン。それはそうと、さっきのファイヤーゴーレムの躍りは、なんだったナンか?」


 それにザーロックが答える。


「あいつの躍りは〈ゴーレムの舞〉というやっかいなものだ。ピンチのときに仲間を呼びだす特技だが、完全に躍りきらなくてはいけないんだ。ソレイユが止めていなければ、私たちは数十体のゴーレムに囲まれていたかも知れないぞ」

「そんなに危険だったのか? オレは、やつが狂ったのかと思ったよ」

「ははは。たしかに、ゴーレムは電撃をくらうと、動かなくなるか、狂ってしまうかのどちらからしいぞ。つまり、雷には非常に弱いんだ」

「へぇ、そうだったのか」


 するとソロイが立ち上がって元気よく言う。


「さあ! こんなところでぐずぐずできないぞ、みんな。もしかしたらやっかいな仕掛けがあるかも分からないからな」


 言われてみればそうだ。それぞれ立ち上がり、さっきの隊形で『流れの部屋』の入口に進んでいく。


 部屋をつないでいるせまい道を進むと、そこはマグマがぐつぐつ音を立てて流れていた。ふうむ。たしかに『流れの部屋』だ。オレたちがいるところと出口は、幅が一メートルぐらいの橋がつないでいた。


「危険だぞ……」

「危険だ……」

「危険だナン……」

「危険ね……」


 オレ以外の全員が口をそろえて言った。


「お、おい。これのどこが危険なんだ? まあ、辺りは全部マグマだけどさ、ちゃんと橋もあるんだぜ? 気をつけてれば、大丈夫だと思うんだけど」


 するとザーロックが青い顔で言う。


「橋を渡っている途中で敵に遭遇してみろ。せまい場所で満足に戦えず、運悪く転びでもしたら、アウトだ。死ぬんだよ」


 ザーロックの言葉を聞いて、ようやくオレも理解できた。橋の上じゃ、まるで戦えないだろう。集中攻撃されたら……。


「おもしろそうじゃないか」


 何? オレの口は、勝手に動きだしていた。


「このまま進んでみようぜ」


 また! こ、この口ときたら、オレの命令も聞かずに行動するなんて! だが、みんなはオレの言葉にうなずいている。


「そうだな。実は私は、その言葉を待っていたんだ。おかげで恐怖がなくなったよ」

「……言われりゃ、そうだな。さっきまでとは、まるで違う。今は喜んでこの橋を進むぜ」

「私も、ソレイユの言葉に救われました。もう恐いものなんてなくなったような気がします」

「うおぉー、仲間って、やっぱりいいもんだな!」


 こうしてこの橋を渡る、という事になった。とにかく狭いから、一列になって進むしかなかった。しんちょうに一歩ずつ確実に進んでいく。


 途中、まだ恐怖にとりつかれているナオの足がすくんで動けなくなる、といった小さな事故があったものの、それ以外はすべて順調だった。


 さらに要所要所でマグマフィッシュとかいう魚が襲ってきたりもしたが、すべてソロイとオレの剣によってむなしく死んでいった。きっと地図を作ったやつは、マグマといつ来るか分からない魚でおかしくなってしまうだろう、と考えたに違いないはずだ。だったら、なんでこんなザコを要注意モンスターにするのか説明のしようがないじゃないか。オレは数十匹でこっちにとびこんでくるマグマフィッシュを〈ネバルクラッシュ〉で一瞬で切りきざみながら、そんな事を考える。


 十分くらいたっただろうか。オレたちはやっと橋を渡り終えた。ただ一人、ナオは荒い息をしている。


「ゼェ、ゼェ、ふぅー。生きた心地がしなかったナン」

「無事にここまで来れたんだからよかったじゃないか。さあ、次は『新しきものを創造する路』だぞ」


 ここは他の場所と比べて暑いから、休みようがない。だから、目的地まで一気に行こう、という意見がでたから、みんなそれに従うことになった。目の前はすでに次の部屋だ。


 だが、この部屋、他のとずいぶん雰囲気が違う。敵の姿はないが、ちょっと変だ。オレが前に進もうとした時、何かをけりとばした。誰かの骨だ。


「ひえぇっ!」


 オレの女みたいな声にみんなが後ろからドタドタッときた。ずいぶんびっくりしたみたいだが、オレはもっとびっくりしていた。


 よく周りを見てみると、何十もの白骨が部屋全体にあった。だが、しょせんは骨だ、と油断してそのまま進もうとする。すると、次々と骨が立ち上がって、地面に落ちていた剣を拾っている。そのうち何体かの剣は、すでにさびて使いものになりそうにないのもある。


「ボーンソルジャーだ。もしかしたら、今までより厳しい戦闘になるかも知れないぞ」


 次の瞬間、オレはやっと地図の名前の意味が分かった。この部屋は最も恐ろしいところなのかも知れない。何十もの骨が、入ってきた者を無条件で白骨という新しい姿に変えるからだ。そしてそいつらはボーンソルジャーとなっていって、こんな数になったんだな。オレは剣をぬかずに手前の骨に近づいて言う。


「だがな、オレたちはそうはいかないぞ」


 剣を抜き、その力も利用して居合い切りをはなった。そいつは剣でやすやすと防いだつもりだが、剣がくだけ、勢いそのままでまっぷたつに切りさいた。


「オレたちは……絶対に負けないんだよ!」


 それが合図で仲間も骨に攻撃する。

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