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【黒歴史】ジュエル・ハンターズ ~八つの宝石~  作者: 水野 洸也
第二章 運命、選ばれし存在
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12、山頂へのロード(1)

「みんな、剣をしまえ! 力で勝てる相手じゃない」


 ザーロックのしゃがれた声が聞こえた。イフリートとかいう怪物は、体長はおよそ六・五メートルくらい? 全身炎で、背中には翼が生えている。少年はイフリートの肩にのった。なぜ燃えないのかは、今は問題ではないだろう。


「ちくしょう! 山頂まで自力で登るぞ!」


 サリィが口笛をふいた。そして、興奮している馬たちをなだめながら、みんな馬にのった。ザーロックは、ソロイといっしょにスピードキングにのったようだ。彼らを先頭にして、オレ、ナオ、サリィの順で頂上を目指す。


「くそ、山頂まで20分ほどかかるぞ、みんな!」


 ソロイの声だ。イフリートは本能的にオレたちを追いかけてきている。少年は、召喚している間は呪文を使えないようだ。イフリートは炎をとばしてくるが、サリィやナオが呪文を使って防いでくれた。オレも、さっきポケットに入れておいた石を使って相手の動きを止めている。


「これでも受けとれ!」


 オレがOSGを使って投げた石はすごいスピードでとんでいく。その度に、炎をとばして石を防がなくてはならないから、一気に距離をとることができた。その時、少年が言う。


「飛べ、イフリート」


 すると、巨体が浮かび上がった。オレは石を翼に向かって投げたが、炎であっさりと防いだ。まだ、一分ほどしかたってない。


「ブレスだ、イフリート」


 すると、[イフリートは]その場で動きを止めた。どうやら、炎の力をためているようだ。


「そこの洞窟に入るんだ!」


 おお、ちょうどいいところに洞窟が! 急いで中に入る。後ろを振り返ると、なんと炎がせまっていた。


「うわあぁぁぁー!」


 みんな、死ぬ気で馬を走らせる。出口が見えた時の火炎は、すでにサリィと一メートルも離れていない。


「洞窟を出たら、すぐ左に曲がるんだ!」


 逃げるので必死かつ馬の走る音と炎のせまってくる音で、[オレは]ソロイの言葉を聞きのがしてしまった。しかし、出口の先にある地形が、三メートルもいけばこの世とおさらばする絶壁だったという事実を知ると、ソロイは右に曲がれと言ったんだ、と勝手に決めつけ、オレは右に曲がった。サリィは耳がいいから左に曲がり、ナオも左に曲がったようだ。


「みんな!」


 オレも左に行こうとするが、空からイフリートが拳をたたきつけて、オレとみんなは合流できなくなった。


「行け、イフリート」


 少年はイフリートからおりて、三人を追いかけさせた。オレは馬からおりて、少年をにらむ。


「まず、自己紹介からいこうじゃねえか。オレの名はウシュナルク・オロドムだ」

「オレは、ソレイユ・ネバルだ」

「オレは今魔法を使えない。だから、お前を殺すのは剣だ」


 そう言うと、ウシュナルクは剣をぬいた。その剣は、光り輝いて、思わず目がくらむほどだった。


「ふはは。この剣は聖剣、エスカリボーだ。本来ならアンデットを殺すために作られた剣だが、ふつうに人を切ることだってできる」


 オレも無言で剣をぬく。彼をよく見ると、手にオレと同じ、OSGをはめていた。これは、いい勝負になりそうだな。


「はっ!」


 剣で中段を突いた。相手はそれを防ぎ、回転切りを試みる。だが、それくらい予想していたぜ! ジャンプして後ろに下がり、おそろしい速さのエスカリボーをよける。


 しかし、何かがおかしい。こいつ、オレのライジングソードの攻撃を受けても、全くしびれることがない。オレとウシュナルクは再び互いをにらみつける。


「おい! お前、体に異変を感じないか?」

「ははっ。なぜライジングの電撃がきかないのかって? オレにそんな小細工は通用しねぇんだよ」


 そう言って、ウシュナルクは剣をつきだす。オレはそれを防いだが、また次の攻撃だ。防戦一方で、壁においつめられてしまった。彼はニヤリと笑って、剣をななめにふりおろしてきた。だが、オレもちょっとは実力のある剣士だぜ!


「はぁっ!」


 オレは力まかせにウシュナルクの剣を地面にたたきつけた。ウシュナルクは手首をもんでいる。


「ちっ。力ではお前の方が上だったか」


 彼は剣を拾わずに、短い言葉をつぶやいた。すると、そいつにパワーが戻り、オレに手をかまえている。


「予定がくるった。召喚なんかに甘えるんじゃなかったよ」

「お前、いったい何をした!」

「イフリートを異世界送りにした。そしてオレに力が戻り、また魔法が使えるようになったってわけだ」


 オレは身構える。すると、後ろの方から声がした。


「ソレイユ! 大丈夫だったかナン?」


 ははは。走ってくるのは、ソロイとザーロック、それにナオやサリィだ。


「みんな! 無事だったんだな!」


 イフリートの攻撃になんとか全員逃げのびたらしい。ソロイたちは馬からおりて、オレのところに集まる。


「くそっ。さらに予定がくるっちまった」


 すると、彼は手を空に向けて言う。


「この呪文は、お前には必用ないと思っていたんだが、しょうがない。こうでもしないと、お前を殺せないからな」


 そう言って、呪文を唱え始める。やばい! オレはウシュナルクに剣をふりおろす。


 しかし彼はそれを軽くよけながら、呪文を唱え終わる。


「受けてみよ! プロキオン!」


 オレは意識を一瞬で失った。倒れる前に見た光景は、空からふりそそぐ黒い矢と、それにつきささって次々と血を流して倒れていく仲間の姿だった。

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