忘れ雪
ふわふわと
はらはらと
さらさらと
空からこぼれ落ちて来る
ひらひらと
はさはさと
ほろほろと
最後のひとつまで
すべての澱を飲み込んで
灰色の空から
世界を真っ白に変える
無音の掃除屋
世界から音すらも
吸い込んで
真っさらな世界を残して
帰ってゆく
さりさりと
きしきしと
踏み固められる間もなく
さくさくと
かりかりと
凍りつくこともなく
ふんわりと
てのひらに灯って
すぐに消えた
それは
春告鳥の訪れを
予感させて
風の向こうから
冬の
さよならが聴こえた