おしっこしちゃった、私
先に衣服を脱がされていた涼が、今度は沙織の目の前にしゃがんで、上目遣いに話しかけていた。
「沙織、ばかだなあ。自分で恥ずかしいことしなくてもよかったのに・・・」
「でも、涼くんだって、うれしかったでしょ?」
「うん・・・幼稚園のときからずっと気になってた沙織と、すごく気持ちが通じあえたし」
「涼くんとの約束も、きちんと果たせた」
「すごくうれしかった」
「涼くんだけに恥ずかしい思いをさせないもん」
「それにしても沙織、いっぱいおしっこしたね。こんなに我慢してたの?」
「うん」
「すごいね、僕だったら、とても我慢できなくて、もっと早くに漏らしちゃうよ、きっと」
「でも、私、気持ちが高ぶってたから、とんでもないことしちゃった。みんなからどんな風に見えたのかな?」
「きっと、みんなにとっても、僕たちにとっても絶対忘れられない光景だったと思うよ」
「涼くん・・・」
その瞬間、沙織のショーツの中にじわっと勢いよくあふれだした熱い水は、下腹部を一気に熱くしながらうしろへと流れ、水を弾こうとするブルマーの生地に阻まれながら、沙織のおしりをくすぐるように渦巻いていた。
「おしっこしちゃった・・・私」
次の瞬間、沙織の足もとの床に水が飛び散る激しい音がした。涼を巻き添えにして自分のまわりに広がる水しぶきを感じながら、沙織はみんなの見ている前できっとブルマーを黒く濡れ光らせている自分の後ろ姿を想像していた。それができるだけ美しいものであってほしいと願っていた。
「沙織、だいじょうぶ、今の沙織は世界中で一番素敵だから」
太腿やふくらはぎまで濡らしながら、沙織の中の極限まで我慢していた水があふれ続けた。涼に抱きしめられながら、球技大会の総練習を前にして沙織を支配していた不安や緊張感が、いまショーツの中に渦巻く温かさとともに一気に解けて、身体がすうっと楽に、気持ちよくなっていくのを感じていた。
すっかりおしっこを出し終わっても、沙織の太腿やふくらはぎにはブルマーから水滴が伝わり続けていて、沙織たちの白い運動靴を中心に生まれた水たまりが、体育館の床にまるく浮いて、ゆっくりと広がり続けていた。
「沙織、見てごらん、綺麗」
涼が沙織に声を掛け、背中に回していた腕をほどいた。沙織はずっと背筋を伸ばした姿勢を続けていたが、ゆっくりと涼の身体から離れると、視線を落として、自分の両脚に伝う水滴と、足もとの水たまりを見つめた。その透明な水は陽の光に照らされ、おしっこだとは信じることができないほど、キラキラと輝いていた。
「ふーっ・・・」
結局自分が選んだ「おもらし」という形で激しい尿意から解放された沙織は、全身がほてっていた。沙織は気持ちよさそうにため息をつき、片ひざをつきながら運動靴のつま先で水たまりを2、3度いじったのを合図に、魅惑的な表情で涼に目配せをした。
「涼くん、たしか、まだ我慢してる?」
「うん」
「私がみんなから見えないようにしてあげる。だから」
「いいの?」
「ほら」
沙織は再び背伸びするように涼の身体を抱きしめた。それから少しして、沙織のおなかの下のあたりが不意に温かくなり、綺麗な水が静かに涼の、そして沙織の太腿を伝って、水たまりに落ちた。周囲の目からは、沙織が再びおもらししたように見えていた。
「あ、沙織、またしちゃった」
「すごく我慢してたんだね」
「涼と抱きあって、漏らすなんて」
「なんだろう、すごくやばい・・・」
まるでドラマのクライマックスを見るかのように、言葉にならないどよめきがあたりを包み、見ていた生徒全員の視線が、体育館から去っていく沙織と涼に集まっていた。