恥ずかしさの予感
《もうすぐ、おしっこ漏らしちゃうかもしれない・・・》
限界を迎えた尿意とあいまって、沙織の心は完全にパニックになった。沙織は自分がいまにも壊れてしまいそうだった。
「聞いてるの!? みんな静かに!!」
先生の怒鳴り声に、あたりは一瞬にして静まりかえった。
沙織はびっくりして身体が硬直した。そしてまるで気を失うように、沙織の視界が白くなっていった。
衣替えになったばかりの6月のある日、その日は肌寒かった。近く予定されている球技大会のために、給食のあとの5,6時限目を使って、体育館では競技の説明やリハーサルなどが行われていた。会場の両端に分かれてクラスごとに男子と女子それぞれ2列になって並び、真ん中には先生や実行委員が代わる代わる立って、入退場や段取りなどの説明をしていた。
学年カラーの紺色が袖口に入った半袖シャツ。衣替えを迎え、女子にとっては初めて袖を通す夏の体育着が初々しかった。そしてシャツの袖口の色と揃いのブルマーはやや薄手のような気がしたものの、弾力がありしっかりしていた。
それに両脚を入れて、ショーツを包み込むようにしてきゅっとおしりのゴムを上げたとき、今日その姿のまま男子の前に出る心もとなさ、恥ずかしさを、沙織は感じていた。
《どうしたんだろう・・・恥ずかしい》
ブルマーを穿くのは初めてではないし、小学校や中学校のときも穿いていたので慣れているはずだ。なのに、鏡に映る姿は、以前穿いた紺色のブルマーよりも身体のラインが少し強調されている気がして、それが包み込む下腹部をエロティックにさらけ出そうとしているかのように見えた。
ナイロンの生地が伸びるせいでそう感じるのか、それとも自分の身体が成長したからそう見えるだけなのか、あるいは薄い生地に包まれたその部分がいっそう無防備さを感じさせるからなのか・・・
沙織は鏡の前で身体の向きを変えながら、ブルマーにきゅっと包まれたおしりと、そこから伸びる長い両脚を見てそう思った。