通行人A
休日に街中を歩いていると、あるものが目に入った。
商店街でちょうど開催していた福引だ。
1等賞はハワイ1泊2日の豪華ツアー券。
そして俺の右手にはさっき買った文房具についてきた福引券。
1等が出る確率は恐らく100分の1以下。
いつもなららしくない真っ直ぐ家に帰るところだが、欲しかった物が買えたためかテンションが高かった。
少しばかりの期待を胸に静かに列に並んだ。
「これお願いします。」
「はいよ。」
昔ながらの取っ手を回す方式の機械だ。
1,2,3とグルグル回すと中から出てきたのは......
「あー白玉だね、お兄ちゃん。残念賞だ。」
残念賞で手渡されたのは1つのポケットティッシュだった。
しかもセレブではない、駅前で配ってる奴と同じ匂いだ。
まあ最初から分かっていたことだし、悔やんでいてもしょうがない。
それに外れたおかげで些か冷静になれた。
元から主人公キャラではなかったじゃないか。
モブはクールに去るのさ。
「おめでとうございます!!」
帰路に就こうと歩き出すと後ろから大きな歓声が上がった。
は?嘘だろ?
急いで振り返ると男女カップルが福引の前に立っていた。
「1等賞のハワイツアー券になります、皆さん大きな拍手を!!」
辺りの人も珍しさからか、立ち止まって拍手を始めた。
俺は__その中の1人として同じく祝福のスタンディングオベーションを挙げていた。
「本当に嬉しいです!ちょうど今日交際1年でペア券が当たるなんて、本当に運命を感じちゃいますね!」
彼氏の方が福引のおじさんと握手を交わすと、観衆の方へと向き両手をパタパタと振った。
彼女も興奮気味であるのか、恥ずかしながらも笑顔で彼氏の服を握っている。
今この場は2人の独壇場だ。
もし俺が1回後に引いていれば......なんて思うことはない。
大人しくこのティッシュを持って帰るとしよう。
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商店街を出て住宅街を歩いていた。
郵便局の前を通りかかったところで、何やら前が騒がしい。
イベントは特にやってないはずだが......
「強盗よ!授業料が入った鞄が......誰か捕まえて!」
郵便局の前にはひったくられたであろう女性が倒れ込んでおり、
黒マスクを被り明らかに強盗である男がこちらに走ってきた。
さあ!この修羅場に出くわした不運な者たちを紹介しよう。
エントリーナンバー1!
恐らくこの辺りに住んでいるであろう、偶々ここを徘徊していたおじいちゃんだ!
うん。この人には期待できそうにない。
エントリーナンバー2!
凄くイケメンでスタイルのいい大学生だ!
強盗にビビってるようだが、とにかくイケメンだ。
エントリーナンバー3!
通行人A、この俺だ!
しょうもない脳内コメディを考えてると黒マスクが脇を通り抜けた。
しょうがない、やってやりますか。
イケメンがな。
「イケメンさん、アイツを追ってください!」
「え、俺のこと?何で俺が......」
好青年も戸惑っているようだが、すまん。
お前がイケメンだからだ。
「言ってる場合ですか!今追いかけられるのはあなたしかいないんですよ!」
「俺、だけ......」
好青年は脚をさすり何かを決断したようだ。
すると彼はクラウチングスタートから入り、陸上でもやってたのか綺麗な加速で黒マスクの方へと走っていった。
陸上短距離は筋肉が必須だし、追い付いた後も彼なら大丈夫だろう。
「警察だけ呼んでおきますね。あ、あと足怪我しちゃってますね。このティッシュ良ければ止血に使ってください。」
これくらいならまだモブの範疇だろう。
110番で手早く事情を伝えると呆然としている彼女の前を通り過ぎた。
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「犯人確保にご協力ありがとうございます。また後日連絡を送りますがよろしくお願いします。」
パトカーに手錠を付けられた犯人が載せられ、警察と一緒に連行されていった。
現場には事情聴取を受けていた僕と被害者であろう女性が残った。
でもおかしい。
1人足りないじゃないか。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが高校生くらいの男の子見ませんでしたか?彼にお礼が言いたくて。」
「ああ、その子ならもう帰りましたよ。そうだ、そんなことよりどこかでお茶しませんか!えっと、あれです。お礼がしたくて。」
彼のおかげで僕のこの脚が、イップスが治ったこと、どうしても伝えたかったのに。
ありがとうって言いたかったのに。
彼に会いたかったのに。
あれ?何だろうこの気持ちの高まりは......
もしかして僕は彼に......
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よし、ようやく家に着いた。
冬場ということもあり、5時前でもオレンジ色の夕日が山際に隠れかけていた。
そもそも隣町まで歩いていったのもあるが、シャーペン買いに行くだけだったのに余計な出来事が多すぎたからな。
体もかなり冷えてるし早く風呂に入りたい.......って誰かいる......
気づかれないように近づくと、どうやらチャイムを鳴らして人が出てくるのを待ってるようだ。
今、俺の家には誰もいないから出てくるわけがないのだが。
玄関の真ん前っていうエンカウント必死の場所にいられたら家に入れないじゃないか。
ゲームなら重要NPCじゃないと成り立たないぞ。
とは言え、どうせ親の知り合いとか、宗教勧誘とか現実はそんなものだろう。
正直なところ早く帰りたかったので、話しかけることにした。
「あの、この家のものですが。どちら様ですか?」
すると目の前に立っていた女性が振り返った。
綺麗な黒髪が空になびく。
珍しいな休日に制服を着ているなんて。
だが俺の高校の制服ではない、なんなら近隣の学校のものではない。
本当に知らない人だ。
「すみません。本当に申し訳ないのですが、一晩泊めてくれませんか?」
「え、は?どういうことですか?」
「お願いします!あなたしかいなんです!」
は?普通に嫌なんですけど......
とは言えない。
美人がだからだとか、今月親は出張でいなくて浮足立っているなんてことではない。
こんな裏がありげな物語の重要人物。
俺じゃなくて他の人をあたってほしい。
だが......
「なるほど......すぅ......はぁ。い、いやあ、うん。い、いですよ。」
そう今すぐにも泣きそうな顔をされると、流石の俺も心が痛む。
痛すぎて俺の顔多分めっちゃ歪んでいるのがわかる。
それにもう夕暮れだ。
同じようなことを繰り返して、変なおじさんに引っ掛かっる可能性を考えると目覚めが悪い。
「本当ですか!実はお金がなくて一軒一軒回ってたんですけど、なかなか受け入れてもらえなくて。命の恩人です。」
うっ、俺が嫌いな言葉ランキングトップ10に入る言葉。
恩人だなんて言われるなんて、俺のポリシーに関わる問題だ。
「取りあえず中に入ってください。話はそれからです。」
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「必要なものがあったら反対の部屋にいるんで俺に言ってください。家にあるもの勝手に使ってもいいので。それでは。」
空き部屋を紹介し、布団や必要なものを出してあげた。
一緒にいても気まずいだけだし重たい話を聞く義理は無い。
こんなところにい居られるか、先に部屋に帰らせてもらう!
「え、あ、ちょっと待って!」
呼び止めないでくれよめんどくさい。
「何か必要なものでも?」
「いや、その、理由聞かないのかなって。自分で言うのも何だけどおかしいじゃないですか?夏休みでもないのに1人、知らない人の家に押しかけるなんて。」
何だこいつ......かまってちゃんか?
まあ確かに不自然だ。
普通の人は家に入れる前に理由を聞くだろう。
だが生憎、今の俺はただの同居人A。
人の物語を作ってはいけないのだ。
だから今、家に入れてるのも不本意ながらだ。
それなのに話まで聞いてしまったら、無理やりにでも物語の渦中に引きずり込まれそうだ。
「そうですね。言いたくなったら言ってください。」
もういいだろう。
笑って吐き捨て部屋に戻った。
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「ふむ......なるほど。」
調べておきたいことがあり電子の海を彷徨っていたが、そろそろ腹が減って来たな。
時計を確認するともう2時間も経っており、針は20時を過ぎていた。
胃の中の食べ物はもう消化し終えてるか。
「すみません。お時間大丈夫ですか?」
廊下から少女の呼ぶ声が聞こえる。
この場合の少女は単純な小学生的な少女ではなく法的な少女呼びだ。
持っていたシャーペンをショーケースに戻し部屋を出ると、
真ん前にエプロンを羽織った少女が正座していた。
ちょっとした様式美を感じる。
大和撫子かよ。
「あの、何でしょうか?」
すると少女は照れくさそうに頬を掻いた。
もし淫らな行為に及ぼうものならすぐに家から追い出すぞ。
「は、はい!夕食の用意が出来たのでもしよかったら、一緒に食べませんか?」
外からいい匂いするとは思ったがこの子が作った晩飯のからか。
正直同じ食卓を囲みたくはないが、飯抜きは体に堪える。
このくらいならいい思いしても罰は当たらないだろう。
「いただきます。ただ少し作業が残ってるので先行っててください。」
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居間に入ると2人分の食器が対面に並べられていた。
ああ、そういうことだったのか。
引きこもりは親と対面するのが嫌なんじゃなくて、物語に入るのが嫌だったんだな。
「すみません。冷蔵庫の食材使わしてもらいました。」
エプロンを解くと少女用によそられたであろう席に着いた。
何でもいいと言ったがその食器とか箸、俺のやつなんだけど。
「大丈夫ですよ。寧ろ作っていただきありがとうございます。それでは頂きます。」
知らない人が作ったご飯を口に入れるのに少し抵抗があるが背に腹は代えられない。
見た目が1番美味しそうな肉じゃがへと箸を伸ばした。
............なるほど。なかなかのお点前のようだ。
だが味の感想は決して口にしはならない。
変にフラグが経ったら大変なことになるからな。
「えっと、その......お口に合いませんでしたか?」
おいおい自分から聞きに来たよ。
だが全く問題ない。
こんな時のために普段からいろんなパターンを想像して危機回避術を編み出したのだ。
「いえ、凄く美味しいと思いますよ。」
一言で締める。
これが余計なフラグを立てないコツなのだ。
「そうですか__嬉しい。」
ん?いや、気のせいか。
居間には食器の音のみが鳴り響いた。
気まずい......テレビでも付けるか。
俺がテレビのリモコンを手に取ると驚いたように少女が目を見開いた。
そんなおかしいことか?
「あっいえ、何でもないです。」
気にせずにテレビを付けると偶々ニュースが流れていた。
見出しは......『お手柄!日本陸上のエース、自慢の俊足で強盗犯を捕まえる!』
『はい。散歩していたら目の前から強盗が走ってきて、最初は戸惑ってたんですけど、近くにいた男の子に追いかけるよう諭されて。そしてらもう無我夢中に追いかけてましたね。あの子にお礼が言いたいです。』
「これってここの近くですよね。それに町田選手って言えば確か長期休養の最中だったはず、って変えちゃうんですか?」
脊髄反射でお笑い番組にチャンネルを変えていた。
「ええ、ニュースは面白くないので。」
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「そういえば言い忘れていたのですが__」
後片付けくらいはと言ったが少女が聞く耳を持たなかったため洗い終わるのを待っていた。
1つ絶対に言わなければいけないことがあったのだ。
「申し訳ないのですが、今ちょうど給湯器が壊れていまして。その、お風呂は近くの銭湯で済ましてもらってもいいですかね?」
逡巡した様子を見せながらも少女は納得してくれた。
その後、貸した部屋から小さな肩掛けカバン持ってきたようだ。
着替えは持っていないなしく、お古のジャージをビニール袋に入れ貸してあげた。
パンツは......まあいいか。どうせ要らないし。
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家から銭湯まで歩いて20分。
俺もお風呂に入らないと辻褄が合わないため、道案内も兼ねて一緒に付いて行っている。
ま、そこまで歩くことはないだろうが。
「あの、私の話聞いてもらってもいいですか。」
街灯が少なく暗い中でもヒロイン面をしてるのがよく分かる。
だがそれも銭湯までの道までだ。
今はただ我慢するのみ。
「私、実は家出して来たんです。」
そうじゃなくてヒッチハイク的なノリで人の家に泊ってたら怖いけど。
「私の家庭が少し特殊でして。こんな時代にも花嫁修業とか琴のお稽古とか所作の勉強とか、友達を作る暇もなく子供の頃からさせられて。そんな毎日に嫌気がさして家を飛び出したんですが......あなたに会えて良かったです。」
家出少女は誰も彼もを魅了しそうな笑みを浮かべた。
予想はついてたがいい所のお嬢様だったのか。
この配役、絶対神様が間違えただろ。
エ○同人だとしてもキモデブおじさんがこの枠組みに入るし、
もうちょっと物語性がある人の所に泊って欲しかったな。
「でもそんなに行動力あるのは羨ましいですけどね。俺なんかより人生してて。」
モブが主人公になる日は一生のうちに来るのだろうか......なんてな。
俺が主人公になるときがあるとすれば、世界に俺1人しかいなくなったときだろう。
「その、もしよかったら......!」
何かを少女が言いかけるが横に車が止まりその言葉を遮った。
一際目を引くお高そうな黒い車だ。
ドアが開いたと思うと中から見るからに清潔な白髪のおじさんが降りてくる。
マジもんの執事初めて見た。
「お探ししました、お嬢様。早く帰りましょう。旦那様も心配していらっしゃいます。」
「今更遅いです。私はここで生きていくので。それに自ら探しに来ない親をどうして信頼できると思ってるんですか。行きましょう、あなた?」
少女は執事を無視して銭湯へと歩いていく。
あなた?誰のことだろうなあ......じゃない!
え、帰ってくれるよね?俺の家に一生居候する気じゃないよね?
「お待ちください。」
そうだ、言ってやれ!そんな生活長くは続かないってな!
「旦那様からのご伝言ですが、こちらを。」
俺の期待とは裏腹に茶色の封筒を内ポケットから取り出し彼女に渡した。
少女は封を切り中に入っていた1枚の書類を読み出すが、
そこから数十秒ほどフリーズして動かなかった。
「これ嘘ではないのですよね?」
「はい。旦那様が直々にサインとご内容を確認されましたので、嘘偽りはございません。」
「......分かりました。」
これが俺と話す最後の言葉になることが分かっていたのだろう。
少女は不気味なほど満開の笑顔で俺の方を振り返り、こう言ったのだ。
「ご機嫌良う。」
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外を見ていると街灯が凄い速さで通り過ぎていく。
朝は輝いて見えた景色も夜は暗くて全て同じに見える。
おもむろに彼から貰ったジャージを取り出すと、はしたないと分かりながら顔に埋めてしまった。
どこか安心する匂いだ。
ああ、あの人は今何をしてるだろう。
私のことなんか忘れてお風呂にでも浸かっているのだろうか。
何せ、嘘・を・つ・い・て・ま・で・私を家まで帰そうとしたのだ。
台所のお湯が出たので間違いない。
迷惑だったのかもしれない。
しかし、だったら何故私を受け入れてくれたのだろう。
私の生きてきた世界では自己保身の怪物ばかりだった。
いや違う。これは全世界共通の常識なのだ。
10件以上中級家庭の人たちに泊めてほしいと頼んでも、頷いてくれたのは彼1人だった。
「お嬢様、ご無事で何よりでした。ご帰宅は12時頃になります。」
「分かりました。それよりも本当なのでしょうね、この文書。」
「はい、それは間違いございません。
ここだけの話なのですが政宗様もご結婚は想い人とさせるべきだったと後悔しておられました。
婚約も破棄ということになりましたので、明日執り行われる予定でした結婚式も取り辞めという形になりました。」
そうだ。結婚式が嫌で家を飛び出して来たのだ。
今時まだ許嫁とか政略結婚とか古い仕来りに縛られて、本人の意思を顧みない。
そういう家系に生まれのだから仕方ない、と割り切れるほど私は寛容ではなかった。
「いえそんなことよりもこの『貧富や階級に関わらず若宮家がバックアップを尽くします。』というのは本当なんですよね?」
「ええ、お嬢様の意思を尊重したいと仰せで『何が何でも成功させる』と意気込んでおいででした。」
「そう......ちょうど良かったわ。」
私の人生は私のもの。
趣味を見つけたり、友達の家に遊びに行ったり、自分の行きたい学校に行ったり、__心から好きな人と結婚したり。
でもそんな我がままが許される世界ではなかった。
間違っているのは世界の方だと抵抗して抵抗して、気がつけば家を飛び出していた。
だけど、それも今日で終わり。
この家柄もお金も私のために全部使って好きな様に生きてみせる。
「私、好きな人が出来ました。」
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「ああ、極楽だ。」
俺も年ごろの男の子だ。
同姓だとしても人に裸を見られるのが恥ずかしいという感情はもちろんある。
ただ折角風呂に入る準備が出来ていたのだ。
偶には銭湯も悪くない。
頭に置いていたタオルを目隠し代わりにし、頭を休ませていく。
これにより周りの視線も気にならなくなるという寸法だ。
ここまで来るのに本当に長かった。
制服から高校を探すことから始めたんだよな。
名門桜川高校。いわゆるお嬢様学校だ。
しかし、順調だったのはここまで。
ネットで顔と高校を手掛かりにいくら調べても、何の情報も落ちてなかったのだ。
そりゃそうだ。家出して数時間で情報が落ちている訳が無い。
そうだとして彼女に帰る気が無いなら__向こうから迎えに来てもらえばいい。
SNSで彼女の視認情報を拡散すれば、お嬢様だし探し回ってくれる確信があった。
だが、家の中に居座られては意味がない。
だから外に連れ出すために給湯器が壊れたなんて嘘をついたのだ。
彼女も俺が何も考えずにひとっ風呂を浴びてると思わないだろうな。
有り得んほど物語に関わって、そんなのモブじゃない!と後ろ指を指す奴もいるだろう。
でもよく考えてみて欲しい。
誰からも視認されてない行動で果たして主要人物足りうるのか。
答えは否!何故なら前述のとおり、登場人物の誰にもその行動知られてないからである。
総理大臣とか大統領とか角界の著名人がモノローグに載らない理由と同じだ。
QED!証明終了!閉廷!
そんなどうでもいい裁判の末、頭内の裁判官がガベルを振り下ろし無罪判決を言い渡した。
やはり俺はエリートのモブなのだ。
それにしても今日は色々なことがあったな。
背中にジェット噴射の力を感じながら今日の出来事を振り返る。
今日もまた色々なことがあった。
福引と強盗と家出少女。
前半はともかく、一番最後のはモノローグに一般人Aじゃなくて1つ上のランク、
家の主として登録されそうだ。
__案外悪い気はしないかも。
らしくなく感慨にふけるや否や、目に掛けていたタオルがスルッと水面に落ち、天井の明かりで目の中が赤く染まった。
あ、そういえばジャージとタオル持ってかれた。




