2 「払い損」が確定している保険に強制加入&「ステルス増税」がやり易い
筆者:
この項目では「106万円の壁」が廃止されることについてと、「通勤手当増税」について触れていこうと思います。
質問者:
106万円の壁というのはいわゆる「社会保険の壁」とも言われているものですが、実質的に強制加入という事なんですか?
筆者:
いえ、そういうわけではありません。106万OR週20時間以上という要件が、
週20時間以上という要件になるのです。
つまり週20時間以内であればまだ社会保険料がかかることなく働くことが出来ます。
時給が1000円だと80万円ほどで社会保険料に加入せざるを得なくなりますが、
逆に時給が高ければ要件緩和という見方も出来なくは無いです。
ただ、かなり時給が高いのならもはやアルバイトではない気もしますし、
質問者:
残業時間というのはその「週20時間」に含まれるんでしょうか?
筆者:
残業に関しては含まれないようです。ただし、契約上は週20時間未満でも、慢性的な残業により実質的に週20時間以上(月87時間以上)働いている期間が2ヶ月以上続くと、加入対象になるようです。
質問者:
へぇ……契約だけで見られるわけでは無いんですね……。
でも社会保険料に加入すると手取りが減ることが最大のネックだと思うんですけど……。
筆者:
短時間労働者が社会保険の106万円の壁を意識せずに働ける環境を作るため、厚生労働省が設けた支援として「キャリアアップ補助金」というものがあります。
従業員1人当たり最大で50万円が支給――されるのですが、これは社会保険に加入した個人に直接給付では無く、事業所(会社)に給付なんですね。
事業所が待遇改善をすることなどが受給要件となっていますが、貰った全額を従業員に渡す必要も無いわけです。
質問者:
うわぁ……会社に餌を与えてそれで社会保険加入を促進させているわけですか……。
それで、厚生年金に加入するようになることで、いくらぐらい貰えるようになるんですか?
筆者:
加入年数によって異なるのですが、
平均報酬標準額×5.481/1.000×月数 によって算出されます。
年103万円の収入だと毎月8000円ほど厚生年金を20年支払った場合、将来でもらえる金額は月1万1千円ほどでしかありません。しかもこの8000円は個人負担のみで、企業負担分を合わせたら回収できるのは一体いつになるか分かったものではありません。
更に言うのなら、物価高で同じ金額貰えたとしても将来的なお金の価値は下がっていますから120歳ぐらいまで生きないと「実質的な増税」というのが行われていると言って良いでしょう。
それが「社会保険料の実質的強制加入」の闇なのです。
どう考えても損である年金対して「老後の保障」という名目でもって徴収しているという事です。
質問者:
中には貯金できない方もいらっしゃいますから全く無駄な制度とは思いませんけど、
自ら貯金できる方からしてみたら「大きなお世話」という感じの制度ですよね……。
筆者:
そうなんですよ。自己積立制度や任意加入にすることで将来の不安が薄まり展望が開ける方というのは少なからずいらっしゃると思うんです。
僕はちなみに任意加入が認められるようになったら秒速で解約します(笑)。
減り続ける現役世代で高齢者を支える賦課方式は即刻廃止して制度改革をしなくてはいけないと僕は思っていますが、
それについて案すら出てこないのは政治家や官僚の資質の無さであり、国民は絶望的なジリ貧を見ることになり不幸しか生んでいないと思います。
◇通勤手当(非課税)が増えると保険料が増える?
質問者:
都心のJRを中心にこの春、値上げが起きたことから保険料が上がるという話があったんですけどどういう事なんでしょうか?
定期代などの通勤費は会社から支給される分に関しては非課税だから関係ないのではありませんか?
筆者:
26年3月14日より山手線では16%ものの値上げ、JR全体でも7.1%の値上げとなったようですね。
皆さん「通勤費非課税」というのを勘違いされていると思うのですが、あれは「所得税に関して非課税」という話なんですね。
例によって保険料は「税金ではない」という理論から保険料の等級が上のランクに行ってしまう(つまり実質的な増税の)可能性があるんです。
20万円以降は2万円刻み、40万円以降は3万円刻みですが、元の給料が少ないほど刻む金額が小さいのであっという間に等級が上がってしまう可能性があります。
質問者:
なんと! そういう意味だったんですか!
当然ですが、値上げによる通勤手当が増えたところでそのまま通勤に使われるわけで裕福にはなっていませんからね……。
筆者:
これが前から申し上げている「インフレ税」というやつです。
物価高によって実質賃金が上がっていないのに徴収される金額ばかりが増えていって貧困化していくのです。
保険料の等級を物価高に合わせて変化させていく必要があると思います。
例えば月20万の方は現状18300円の保険料負担(個人負担のみ)ですが、改定して1等級下の17385円にするなどです。
こうすれば物価高で手取りが減るという危機を回避することが出来るのです。
質問者:
「保険料はリターンがあるから税金ではない」という理論の名のもとに回避できる手段が少ないというお話でしたね……。
筆者:
その理論を使うのであれば任意加入にして欲しいと切に願います。
税金であるのなら閣議決定でホイホイ負担増を済ませてはいけないですし、もっと控除などで減らす方法を増やすべきでしょう。
それでいて税金のように「銀行差し押さえなどの強制徴収」を認めているんですから、
日本の社会保険料は、
「税金と保険のいいとこどり理論(財務省にとって)」
をダブルスタンダードで無敵の理論を展開しているという事です。
この詭弁を事あるごとに追及していければと思います。




