第一幕 5話 似た者同士?
俺は小さく息を吐いて、月城が腕を置いているフェンスの右隣に体を預けるようにしてもたれかかった。フェンスは相変わらず胸元くらいまでの高さしかない。月城は俺が隣に来た事を確認して穏やかに微笑んだ後、話の続きに戻った。
「少し、教室に居るのがしんどくなって。ほら、人と話すのに疲れちゃう時ってたまにあるでしょ?」
苦笑いしながら月城はそう言う。その表情を見ると……もしかしたら、というご都合的でしかない考えが浮かんでくる。
「それで静かな所を探していたら偶然屋上があるのを見つけて、来た。鍵は先生から貸してもらったよ、屋上を見学したいって言ってね。……人が2種類に分けられるなら、人とのコミニケーションを好む人と、嫌がるの人の2種類なんだと思う。……私は後者だからどうしてもね。」
そうか『人は見かけによらず』とは言うが俺はてっきり月城は、『人との会話が好きで、そういうのが得意な人』だと思っていた。
いや教室の中や人前ではそう演じているのかもしれない。……誰だって人間は仮面を被って生きているから。
そう言う俺も、……例外ではないのだから。
「零さんは?なんで此処に来たの?」
「同じような理由だよ。人と話すのが少々億劫になったものでね」
まぁ俺は月城と違って人がそもそも寄って来ないんですけどね。一人例外を除いて。
「そっか。それじゃあ私たち、もしかしたら」
そういうとフェンスに置いていた右腕を立たせて指を頬に当て、気恥ずかしそうに言葉にした。
「私たち、似た者同士なのかもね」
そう言った彼女の頬は少し赤らんでいるように見える。
「あぁ、そうかもな」
そんなありきたりな返事を返した直後、屋上の静かさを破るようにチャイムが鳴る。
「それじゃあまた明日。教室で」
「またな月城」
別れの言葉を言って屋上を去ろうとした月城は、何かにハッとした様子で振り返った。
「貴方との会話は、他の人と違ったその」
「楽しかった、ありがとう」
そう言うと、そそくさと屋上を後にしていった。
『お前には、そう言う幸せそうな時の顔の方がよく似合う』
「……どうだかな」
似た者同士、ではあって欲しくない気持ちがどうしても出てしまう。月城のようないい奴になら、なおさら……




