第一幕 3話 天才と凡才
午前の授業が終わり、昼休憩の時間になった。この学園では昼食は各自、昼休憩の時間でとると言うシステムになっている。なので俺は食堂へと足を運んでいた。
「カルビ丼定食 500円」「ラーメン 450円」「マグロの叩き丼 700円」「かけうどん 100円」
俺はかけうどんの食券を毎度の如く一枚買う。やはりかけうどん!かけうどんは素晴らしい。意外と腹持ちがいい割にこの安さ!!
「最高だな」
『……おめでとう零、4ヶ月連続かけうどん達成だ。新記録だぞ』
……2、3度 別のメニューを注文した事がある。当たり前の事だが味はかけうどんより圧倒的に美味かった。
けれども食べているうちにふと考えてしまう。
これ一つでかけうどんが何日分食べれてしまうんだ、と。
その点、かけうどんは最強だ。なんと言ったって、
「安い!」
『安い!!』
だからこそ俺はかけうどん以外食べないのだ。
「ただでさえ少ない所持金をこんな所で消費してたら、いつか金が消えるのは時間の問題だからね」
俺に母親が居たのかは分からない。でも俺には昔、大好きだった父さんと兄さんが居た。ただ今は誰もいない。ずっと前からそうなんだから今更これと言った感情は湧かない。
はぁ、と溜息をついた俺の頭にそっと手が置かれる。
「やぁ」
「びっくりした。怜か」
「ははっ、僕も一緒に食べてもいい?」
そう言った怜はかけうどんを片手で持っていた。
「あぁ、もちろん」
片手にかけうどんを持って立っているんじゃ断れないじゃないか!!
怜は俺の向かい側の席にそっと座った。座り方や動作の一挙一動がまるで紳士のようだ。いや、正確には紳士なのだろう。他の人と話している時の礼儀正しさと言い、性格の良さと言い、紳士と言わずしてなんだと言うのか。
そのうえにだ。この男、とてつもない金持ちなのである。
「まったく、俺らは真逆の存在だな」
「確かに、僕らは真逆の存在かもね。……本当に君が羨ましいよ〜」
ハハッ、と軽い苦笑を俺に見せた後かけうどんを啜っていた。
「零がいつもかけうどんを食べていたのを見ていてね。僕も食べてみたかったんだ」
「怜がかけうどんを、ね〜」
正直学園一位の天才から見たかけうどんの評価は、一端のかけうどん信者の俺として気になるところであった。




