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クローバーには「裏」がある  作者: せつな
第二幕 素敵なあの子も『裏』がある 1〜
23/25

第二幕 10話 強盗集団には『裏』がある《終局》


 その後、何かアクシデントが起こることも無く、トタン張りの廃倉庫の屋根上へと到着する。


 「この中に人質がいる」


 空を見上げると、月が遠くへ離れてしまっている様に感じる。懐中時計の針はいつの間にか深夜の0時を指していた。


 『本当にここにいるかは定かでは無いけどな』


 「……たったひとつまみでも可能性が有るのなら、行かないに越したことはない」


 キット父さんも兄さんも、こうするだろうから。


 そう思いながら屋根の上を音を立てずに探索する。正面から以外で侵入できる方法があれば有難いのだが。


 探索して行くうちに、成人男性がギリギリ入れるくらいの大きさしかない穴が屋根にぽっかり空いている事を見つけた。


 早速廃倉庫内部に入ろうと穴の中に片足を入れた俺に、待ての指示が頭の中から入ったので、嫌々片足を戻す。


 『よく穴の中を覗き込んでみろ、何処か違和感を感じる』


 そう言われたので頭を小さな穴の中に入れて、廃倉庫を覗き込む


 広い。それが廃倉庫の中を見て、一番初めに出てきた感想だった。


 目に映った大広間には大量の物資が積まれた箱が乱雑に重ねられていて、多量のヘッドランプと淡々と燃え上がっているドラム缶が辺りを照らしている。


 そんな大広間の周りを囲む様にして、工場の足場などでよく見かける縞鋼板しまこうはんの床と金網の手すりで作られた二階通路が建てられていた。


 此処がアジトの内部……それにしては人ひとりの姿すら見えなく、やけに静かだった。これが()()()が勘付いた違和感なのだろうか。


 『静か……だけで済ますにはどこか引っかかる……

この静けさは蛇が獲物を狩る前につくる、油断を誘う為の()()()()()()によく似ている』


 「物知りだな」


 なんせお前の兄だからな、といつも通りの会話の付け足しに、適当に相槌をうつ。遠くからカラスが計画する様に鳴く。


 『何か仕掛けて来るかもしれない、警戒しておくに越したことはないぞ』


 その注意喚起を頭の片隅に置いておいて、そのぽっかり空いた穴から廃倉庫へと侵入するのだった──


 ***


 「カタリッ」その軽快な着地音が廃倉庫の静寂を突き破る。


 その音が鳴ったと同時に、アジトの人間達が物資の入った箱の裏から顔を出したかと思っていれば、手斧や火種のついた火炎瓶がコチラ目掛けて飛んでくる!!!


 それを上手く交わしながら、懐にしまっておいた火薬を全方向へと撒き散らす!!!それが体にかかった奴らは一瞬怯んだものの、害は全くないと判断したのか再度、攻撃を続け始めてきた。


 一つ一つに殺傷能力はそこまで無いものの、数が増せば話は別だ。事実、避けきれなかった手斧が頬や膝を掠ってしまっていた。


 「何だよ、思ってたより全然雑魚じゃねェか」


 ……一方的な猛攻に勝ちを確信したのか、ソイツらはケラケラと笑いだす。


 それもそのはず、投げ込まれる大量の手斧を必死に避けながら、度々投げられる火炎瓶に付いた火種と中身の液体が接触しない様に瓶を必死になって真っ二つに割りながら無害の粉末を撒き散らしている姿はさぞかし滑稽だろう。


 「な、なあ?……この粉末って、火薬……か?」


 ただその内、気づく者は必ず現れる……この大広間にいる俺以外の全員の体に撒かれた粉末の正体に気づく者が。


 そして今、この状況で誰が本当の勝者なのか、すぐに知る事になるだろう。


 「ちょっと待てよ、オイ!!ソイツに火炎瓶を投げるな!!」


 ……そろそろ頃合いだ。高く投げ込まれた火種のついた火炎瓶を地面に落ちる前に左手でキャッチする。


 その仕草でようやく、今から俺がする事を察して全員が逃げ惑い、許しをこう。


 ただそこで逃してあげる程、優しい主人公の様な情は生憎持ち合わせてはいない。


 先程までケラケラと勝ちを確信して笑っていた火薬まみれの人だかりに、その左手に持った火炎瓶をポイと投げ捨てる。


 ──直後、パリンッと火炎瓶が割れる音と共に、撒いた火薬が引火したことで粉塵爆発が起こり、四方八方から爆発音が鳴り響くのだった。


 最低な人間だ、と言われても俺は何も否定しない。なんせそれは事実だから。父さんの様な圧倒的な力も、兄さんの様な天才的なIQも俺には存在しない。


 それなら、使えるモノ全部使ってでも父さんと兄さんの様になってやる。例えそのやり方が卑劣で、とても人に褒められたモノじゃ無かったとしても──


 『さっさと人質救出して、帰るぞ零』


 「……あぁ、そうしよう」


 懐中時計を取り出す。時刻は既に午前の一時を指していた──


 その後捉えられていた人質の身柄を組織の方に渡して、全員無事に保護された。


 こうして何とか、任務を完了させた俺の手元に来た報酬額は7000万を軽く凌駕していた。


 『これ全部使ったらざっとカルビ牛丼十四万セットは伊達じゃないな!!!』


 嬉しそうに笑う声をよそに、布切れ一枚の上に頭の後ろで手を組みながら、仰向けになって天井をただ見つめた。


 いつまで俺はこんな事をしてお金を稼ぐのだろう。正直こんなやり方には、もううんざりしている。


 ターゲットの人間がどれだけ悪人であろうと、沢山の人が救われたとしても、このやり方は間違っている。


 悪人だとしてもそれは人だ。人を殺したら立派な殺人鬼になってしまう。


 ちなみに俺が所属している組織は、表社会で活躍している政府の裏の顔のような者で、此処で受けた依頼の範囲内での殺人罪等の罪は()()()()()によって揉み消される事になっている。


 ただそれは罪に問われないと言うだけで、人を殺せば立派な殺人鬼になってしまう。


 「……なぜ殺人鬼になり続ける事が突然嫌になったのだろう」……そんな事を考えるようになったのはいつからだったか。


 いや、逆か。いつから俺は殺人鬼になる事を受け入れたのだろうか。


 目的が変わったことで、自分の心境にも色々な変化が生じてしまって、思わずため息が溢れる。


 後ろで組んでいた左手を天井に伸ばして拳を固める……ただそこには心境の変化に少しばかりの楽しさを感じてしまった俺が居た。


 ……それならそれで、良いのかもしれない。そんなご都合主義な考え方でまとめて、そっと目を閉ざすのだった──


 最近になって初めて「前書き•後書き」と言う機能を知りまして、今更!?と思うかも知れないんですけど私最近始めたばかりの初心者なので……大目に見てくれますと嬉しいです!

 あと正直この作品を絶対完結出来ると言う自信がこれっぽっちもありません! この先の展開はちゃんと考えては居るんですけどね……まぁもし投稿が止まったら「あ、力尽きたんだ」って察して頂けるとありがたいです! 投稿時間は私の残機とテンションと現実の予定にかなり左右されるので不定期にします。

 ど初心者ながらに足掻きますので応援して頂けると幸いです!

 ここまで見て下さいましてありがとうございました!!


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