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クローバーには「裏」がある  作者: せつな
第二幕 素敵なあの子も『裏』がある 1〜
20/25

第二幕 7話 死亡リスク87%には『裏』がある


 『87%って、いつもより高くないか』


 「まぁ、正面から行ったらそんなもんだろ」


 今までは76%とか、最高記録でも85%だった気がするので、高いと言えば確かに高い。


 「相手が単体じゃなくて集団ともなればそれほど死亡リスクも上がりやすいからな」


 依頼を承諾したので、スマートフォンからいくつかの資料が送られてくる。


 その資料には、今回の標的である集団強盗の一人一人の名前、顔立ち、年齢、そしてアジトがこと細かく記されていた。


 「これなら手っ取り早いかも」


 『拳銃も一応入れておけよ』


 「そう?」正直、短剣だけで十分だと思うけれど。俺の背より高い棚を開けて、その中に入っている小さな木箱を二つ取り出す。拳銃を入れていた木箱は随分埃を被ってしまっていた。


 木箱を開けて、その中から出した短剣と拳銃を懐にしまう。


 『なぁそろそろ、その拳銃と短剣新しいやつに買い替えろよ』


 「この短剣は父さんが使っていた物だし拳銃は兄さんから受け継いだ物なんだ。断固として買い替えは拒否する」


 確かに短剣の刃先はボロボロではあるが、砥石で研げばまだ使える。拳銃は2発以上撃てば必ず動作不良を起こすが、……1発で仕留めれば、何も問題は、ない。


 『せめてその拳銃だけでも買い換えないと、死ぬぞ

……まぁ、もしそんな事になったら俺が是が非でも助けるけどな』


 「どうだかね」


 何気なく話しているものの、コイツの目的は未だにさっぱり分からないままだ。


 とにかく今知った所でどうしようもない。コイツの事は、その時が来たら知ればいい。


 黒い手袋を両手に着けて玄関の鍵を開ける。


  「それじゃあ、向かうとしますか」


 その言葉を最後に、自分の部屋を後にした。


 ***


 アパートを出てどのくらい時間が経っただろうか。移動手段が徒歩しかない為、かなり時間が経っている気がする。


 『本当に此処で合ってるのか』


 座標に間違いはない。つまり、此処の近くにある筈なのだが。


 俺の視界には、永遠と続いていていそうな広大な森林が待ち構えていた。


 『雰囲気が都会とはまるで違うな。木々は生い茂って静まり返っている……ビル一つ立っていない』


 此処まで都会外れな場所に来たのは、今日が初めてかも知れない。


 『俺はこっちの方が好きだな、自然が美しい』


 頭の奥から自然を非常に堪能していそうな声が聞こえてくる。


 「森林での戦闘……余り慣れてないから、やりにくい事この上ないな」


 本来俺は奇襲や暗殺と言った物に特化している為、大人数の相手、更に地形が分からない場所での戦闘は不利だ。


 もう一度、組織から送られて来た資料を確認する。


 その資料によると、どうやらこの森の先にアジトがあるらしい。


 『結局今回も夜戦になりそうだな』


 「……少し足早に行かないと、大家さんに怒られる前にね」


 黒い素朴なフード付きパーカーの内ポケットから取り出した黒い懐中時計は、もうすぐで午後の7時を示す所だった。


 『お前昔から黒いの好きだよな』


 「この懐中時計はたまたまだよ、父さんの形見だしね」


 ……兄さんの拳銃に父さんの短剣と懐中時計。これだけ形見に囲まれて死ねるなら、本望というヤツだ。


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