1話 男装して潜入したら、学園最強になってしまいました
とある事情で男子校のヤンキーエリート学院に潜入する事になった主人公の白石零
転校初日から厄介事に巻き込まれ、平穏な学院生活は送れないと悟った零。果たして無事学院の潜入を成功させる事はできるのか?
ピコンっ。
数日前、零のスマホに一通のメールが来た。
「私立白嶺高等学院に潜入し、学院の秘密を探れ」
その画面を改めて見た零は軽くため息を漏らした。
「はぁ〜。潜入ねーしかも男子校か」
黒髪短髪のカツラを被り、さらしを胸に巻いて支給された制服に着替えながら零はブツブツと文句を言っていた。
そう零は女の子なのだ。そして今日が零の白嶺高等学院 転入初日。
「エリートヤンキーってどんな人達が居るんだろ?最凶って言われた人達が集まる学院ってあの人からは聞いたけど、。」
零はメールの履歴を見ながら学院の情報をまとめた。
《白嶺高等学院は5つの派閥に分かれていて、1つ目は青龍、2つ目は朱雀、3つ目は白虎、4つ目は玄武、そして最後の5つ目は影だ。そして学校のルールはこの5つの派閥の長が基本的に決めていて、そのルールは絶対。ルールを破れば罰が下される》
「うーん、書いてある事はこのくらいかな。それにしても罰ってなんだろう? まぁ行けばわかるか。」
ふと時計を見ると家を出ようとしていた時間が過ぎていた。
「まずい!色々と考えてたらもうこんな時間!遅刻する!」
バタバタと急いて家を出た零は走って学校へと向かった。5分くらい走ったところで学校が見えてきた零は安堵した。
「はぁ何とか間に合いそうでよかった、転入初日に遅刻とかさすがにまずいもんね」
ほっと一安心した時、零は何かを踏んだ感触を感じ取った。それは1枚のハンカチだった。
「ん?何これ?ハンカチ?」
零はハンカチを拾い、汚れを手でパンパンと払った。
「うーん、名前が書いてないな。とりあえず預かっておいて落し物として届けよう」
零はそのハンカチをポケットに入れてそのまま学校の校門へと向かった。それが後にどんなことを引き起こすのかを知らずに...。
キーンコーンカーンコーン
ガヤガヤガヤ
「なぁなぁ聞いた?うちに転校生が来るらしいぜ」
「あ?転校生?」
「そう!しかもめっちゃ美人なんだってよ」
「美人?女なのか?ここ男子校だぞ?」
「違う違う、男なんだけど顔が女みたいに整ってるんだとよ」
「なんだそれ、女みてぇな男に興味はねぇよ」
「まぁまぁそんなこと言わずにさー見てみたら気が変わるかもよ?」
「はっくだらねぇ」
ガラガラガラ(ドアが開く音)
「はーい皆さんおはようございます。今日はいいお知らせがあります。なんとこの学校に転校生が来てくれました!紹介します 月城さーん入っておいで」
ガラッ
ザワザワ
「おい、まじで顔整ってね?」「うわめっちゃ美人じゃん女みてぇ」
「はーい!皆さん静かに。では月城さん自己紹介お願いね」
教室がシーンとなり、零は1呼吸して自己紹介をした。
「月城零です。よろしくお願いします。」
その瞬間、教室が一気に盛り上がった。
「うぉー!声も可愛いじゃん!」「月城零って名前も可愛いよなー」
「はいはい、みんな騒ぐ気持ちはわかるけど静かに!月城さんもびっくりしちゃうでしょ」
先生が教室の場を沈め、空いてる席に座るよう促した。
零は一気に騒がしくなった教室に少し驚きながらも空いてる席へと移動した。
「月城零です。よろしく。」
席に着き、左隣にいた男の子にそう言うと、その男の子は無視して窓の方を向いてしまった。
(えっ、無視された。何か気に触ることしたかな?)
「あーごめんな、あいつ悪い奴じゃないんだけど人見知りでさ、月城が美人だから緊張してんだよ。許してやって」
零が少し不安に思っていると右隣の男の子がそう話しかけてくれた。
「俺、三島颯太よろしくな!」
「よろしく三島くん」
「颯太でいいぜ!」
「わかった、じゃあ颯太 改めてよろしくね」
「おう!」
(ふぅ何とかやっていけそうかな、それにしても白石が本名だから月城って呼ばれるのまだ違和感あるな、、しかも一人称俺にしないと女だってバレちゃう、気を付けよう)
キーンコーンカーンコーン
2限目の授業が終わった頃、零はある違和感があった。
(なんだか普通の学校とあんまり変わらないな...。ヤンキーっていうからなんかこうもっと荒れてる感じだと思ってたけど...。さっきも普通に授業受けれたし)
自己紹介のホームルームが終わったあと零は2限目まで普通に授業を受けられた事に少し驚いていた。
(一応、私立のエリート学院だし しっかりしてるのかな。でもなんだろうこの違和感。嵐の前の静けさみたいな...)
うーん、と考えていると颯太が話しかけてきた。
「月城ー!さっき担任に月城に学校案内してくれって頼まれたから放課後案内するぜ」
「え、いいのか?」
「おう!」
「ありがとう。それと俺のことは月城じゃなくて零って呼んで」
「わかった!じゃあ零!放課後な」
「ああ」
(...不自然じゃなかったよね?)
少し不安になりながらも辺りを見回すと、さっき無視してきた左隣の子と目があった。
(え、すごいこっち見てる...。なんだろう?)
「あの、俺の顔に何かついてる?」
零が声をかけた途端、その男の子はまた窓の方へと顔を逸らした。
(? いったいなんなんだろう...)
不思議に思いながらも零は今日の授業を無事に終えた。
そして、放課後 約束通り颯太が学校案内してくれた。
「ここが渡り廊下でこっちがカフェテリア、それでここを真っ直ぐ行くと、、、」
ひと通り周ったところで颯太が言った。
「学校案内はこんなもんかな、なんかわかんない事あるか?」
「学校案内ありがとう、特に分からないことはないけど...」
「けど?」
零は前から思っていた違和感を正直に話した。
「いやなんかヤンキーって聞いてたから正直、殴り合いの喧嘩とか絶えないのかと思ってて」
颯太は零の言葉を聞いた途端、目を丸くして驚いたあと急に笑いだした。
「はははっ!おまえバカ正直だなっ!それ俺の前で言うかよ普通」
颯太は笑い終えてから息を整え、こう言った。
「まぁこの学院がどういうのかはすぐにわかるぜ」
ピーンポーンパーンポーン
颯太がそう言い終えた瞬間、ザザッというノイズと共に校内放送が流れ出した。
『東は動き、南は燃え、西は牙を剥き、北は構え、
影は落ちた。
以上。ただ今よりゲームを開始する。』
ピーンポーンパーンポーン
校内放送が終わった途端、零は一瞬にして学院内の雰囲気が変わった事に気付いた。そして、目の前にいる颯太の気配も...。
その刹那
ガッ!ザザッ
咄嗟に腕でガードして後ろに後ずさった。
「颯太?」
目の前にいる颯太が零の顔を目掛けて蹴りを入れてきたが、零は咄嗟の判断でそれをガードした。
「だから言ったろ?すぐに分かるって」
はぁーと深いため息をついたあと面倒くさそうにこう言った。
「いやーそれにしてもよく防いだな、結構本気でやったんだぜ?」
「...。」
「はっだんまりか、まぁいいや。悪いけどここで寝ててもらうぜ」
「...もう終わった?」
「は?」
「話は終わった?って言ってるんだけど」
ゾッ
零の地を這うような低い声を聞いた瞬間、颯太に悪寒が走った。
(なんだ、?こいつの気配が変わった?しかもなんだこの全身が震える程の恐怖は)
颯太はすぐさま零の間合いに入ろうと足を踏み出したその時、
ドスッ!
鈍い音と共に颯太はその場に気を失って倒れた。
「はぁやっちゃった...。とりあえず、ここに寝かせとくか」
零は近くにあったソファーに颯太を寝かせ、辺りを一望できる場所を探した。
「とりあえず屋上行こう」
階段を上り、屋上に着いた零は辺りを見渡した。すると、零の目に飛び込んで来たのは大勢の生徒達の怒号と拳が混ざり合う、まるで戦場のような光景だった。
「すごいな....まるで “あの時” みたい 。」
ズキッ、!ザザザッ
???「今回の.....は.....しなかったようだな」
ザザッ
???「早くっ、!...げて!」
ズキンズキン、!
「っ....。はぁ、やっぱりきついな」
「おい」
「!」
驚いて後ろを振り向くと、そこには私の席の左隣の男の子が
怪訝そうな顔をして立っていた。
「こんなとこで何してんだ」
「えっと...辺りを一望できる所を探してて」
「あーそれでこの屋上に来たって訳か」
「うん」
『....』
しらばくの沈黙のあと
「あのさ、君の名前なんて言うの?」
「あ?俺?」
「そう。さっき教えてくれなかったでしょ?」
「...。鷹宮恒一」
「よろしくね鷹宮くん」
零は手を差し出した。
「恒一でいい」
そう言って恒一は手を取ってくれた。
「そういえば、さっきはなんでは俺の事見てたの?」
「あ?あぁ..それは」
恒一が言いかけたその時、零のポケットから1枚のハンカチがひらりと落ちた。
「っ!?」
落ちたハンカチを見た途端、恒一の顔色が変わった。
「あ、落ちちゃった」
「おい!そのハンカチどこで拾った!?」
「え?学校の近くに落ちてたけど...」
「貸せ!」
「え!?」
恒一が私からハンカチを奪おうとしたその時
ピーンポーンパーンポーン
『1年B組 月城零 校庭に来い 繰り返す1年B組の月城零は直ちに校庭に来い』
ピーンポーンパーンポーン
「えっ?俺?」
「はぁ遅かったか」
「どういうこと?」
「そのハンカチは学校の近くにわざと置いてあったやつだ」
「えっと、余計意味がわからないんだけど...」
「この学院には色んなルールがあってその1つに “ハンカチを拾ったものは強制的に決闘をしなければならない”というルールがある」
「決闘、?」
「そうだ まぁ行ってみればわかる。行くぞ」
「え恒一も行くの?」
「...ああ」
恒一はそのまま無言で私を連れて行った。
(決闘か...さてどうしたものかな)
零は静かに不敵な笑みを浮かべた。
つづく




