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ep.18

翌日の早朝、ベットで目を醒ました私は、着替えた後、ラズさんの朝ごはんを作る為にキッチンに来ていた。

考えていることは言わずもがな昨日の事である。

昨日については反省することがあまりに多すぎた。

まず一つは朝の寝坊である。

昔から仮眠気味ではあったのだが、ラズさんに助けられたあの日からというもの、病院でもここでもひたすらに寝ている気がする。

いよいよラズさんと暮らすことになったのだし、ラズさんの生活を向上させるためにも、私がだらしなくてどうするのだ。そろそろ切り替えなければいけない。

二つ目はラズさんの魔法の相殺の件だ。正確に言うと魔力の相殺か。

そもそもルールやマナー以前に、あれは危険だった可能性がある。私の魔法についてはまだ何もわかっていないわけだし、正規の魔法と組み合わせて危険がないかと言われればその証拠はどこにもない。私が今いるのは人里離れた危険な森の奥ではなく、活気にあふれた街なのだ。考えなしに私の魔法を使ってうっかりミスでもすれば、森の中のように”やってしまった”では済まない。

それに魔法使いとしてラズさんが非常に優秀なことは見て分かっていたのだから差し出がましい事をしたのも反省するべきだろう。ラズさんが『大丈夫』というなら大丈夫なのだ。むしろ私が介入することで状況が悪化した可能性まであるわけで、本当に何ともなくてよかった。

三つ目は...わんわんと子供のように泣いてしまったことだ。

日を置いて考えれば、自分でも何故あんなにも泣いてしまったのかよくわからない。確かに怒られるのは怖かったが、その感情は泣いてしまう程ではなく、全く別の感情由来で泣いてしまった。

あの時、何より私の感情を揺らがせたのは何だっただろうか。

私はもやもやと考えながらもせっせと朝食を作り終え、出来た料理を少し苦労してテーブルに並べた後、ラズさんを起こしに行くため部屋に向かった。

昨日ギャン泣きした上に、挙句の果てにはそのまま寝落ちてしまったので、恐らく部屋まで運んでもらった手前、気まずさが肩を重くしているが、早くしないとご飯が冷めてしまうので意を決してコンコンと扉をノックした。


「師匠、朝ですよー。朝ごはん作ったので起きてください」


声をかけても中からの返事はない。それどころか身じろぎした音さえ聞こえないので「ししょー?」と大きな声を出してみる。

......本当に全く音が聞こえない。寝がえりは勿論、手足を動かしていても衣擦れの音が聞こえるはずなので、何も聞こえないという事は本当に全く動いてないのだろう。

このままでは埒が明かない気がひしひしとして「入りますよー?」と近所に迷惑にならないギリギリの声量で警告し、反応がなかったので了承とみなして中に入った。


中は部屋かと疑いたくなるほどの殺風景で、寝るためのベットと机、クローゼットしか家具がない。確かここに来た時にすべての部屋を確認したはずだが、どの部屋もゴミにまみれていたので、この部屋は家具がこれだけなのにも関わらず足場もない程に汚れていたことになる。本当に何をどうしたらああなってしまうのか分からない。

件の男性に恨めし気な目を向けると、当の本人は人が入ってきたのも構わずにすよすよと寝ている。無防備な顔で眠っているところを見ると、普段は隈があったり鋭い目つきで減点されているものの、ラズさんはやはり絶世の美男子である事を認識する。

肌はシミどころか毛穴すら見えないし、鼻は高く整っていて羨ましい。ずっと見ていると少々恨めしくなってきて、鼻を軽くつまんで、「師匠、朝ですよ」と声をかけると、声以下の音を鳴らして寝返りを打った。寝起きは悪いらしい。

肩をつかんで遠慮なくゆさゆさと揺らすと、ようやく意識が浮上してきたのか薄く瞼が上がる。


「ん...ガブ...?」

「師匠!朝ですって!ご飯冷めちゃいます!」


尚もむにゃむにゃと微睡んでいるラズさんのほっぺたをぴしゃりと挟んで起こすと、漸くのその体を起こした。


「あー...おはよう」

「おはようございます師匠。昨日はご迷惑をかけてごめんなさい。朝ごはん出来てますので身支度したらリビングに来てくださいね。私は温めなおしておきますので」

「ありがとう。その...もう大丈夫なのか?」


心配そうな視線がむしろ痛い。

完全にこちらが悪い上に、早とちりして年甲斐もなくわんわんと泣いたのだ。恥ずかしいなんてものではない。


「はい...あの急に泣いてしまってごめんなさい。私は本当に何でもないので...」

「ならいいんだ。その...こちらこそすまん。言い方が悪かったというか―」

「いえいえいえ!本当に今回の件は私が悪んです!曲解したのも私ですし!」


心底ほっとしたように言い、しまいには謝ってくるのだからたまったものではない。

慌てて弁解する私にラズさんは困ったように笑って「次は俺も気を付けるから」と頭に手をぽんと置いた。


―正直心臓に悪い

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