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5話 ゴブリンはネコに狩られる

魔法の練習が終わり、当たりが暗く成り始めた頃、不思議そうにビアーが言う。


「おぬしら本当にここで泊まっておるのか?」

「もちろんだ。この草原に毎日泊まってる、ハイネコ火をつけてくれ」

「分かった、ファイヤ」


いつものようにテントを作り、火を起こす。


「我は街の安い宿に泊まる予定なのじゃが、ぬしら明日はなにをする?」

「そうだな3人でゴブリンの依頼でも受けてみるか」

「嫌じゃな、翼竜とかデカいやつを倒そうそちらのほうが速くぬしの言う英雄になれると思わんか?」


ゴッチェは思った。英雄ではなくそれはただの凄腕冒険者にしかなれない、

自分の思う英雄とはちょっと違うと。


「それはダメだな、ハイネコの強さも分かっていないし、治癒師もいないし危険すぎる」

「うむ、分かった。だがそこのハイネコがゴブリンごときで死にかけるようなら我は抜けるからな」

「いいだろうそれで」

「明日の朝、冒険者協同組合で集合じゃ」


そう言うとビアーは街に向かって去っていった。


「ゴッチェ、ゴブリンってなんだ?」

「お前よりさらにちっこい、緑の人型をした獣だ」

「狩れるか?ハイネコ」

「知らない」

「そうか、見たこともないしそりゃ知らないわな!」


今日は疲れてしまい、ハイネコはお酒も飲めず寝てしまった。


「おい、ハイネコおきてくれ」

「なんだよ」

「今日から飯を作ってくれるって言ってたからさ」


あ〜そんなこと言ってたなと思い、ハイネコは軽く朝食を作ることにした。


「パンあるか?」

「おぉ、あるぞ」


フランスパンのような硬く長いパンが出てきた、

まずはレッドカウの肉を焼く、レッドカウの油で卵をスクランブルエッグの状態にする。

最後にパンを切り挟む。


「野菜が欲しくなる」

「野菜?そんなのいらねぇだろ」

「私は欲しいぞゴッチェ絶対そっちの方が美味しくなる、後マヨネーズ」

「マヨネーズ??なんだそれ」

「野菜を美味しくする神様だ」


灰猫はマヨネーズで育ったと言っても過言ではないほど引き取られる前はいろんな物にマヨネーズをかけていた。

引き取らた後はそんな贅沢できず、泥棒暮らしになればもっと贅沢できなくなったので、恋しくなっていたのだ。


「私の国は料理だけは凄く美味かったぞ」

「そうなのか」

「ゴッチェ食ってみろ」


ゴッチェは大きな口でレッドカウのサンドを食べる。


「美味いなでも、大丈夫なのか?ちょっと肉が赤いぞ?」

「そのぐらいが1番美味い!」


自信満々に言う灰猫、どうしてもお金がない時は山で暮らしている獣を狩って捌いていたのだ。毎回その赤さで焼くと柔らかく食べれることを知っている。


「いや、本当に美味いな」

「まだこいつは化けるぞゴッチェ!」

「なんか今日は元気だなハイネコ」


誰かに初めて料理を作り美味いと言われた灰猫は少しテンションが上がっていた。


「いや、そんなことはない」

「そっち方がお前らしくていいぞ!」

「あっそ」


いつにもなく、テンションが上ってしまったハイネコは己の刻んだ約束を思い出す。

人を信じるな。こいつは利用するだけと。



「じゃあ行くか」


荷物をまとめて冒険者協同組合に向かう。



「おはようビアー」

「我を待たせるな、そんでハイネコおぬしは師匠に挨拶せんか」

「おはよう」


灰猫は思ったなんであんなに昨日は自分をさらけ出していたのか、めんどくさいやつがまた1人増えたと、やはり酒はまずいなと感じた。


「ゴブリン駆除依頼の紙は朝イチで取っておいたぞ」

「それはありがたい!あんな文句垂れてたからもう来ないかと思ってたぞ!」


ガハハハと笑う朝から飲んでいるのでちょっとゴッチェは出来上がっていた。


「ぬしは朝から飲んどるのか?」

「寝る前にぶち込んで朝起きてぶち込むこれが俺だ!」

「あほじゃな、そんでゴブリンに殺されたらある意味英雄以上に名がはせるじゃろうな」

「酒入った俺はいつもの俺よりも強い、それは残念ながらないな」

「はやくしろ」

「そうじゃな!ぱっと終わらせて暁の酒場じゃ!」

「いいな!それは!」


こういう時だけ二人は息が合う。

ただ、払うのはゴッチェだけだが、


3人は依頼の森にまで着いた。

いつも夜には獣や魔獣の声が響いてる森だ。

昼はそれが嘘のように、木々の音しかしない。


「ここが依頼の森か寝床から近かったな」


灰猫はここに転移するまでに住んでいた山に地形が似ていると、懐かしい気分になっている。


「ハイネコは山慣れしてるな」

「当たり前だ」

「我の仲間になるんじゃ、そんぐらいでへたれては困る」


そんなことを喋っていると円状の空間に5匹のゴブリンがいた。

そこだけ木が生えておらず、上からは陽の光が通っていた。


ゴブリンは耳が尖っておりどこにも毛がなく、3頭身の全身緑の人型をしていた。右手には棒切れを持っており腰には動物の毛皮を巻いている。


「ハイネコ大丈夫か?」

「なにが?」


初めての戦闘に1番緊張していたのはゴッチェなのである。もしこれで灰猫に怪我させてしまったらとか余計なことを考えないために朝から酒を飲んでいたのだ。

だが、今戦闘前になり酔いを忘れるほど緊張していた。


「ゴッチェよ、ハイネコを信じてみろ」

「そうだな」

「じゃあ、狩ってくる」


灰猫は完全に狩りのモードに入っていた、野生の動物を狩りやすいよう二人とは少し離れて、弓に手をかける。2本のダガーも確認した。

2頭は座っており、残り3頭は周りを警戒してる様子だ。


一射目、座っているゴブリンの頭を狙う、頭に当たり即死だ、残りの4頭のゴブリンは灰猫の存在に気づいていないようだ、

二射目、頭を狙ったつもりだが、ゴブリンの首を撃ち抜く、まだ息はあるようだ。

2射目でゴブリンに位置がバレてしまった灰猫。

3頭のゴブリンが灰猫にめがけて走ってくる。


ダガーを取り出した、茂みの中から、踏み込みと同時に自分の後ろに左手から風魔法を放つ、

「ウェントゥス」

凄い速さでゴブリンに近づき、

一太刀、首を斬る。

簡単に2頭目を殺す。

3頭目

棒で殴り襲ってくるゴブリン、細い腕をしていたので関節に一太刀浴びせ、棒を持っている腕を切り落とす。

そのまま首にナイフを突き刺す。

4頭目

先程と同じように手際よく処理し、

残り1頭首に矢が刺さったゴブリンはまだ死んでいないと分かっていたので、とどめに首にダガーを刺して終わらせる。


ふぅとため息がでるハイネコ、初めてのことで緊張はあったが案外余裕だなと感じていた。


「我が思ってたよりかなり動けるんじゃな、それに弱点を狙うのも上手い」

「やっぱ俺の見立てた通りだ!凄いぞ」


ゴッチェは思った。今まで会ったどのシーフよりも速いのではないかと、


「じゃあ最後にゴブリンの右耳をこの袋に集めてくれ」

「わかった」


言われるがまま5匹のゴブリンの右耳を集める。


「それ、食べるのか?」

「いや、食わねぇよ!依頼達成するのにゴブリンの右耳集めないといけねぇんだ」

「偽装の対策じゃな、左耳じゃ金もらえぬから気おつけるように」

「他の部分でもじゃな」

「分かった」


そのまま帰ろうとするがデカいゴブリンと目が合う灰猫、

ゴッチェと同じく180くらいはありそうだ、肥満体型で大きな木の棍棒を持っている。

すかさず弓矢を持ち大きなゴブリンに目掛けて放つ、矢は目に刺さったのだが、唐突なことで弓の引きがあまく貫通まではいかず、


「グオオオオオ」

叫ぶデカいゴブリン


「なんだ、あのデカいゴブリン」

「オークか」

「うぬら2人ですぐ終わらせるのじゃ」

「いい機会だし俺の剣技見といてくれよ、仲間の強さの把握は序盤にしないとだしな」

「そうか好きにするんじゃな」

「じゃあ二人とも、もう少し後ろに」


言われるがまま下がる二人


抜刀の体勢に入るゴッチェ、

腰の剣に手を当てる。


勢いよくオークが走ってきた。ゴッチェに目掛けて木の棍棒で殴りかかりにいく。


ゴッチェが踏み込んだ瞬間地面は割れ、ものすごい速さでゴッチェはオークとの間合いに入り斬っていた。気づいた時にはオークの上半身と下半身は二つに裂けている。


「二人とも黙ってどうした?」

「流石はSだけあると思ったのだ」


ビアーは魔力0のSランクなんてたかが知れていると思っていたが、実際に見ると大きな壁がそそり立っているような気がしてならなかった。


灰猫は思った、ゴブリンやオークよりもこいつを怒らせたら確実に死ぬと、あいつらにはまだ勝ち目が見えたのだが、どうしてもゴッチェにはその勝ち目が見つからないと感じ、今すぐ逃げ出すかどうかを迷っていた、アイツの地雷を踏んだら次は自分の番と思ってしまったのだ。

慣れただけであり、まだ灰猫はゴッチェを信じてはいなかった。


「ハイネコ?大丈夫か?」

「うん」

「体調悪いなら背中貸すぞ?」

「大丈夫だ、ただ約束してくれ、もし私がお前の嫌なところを突いても殺さないと」


今できる最大の安心、結果は口約束だ1番信用できない約束事だが、もうこうなればどうにでもなれと思い灰猫は持ちかける。


「当たり前だ」


本気で答えるゴッチェに安心感はなかったが今はその言葉を信じるようにした。


「雰囲気悪いの〜さっさと暁の酒場にいって飲みに行くのじゃ」


葉巻の煙を灰猫にかけながら言う。

この葉巻の匂いに安心する日がくるとはなと灰猫は思った。


「そうだな!ハイネコ今日は語るぞ」

「分かった、」


そして、三人は暁の酒場へと向かった。

この時、ゴッチェは思ってもいなかったまさかアイツが現れるなんて、

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