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イヤイヤからノリノリでダンジョン攻略  作者: くろのわーる
ダンジョン編

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35話︰強くなるために

 

「任して、れいれい!これが私の推しの力ヒールよ!」


 茅ヶ崎真由が唱えた回復魔法は初めてとは思えない輝きを放つ。

 手首どころか全身を淡い光が包んだのだ。


「「きゃー!!」」

「まさか…」


 静かに見守っていた回復科の女子2人が黄色い声を上げる。

 回復魔法を初めて受けた姫川は折れていた手首をまじまじと見つめている。


「先生!私、出来ました!」

「ええ…」


 確かに自分は生徒達に愛する人には発動しやすいとは教えた。

 これは最も有名な回復士の論文でも立証されている。

 しかし、茅ヶ崎真由にとっての推し≒愛を理解していない野々村先生は茅ヶ崎の姫川に対する感情を勘違いし、今後の指導に複雑な心境を抱くのであった。


 また、回復してもらった姫川も茅ヶ崎の少々重い好意をヒールから感じ取り、内心では戸惑っていたがそこは元アイドルとして、仮面を被ることで何とか表情を見繕っている。


「がはぁっ!」

「久遠くんっ!」


 2周目に入っていた御堂が呆気なく倒され、それでも3分は耐えていたのだが肋骨を抱えるようにしゃがみ込む。


「次っ!柴田来い!」


 御堂が倒れたことで順番は回り、柴田が呼ばれる。

 しかし、柴田は恐怖で震え、立ち上がることさえ出来ない。


「ちっ!柴田!お前は明日からトレーニング量1.5倍だ!山口来い!」


 臆病風に吹かれ立ち上がることさえ出来ない柴田に苛立ちを隠すことなく、東雲は酷な内容を告げる。

 柴田はその鬼のような発言に顔を真っ青にする。そして、次に指名された山口はトレーニング量を増やされるなど堪ったものじゃないとばかりに立ち上がり、構えるが僅かに震えていた。


「ぎゃあ!」


 そんな状態で満足に戦える訳もなく、一刀のもとに倒れ伏す。


「お前ら!お前らがこれから戦っていくのは生死を賭けた魔物との戦いだ!俺如きでビビってたら死ぬだけだぞ!ましてや来週からはダンジョン実習が始まるんだぞ!」


 世間で16歳と言えば、複雑な事情でもない限り、紛れもなく学生だ。

 不憫だとは思うがブレイバーに選ばれ、ここに来てしまった以上、戦いから逃れることは難しい。


 自分の意思で来た者、仕方なく来た者がいることは東雲も解っているがダンジョン実習引いてはモンスターパレードはすぐそこまで迫っている。

 ここにいる1年生が直接戦闘に参加することはないが絶対とは言い切れない。自分の代がそうだったからだ…。


 態度や言動に問題があることは自身も解っている…だが臨時講師とはいえ、前線帰りで魔物の脅威をこの場の誰よりも理解しているが為、自分の生徒が死んで欲しくない一心で厳しい言葉を投げかける。


 その言葉を真摯に受け止めた者は御堂と姫川の2人だけ。


 姫川は軽く茅ヶ崎にお礼を言うと東雲に向かって歩いていく。

 俺は痛む肋骨を抑えながらも保奈美の元へと向かう。

 姫川とすれ違った際、お互いの目を合わせる。

「「(お前、あんたには負けない)」」


「がはっ!保奈美、また悪いんだけど直してくれるか」

「どうして、そこまでするの」


 痛々しい姿を見て、涙目の保奈美の問いかけに俺は少し考えてから答える。


「保奈美を守れるくらい強くなりたいからじゃ駄目か」

「もう馬鹿!」


 馬鹿なんて言いながらも保奈美は頬を染めながらヒールをかけてくれた。


「私の魔力だと次が最後だからね」

「ああ、サンキュー!必ず東雲ぶっとばしてくるから」


「私の分もお願いするわね、御堂くん」


 野々村先生からもエールを貰い、再び立ち上がる。

 姫川は今回、かなり粘っているようで3分を超えた。


 それでも東雲には2歩も3歩も届かない。


「きゃあ!」


 ついに姫川も倒され、俺の3度目が巡ってくる。


「よう!俺をぶっとばしてくれるらしいな」

「ああ、覚悟してもらおうか」

「なら口だけじゃないところを見せてくれよ」

「その無駄に動く口がきけないくらいにしてやんよ!」


 東雲は今日一でいい笑顔をしていた。それは御堂も同じだった。


 言葉とは裏腹に俺は静かに闘志を燃やすが常に頭は冷静にしておく。


 東雲とやり合った1本目は意識しなくても周りが見えていたが2本目はその感覚がなくて、あっけなくやられた。

 1本目のあの時、俺はゾーンに入り掛けていたのかもしれない。


 浅くゆっくりと深呼吸を繰り返し、静かにサーベルを構える。

 その雰囲気は1本目の時と似ていた。


 東雲もそんな御堂の雰囲気を感じ取り、表情には出さないが期待を抱いていた。


「(御堂ならそろそろスキルが生えてもいい頃合いか…)」


 思考の最中に御堂が動き出す。その動きは今までで最もスムーズで自然な動きだった。

 思考していたこともあるがその自然な動きに反応が一瞬遅れる。


 それは完全な油断だった。御堂のサーベルを弾こうと振り出した木刀は中程から切り落とされる。


 本来ならこの時点で東雲の負けなのだが教育者として、ブレイバーの先輩としての矜持がそれを許さず、御堂の鳩尾みぞおちに手許に残った木刀を突き出してしまう。


「(しまった!?)」


 反射的にとはいえ、失敗したと気付いた時には突きを止めたが既に御堂が崩れ落ちるところだった。


 グランドに悲鳴が上がる。


 崩れ落ちる御堂を慌てて、受け止めるが受け止めた手に持つ木刀の先には血がついていた。



なろうの通信障害で同じ話を4回も書き直すはめになるなんて誰が思う。筆が折れるわ…。1年くらい前の話だけどね。

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