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22話:武器選び


昼休みが終わり、俺と姫川は東雲先生に連れられて第4武器庫に来ている。

第1、第2、第3武器庫は銃火器などの装備が保管されており、モンスターパレードの際に自衛隊が防衛の為に使う道具が置かれている。


第4武器庫は学校の鍛冶職や魔技士の生徒が作成した武器や魔道具等が保管されている。

謂わば、未熟な武器だ。利点は無償で貰うことが出来ることか。

戦闘科の中には命を預ける武器が粗悪品なんて我慢出来ないという奴がいたりするがそういう奴らはお金を出して、れっきとした武器を購入することが多い。

そうそうこのブレイバー学校は毎月、給金が支払われる。

学生とはいえ、非常時には戦闘員として戦いに赴く為、手当てが付くのだ。

金額は毎月5万円で2、3年生はたまの休みに外出許可を取り、そのお金で羽根を伸ばすらしい。


さて、話が少し脱線したが第4武器庫の中に入る。

倉庫の中は想像と違い明るくて埃っぽくもない。

整備も行き届いているのか綺麗に整頓され、それぞれの武器から魅力ある輝きを放っている。


「さて、ここにある武器ならどれでも好きな物を選んでいい。ただし、考えて選べよ」


先生の言葉に静かに頷くが正直、早く見て回りたい。


「それじゃあ、武器を選んだら俺のところに来い。では解散」


解散の言葉とともに俺は何処から見ようか辺りをキョロキョロとする。


「(さてと、何処から見て回ろうか)」


心の赴くままに倉庫内を歩き出す。

武器は棚に立て掛けられていたり、壁に掛けてあったり、剣、刀、槍、斧、盾など種類も豊富で剣一つとっても色々な種類がある。

特に目立つのはゲームやアニメ、マンガでしか見たことがないような武器。

これを遊び心と捉えるかネタと捉えるか作った本人にしかわからない。


ふらふらと倉庫の奥に向かって進んでいく。

槍が多く置かれた棚。

ふと目についた槍を手に持ってみる。

重い。凄く重い。

柴田が木製の槍で練習している意味がわかった気がする。

これを自在に扱えるようになるには相当な訓練とそれなりのレベルアップが必要になるのではと思う。

柴田頑張れよ。


槍を棚に戻し先に進むといくつかの斧が置いてあるが槍であの重さだ。

斧もサイズ次第ではほぼ変わらないだろう。

横目で斧の棚を通り過ぎ、目的の刀剣の棚に来た。


刀剣の棚は倉庫の中でも最も場所を取っている。

俺が解るのは刀、細剣、片手剣、両手剣くらいか。

それでも正しいかは解らないが…。


とりあえず、ゲームの主人公が使っててカッコイイと思ってた両手剣を取ってみる。

こ、これはなかなか思ってたよりも重いかも。

称号で強化された俺でも両手でしっかりと持って、加減すれば振れる感じか。

本気で振ったらよろけそうだ。

いや、見た目は好きなんだが構えた時の違和感が強い。俺に合っていない。

それに長くて持ったまま移動とかそれだけで面倒くさそうだ。

諦めて丁寧に棚へと戻す。

さようなら、憧れの両手剣。


次は片手剣を手に取る。

片手で半身の態勢を向き、構える。

心の中で構えた自分の姿を想像する。


「(俺、今すげぇカッコイイのでは?)」

「うわぁ…」


ふと隣を見れば、姫川が痛い奴を見る目で俺を見ていた。

折角、自己心酔に入っていたのに姫川のせいで台無しだ。

とりあえず、やり直すか。


姫川の視線など気にせず、むしろ意見を求めるように姫川に向かって、いくつかポーズを決めてみるが無言で去りやがった。


まあ、片手剣の感触は悪くないと思う。両手剣に比べればそれなりに振れるみたいだしな。

次は細剣レイピアの棚か。

そこには先客がいた。


「姫川はやっぱりレイピアか?」

「うるさい!あっちに行け!」

「はいはい」


今日の姫川は平常運転みたいだ。


細剣は今のところ選択肢にないんだよな。

次へいこう。


さて、最後は本命の刀だな。

真剣に悩んでいる姫川の後ろを通り、レイピアの棚を通り過ぎる。

刀が集められているエリアに一歩足を踏み入れた瞬間、なんだか肌がチリチリした気がした。

鞘に収まった刀をゆっくりと吟味するように歩みを進める。

棚に収まる刀は50本くらいか。

じっくり見ているが刀剣どころか武器全般に対して俺に知識はない。

それどころか実物を見るのも今日が初めてだったりする。

刀身が真っ直ぐな直刀、りのあるこれぞ日本刀といったもの。

どう違うのかよく解らない。

そろそろ刀の棚が終わりに差し掛かった時、目が離せない刀があった。

その刀は柄の部分(手で握る所)が他の刀とは違い短く、つばの形も違っていた。


「その刀が気になるのか?」


声を掛けられるまで後ろにいると気付かない程、この剣に魅せられていたようだ。


「その刀は軍刀だ、サーベルって言えばお前でも聞いたことくらいあるんじゃないか?」


「これがサーベル…」


手に取り、ゆっくりと鞘から抜く。


その刀身を見た瞬間、全身に鳥肌がプツプツと浮かぶのが分かった。


「気になるなら装備してみろ」


言われた通り装備してみる。


名前:御堂(みどう) 久遠(くお)

職業(ジョブ):なし  称号:大物喰いジャイアントキリング完全試合パーフェクトゲーム


レベル:1  0P

筋力:14+20

体力:18+20

魔力:1+20

精神:14+20

耐性:8+20

器用:16+20+1

俊敏:14+20

魅力:11+20

幸運:13+20


技能(スキル)

直感

装備中:無銘の軍刀サーベル

    器用の指輪


「ん?」


あれ?攻撃力は何処に?

困惑気味な俺を見て満足そうに頷く先生。


「お前、攻撃力が表示されないとか思っただろ?」


「思ったけど、出ないの?」


「出ないぞ」


「えっ!じゃあ、どうやって強さを判断するの?」


「そりゃあ、武器鑑定を持つ技術職業の奴に聞くかだな」


なんだと?!


「まあ、ここにあるのは攻撃力10〜15くらいのなまくらと認定された武器だけだ」


なまくらって…作った学生は悔しいだろうに…。

攻撃力が表示されないのは少しがっかりだが。


「ちょっと、そのサーベル貸してみな」


言われるがままサーベルを渡す。


ヒュンッ!


渡した途端、サーベルを一振りした。


ヒュンッ!ヒュンッ!


続けてエックスを描くように。


ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュンッ!


は、速すぎて見てねぇ…。


「剣の重心は悪くない。これなら変な癖が付くことも少ないだろう」


凄い、これが前線で活躍する剣士の実力なのか。

いや、実力の一部を垣間見たってことか。


「どうする?これにするか?」


その問いかけに俺は…。


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