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21話:その後


1年生最強決定戦から1周間が経った。

最も最強決定戦なんて言っているのは俺と保奈美だけだが…。


あれ以降、俺は1年生の中では有名となり戦闘科以外からは頻繁に声を掛けられることが増えたが同時に戦闘科からは露骨に避けられている。

元々、仲良くしたいとは少ししか思っていなかったし…。べつに気にしてないし。


後は姫川も学校に馴染んできたみたいだ。

理事長のお達しの後、誰もが解散だと思ったのに彼女だけが続ける気満々だった。

いや、あれで終わることに納得していなかった。

そもそも絡まれたのは自分が先だと俺と同じように打ち負かさないと気がすまないと。

彼女の言い分も分かると理事長、最もな言い分だと東雲先生。

この2人に逆らえる人間は大訓練場コロシアムにはいなかった。

指名されたのは姫川に最初に絡み、俺と一戦目に対戦した生徒だったが。

あれは見てられなかった…。


俺との戦いでまだ痛むお腹、東雲先生の威圧で生まれたての子鹿のように震える足。

理事長と東雲先生からの指示に逆らえず、半泣きで闘技台リングに上がってたな…。


姫川は俺が4人目との戦いで持っていた木刀を奪うと突進するように相手の喉に突きを放った。

勿論、相手は何も出来ずに光になったよ。

あれ以降そんな姫川に絡む男子はいない。


そして、姫川も称号:大物喰いジャイアントキリングを獲得した可能性が高い。

学校生活では良いライバルになりそうだ。


そういえば、戦闘科の教師2人だがきっちりと前線に戻されたらしい。

東雲先生が聞いてもいないのに教えてくれたよ。

なんでも飛ばされた教師達は理事長とは違う派閥に所属しており、クビにしたくても正当な理由が不足していたところ生徒である俺に対する態度が決め手になったらしい。

まあ、教員としてあれはどうかと思ったけど、俺を大人の政治に巻き込むのはやめてほしい。

代わりの教員は同じ派閥の人間とかでこれで少しは風通しがよくなるとか、生徒の前で言うことじゃないと思う。


それ以外は平穏で相変わらず、午前中は走り込みを午後は組み手やスキルを得た山口と柴田は素振りを続けていた。

が今日、俺は目標だった3時間を切ることが出来た。


「「はぁ、はぁ、はぁ」」


「御堂、2時間56分、姫川、2時間58分。2人とも合格だ」


「「はぁ、はぁ、はぁ」」


なんとか3時間を切ろうと最後に全力で走ったのがキツくて、地面に倒れ込み返事ができない。

隣では姫川が座り込みながら俺を睨んでる。


「1週間でクリアならまずまずだな」


なんで睨んでるんだよ。アイツ。

ところで称号のおかげで3時間切るぐらい楽勝じゃねーのかよと思った奴いると思うが初っ端から基礎能力をあげる訓練だからスキルを使うなと東雲先生に言われ封印している。

スキルじゃなくて称号なんだが効果をオフと念じたらオフになったよ。


「喋れないみたいだからそのまま聞け。午後からはダンジョンに潜る為の武器を選ぶ」


酸欠気味で頭の回転が鈍く感じるがついに武器選びがきたかと思う。


「この選択がお前達2人の分水嶺ぶんすいれいとなるだろう。後悔のないようにしっかりと考えて選ぶように」


俺と姫川は武器系スキルを持っていない。

この先、クラスアップしたとして戦闘系になるのか補助系、または技術系になるのかも解らない。

東雲先生は職業なしから剣士にクラスアップしている。

本人の話によれば、幼少から父親に剣の指導を受けていたのが影響したのかもしれないと聞かされては持つ武器によって影響するのではと考えるのは不自然ではない。

残念なことに俺の魔力は相当低いらしく、魔法系はずないと言われた。

その先生の予想は合っていると思う。

根拠としては俺の魔力初期値は1。

2人だけの秘密と聞いた保奈美の初期魔力値は18だった。

職業なしはレベルアップ毎にステータスがALL+1され、カンストした際には俺の魔力値は21になる。

クラス1の時点では俺の方が数値を上回るがなんか直感のようなものが魔法系を目指せば、詰むと訴えかけてくる。

一応、俺スキル直感持ちだからこの感覚は大事にした方が良いと思うんだよね。

果たして、俺に適した武器はいったい何なのか?


昼休みを迎えて、保奈美達と一緒に食べる。

変わったことと言えば、姫川がこのグループに加わったことか。

真由ちゃんがどうも姫川のいたアイドルグループを推していたらしく、俺に誘ってこいと保奈美を使って言ってきた。

保奈美の頼みでは断われない俺は渋々、姫川を誘った。どうせ断られるだろうと思っていたのに何でオーケーしてんだよ。

おかげで男は俺1人で相変わらず、昼休みの様子はハーレムだ。


「久遠くん、ネクタイ曲がってるよ。直してあげるね」


午前中の走り込みの後、着替えるのも億劫ながらなんとか着たが身だしなみは確認していなかった。


「これで良し!」


保奈美にネクタイの曲がりを直してもらうのもありだな。


「「「じとー」」」っとした視線を周りから感じるが俺も保奈美も慣れたもので最早気にもしない。


「うざっ!」


姫川はわざわざ声に出してくるが心に余裕がある俺からしたら単なる妬みにしか思わない。

お返しに憐れな者を見る目を向ける。


「マジッ!うざっ!」


こんな感じで姫川とはクラスメイトとして関係は良好だ。


「久遠くん、武器何にするか決めたの?」


「それがまだなんだよな〜、姫川は決めたのか?」


「あんたになんか教えないわよ!」


この後、一緒に選ぶことになるからどうせすぐに解るのに何に対してムキになっているのやら。

ちなみに回復科は今週から魔法の実習に入っており、保奈美はネックレス型の魔法具を選び、真由ちゃんは髪留め型の魔法具を選んでいる。


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