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17話:称号からの称号


「じゃあ、次はお前が相手してくれるんだよな?それともこいつと同じで口だけか?」


「舐めるな!相手してやるよ!」



それにしても運が良い。

お互いにレベルが上がっていたらジョブの上昇値の差で俺の勝ち目は薄くなっていた。

そしたらこの称号も手に入らなかっただろうし、成長してからではクラスの格差がなくなり、取得は難しくなっていた。

何より剣士のジョブを得たからって、自分が強くなったとかジョブで劣る奴に負けるはずがないと勘違いしてるこいつらをぶちのめせるのが最高に気分がいい。


「位置につけ!他の奴らは闘技場リングから降りろ」


お互いに睨み合う。


「久遠くん!次も勝って〜!」


保奈美の応援が最高に心強い。


まずは観察だ。

相手も素手、持っていた武器を仲間に渡してたところを見るにさっきの奴とは同じてつを踏まないだろう。

その判断ができるあたり、格闘技経験者か。


東雲先生がゆっくりと腕を上げる。


相手はスイッチが入ったように腰を下げて構える。

この構え方はテレビで見たことがある。

レスリングだ。

ならば、相手が狙うのは俺の足か。


「はじめっ!」


相手は合図と同時にタックルを仕掛けるべく、突進してくる。

一瞬だが目線は俺の足を見ていた。思った通りだ。

ならば、俺はカウンターで迎え討つ。

注意するべきことは勢いで負けないことだ。

レスリング選手が数あるスポーツや格闘技の中でも特に首を鍛えているイメージがある。

カウンターで膝蹴りを顔面に叩き込む算段だが首が強靭な為、半端な蹴りでは勢いを殺しきれずにそのまま足を取られてしまう可能性が高い。


最初の一撃が肝心だ。


「おおぉー!!」


勢いで負けるわけにはいかない。雄叫びを上げて、全力で駆け出す。

そんな俺の姿をみて、相手がほくそ笑むのがわかった。

どうせ真っ向勝負なら負けないと思っているんだろうが誰もレスリングで戦うなんて言ってないからな。

ましてや称号のおかげで俺のステータスは全て20%上がってる。

パワーもスピードもテクニックもだ。


お互いの距離が1メートルを切った辺りで相手が両腕を伸ばし、掴む体制に入った。


ここだぁ!!


相手が足を取る為に頭を下げたのに合わせて、膝蹴りをかます。

そうすると俺の膝に吸い込まれるように相手の顔が当たる。

足は腕の3倍の力と言われ、力は足し算、速度は掛け算だ。(俺理論)


ボキッ!


ステータスが上がった分だけ俺の膝蹴りは威力を増し、軽々と相手の身体ごとひっくり返した。


直感での完璧なタイミングだったのもあるが自分でも予想以上の威力を発揮した結果だった。


それと当たった瞬間に相手の首からヤバイ音がした。

流石にやり過ぎたかと倒れた相手を見れば、白目を向いてる。

そして、光出したかと思えば消えてしまった。

これはまさか・・・。

コロシアムは静寂に包まれる。


「勝者!御堂!」


東雲先生の宣言で会場が沸く。


「おおー!アイツ職業なしのくせに2人抜いたぞ!」

「戦闘科の奴らマジでザマァ!」

「アイツら態度でかいだけでホントは弱いんじゃね?」

「戦闘科が聞いて呆れるぜ!」


俺は集中して気付いていなかったが知らない内に魔法科と補助科の生徒達も観覧していたようだ。

彼らはきっと知らないこのコロシアムの仕組みを…。

なぜ、相手は光となって消えたのか…。


俺と戦った相手は既にリング外に無傷で立っていた。

戦闘科の奴らが気を使ってか声を掛けているがその表情には感情がなくなっている。

まあ、初めての・・・だからまあ、平常心ではいられないよな…。



「小山先生!加藤先生!今年の戦闘科は大丈夫ですか?流石に2人続けて負けるとか恥ずかしくて明日から授業出来ます?俺なら出来ないな〜」


おいおいおい!?東雲の奴、何あおってんの?!

煽られた先生達こめかみに血管浮いてんだけど!


「緒方ぁ!次はお前だぁ!」


完全にイライラしている戦士クラス担任の加藤先生が生徒を名指しで呼ぶ。


呼ばれた奴は集団から抜けて、ゆっくりと闘技台リングに上がってくるとそのまま俺へと近寄ってきた。


「お前、少しはケンカ慣れしてるみたいだけど俺にはお前の喧嘩殺法は通じないからな。雑魚は雑魚らしく俺に殺られろ」


なんか雰囲気のある奴らが出てきた。

俺、次で3戦連続になるんですけど、これってフェアなのか?


「両者!中央へ!」


「久遠くん!そんな奴ボコボコにしちゃって!」


ついに保奈美もヒートアップしてきたようだ。

俺は任せとけと拳を突き出す。


「保奈美に勝利を捧げるぜ!」


勘違いしないでほしいが普段はこんなことを口に出したりはしない。人前では…。

ただ3戦目ともなるとテンションを上げていかないとやっていられない。

保奈美はまさかの言葉に顔を真っ赤にしながらも期待した眼差しを向けてくる。

負けられない理由が出来たぜ!


「御堂、ちゃんと正面を向け」


そうだった。今は対戦相手に集中だ。

東雲先生が腕を上げると相手は構えをとる。


相手の構えを見て、戦闘スタイルを観察。

またも見たことがある構えだ。

細かい流派や何の構えまでは解らないが間違いなく空手の構えだった。


内心で厄介だなと思うが正面からまともにやり合ったらの話だ。

そう、空手と喧嘩で殴りあったら勝ち目は薄い。

じゃあ、殴り合わなければいいと思う。


「始めっ!」


合図で開始されても相手は不動だ。

回り込むように移動するが俺を真正面で捉える。

恐らく俺の攻撃など対応出来るという自信の現れ。

いや、俺ごとき返り討ちにしてやるとでも思っているのだろう。

好都合だ。


俺は1人目、2人目と偶然が重なって一撃で倒している。

相手は俺の初撃を意識しているはず。

俺は助走に十分な距離を取ると警戒してか相手の重心が下がった。

重心が下がれば身体は安定するかもしれないが俺の狙いは胴体、全速力で駆ける。


向かっている最中、かかってこいみたいな顔が見えた。

その顔を歪ませてやるぜ!

相手の間合いに入る前に俺は飛ぶ。傍から見たらライダーキック。

相手は防御か手か足での攻撃を考えていたのだろう。

驚愕の表情を浮かべる。だがすぐに表情を切り替えて避けるのは無理と判断したのか防御を選択した。

俺はガードを固める両腕に構わず、ライダーキックを当てる。

綺麗にガードされた俺のライダーキックは大したダメージを与えることが出来なかった。

ただし、相手も中学を卒業したばかりの学生。

ライダーキックの威力を殺しきることが出来ずに尻もちをつく。

そして、俺の初撃を止めたことでお前の攻撃なんて効かないぜみたいな顔をしてくるが残念ながら俺の狙いは初めからお前を転がすことだ。


相手が顔を上げた頃にはすでに次のモーションに移っていた。

ちょうど、蹴りやすくなったお腹目掛けてサッカーボールキック。

ガードは間に合わず、学校指定のコンバットブーツが鳩尾に入る。


「がはっ?!」


俺はお前を舐めたりはしない。全力で蹴らなかった分、足の戻りが早い。

2撃目だ!


痛いだろうに必死でガードされてしまった。だけど悪いな…。これも予想通りだ。

また、素早く足を戻すと再びキックの体制になる。

それを見て、相手もお腹を守ろうとガードする。

しかし、俺が蹴ったのは顔だった。


顔を蹴られて軽い脳震盪でも起こしたのか後ろに倒れる。

再びお腹が空く。

後は止められるまで蹴るのみ。

「がっ!」

「ぐっ!」

「オェ!」

「・・・」

「そこまで!」


流石というべきか担任が指名するだけあって、タフな奴だった。


そんなことは今はどうでもいいか。


俺はガッツポーズを決めて、保奈美に振り返る。

そこには嬉しそうに微笑む保奈美と顔が引き攣りドン引きしている女性陣。


ピコン!


[称号:完全試合パーフェクトゲーム]を獲得しました。


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