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11話:入学式前


寮に入ってから初めての朝、真新しい制服に身を包み、備え付けの鏡で確認する。おかしなところはない。

ブレザーの制服でネクタイをしているが正直、生まれて初めてのネクタイということで家では何回か練習したのは秘密だ。

この制服も一見ただのブレザーにしか見えないが魔物の素材を使用していて、かなりの耐久性があるらしく、しかも軽くて動きやすい。

その為、学生の間はダンジョンに潜る際も着用するみたいだ。

朝の準備は終わり、食堂へ向かう。


食堂の席はすでに半分程、埋まっていたが昨日知り合った顔がいたので隣に座る。


この寮の一階の生徒は補助職業サポーターの学生がほとんどを占めており、食堂では穏やかに過ごしているが上階へいくほど、戦闘職業アタッカーの割合が増え、食事時は喧騒とした雰囲気らしい。

余裕を持って、行動したい俺は知り合った奴らとの話もそこそこに指定されている教室に向かう。


ちなみに食堂には浜口もいたのだが約半年間の引きこもりにより、体重は倍増しており御堂は気付かないでいた。


ブレイバー学校は15歳から18歳までの3年間の義務教育というていではあるが事実はモンスターを駆逐し、人類に新たな資源を供給する人間の育成が求められている為、中身は軍隊育成所のような気質であり時間に厳しい。

まだ、実感はしたことないが…。


真新しい制服に程よい緊張と興奮でソワソワと教室に向かおうとしている俺は新入生とまるわかりだ。

そして、在校生との1番大きな違いは武器を携帯しているかしていないかだ。

すれ違う在校生達は各々で愛用している武器を持っているようで大剣や槍、両手斧、大盾など、座学を受ける時とか邪魔にしかならないと思うがどうしているのだろうか。

(各教室には保管用のロッカーが備わっている)


そういえば、俺って武器を何にするかまだ決めてないんだよな。


通常、ジョブにあった武器を使用するが御堂は職業なしの為、まだ武器を決めていなかった。


校舎に入り、案内板に従い教室を目指す。ブレイバー学校では緊急時に備えて、上履きなどに履き替えたりはしない。


教室は1階にあるみたいだ。ここでも4階は戦闘科、3階が戦闘魔法科と斥候科、2階は魔導技術科と補助科、そして1階は回復魔法科と職業なしのクラスがある。


「(よしっ!保奈美の教室と近いぞ!)」


内心でガッツポーズをしていると最も聞きたかった声が聞こえる。


「久遠くん、おはよ!」


俺は嬉しくて、満面の笑みで振り返る。


「おはよう!保奈美!」


そこには新しい制服を着た恋人の姿があった。

中学の制服も私服も良かったがこの制服もまた似合っている。


「そんなにじろじろと見られたら恥ずかしいよ」


「ごめん、でもすげぇ可愛いなと思ったらつい」


俺の発言に保奈美の顔は見る見るうちに紅く染まる。やっべぇ、俺の彼女マジ天使じゃん。


「久遠くんもカッコイイよ」


「ねえ、朝から2人だけの世界に入らないもらえるかな?」


なんか声が聞こえたので保奈美の横を見れば、見知らぬ女の子がいた。


「真由、ごめんごめん!」


「全く、朝から見せつけてくれるわ、はぁ~。それより早く紹介してよね」


「久遠くん、この子は同じ部屋でクラスも同じ回復魔法科の茅ヶ崎ちがさき 真由まゆちゃんだよ」


「よろしくね〜」

「よろしく!」


軽い感じで挨拶されたが見た目にギャップがない。というのもギャルだ。うん、完成度の高いギャルだ。

髪はピンクブロンドの毛先がフワフワ。メイクもバッチリでミニスカート。俺のイメージ通りのギャルだ。


「ちょっと、久遠くん見過ぎだよ!」

「ごめん、俺のこと聞いてるかもだけど、御堂久遠。保奈美の彼氏です」


自分で言っといてなんだが結構恥ずかしいな。


「うげぇ、朝からもう甘甘でお腹いっぱいなんだけど〜」

「ちょっと、真由〜」

「はいはい」


俺達は会うのは3日ぶりだからと他愛もない会話は続いた。


「ねぇ、そろそろ教室行かない?また、休憩時間にでも会えばいいんだし〜」


後ろ髪を引かれる思いではあるが真由ちゃんの言う通りだ。そして、俺のコミュニケーション力の成長も見せれたし、教室へ向かう。

廊下を進み、回復魔法科は手前の教室で職業なしは奥みたいだ。


名残り惜しいが保奈美と別れる。


「じゃあ、またね」

「ああ、保奈美そのアイシャドウすげぇ似合ってるよ」

「…バカ」


また頬を染めると俯きながらひと言だけ言い残して教室の中に入っていった。


「ハァ〜」


真由ちゃんはもう勘弁してよとジロ目で後に続いていった。


さて、俺も自分の教室に向かうか。と言っても隣なんだけどね。


扉の前に行き、開こうとした瞬間、中から女の声が聞こえてきた。


「ちょっと!やめてって言ってるでしょ!」


これは只事ではないかもと思い、勢いよく扉を開けた。

教室には1人の女の子と取り囲むように男が2人。

扉が開いたことに気付いたのか3人がこちらを向く。

これはあれだ。なんかカッコイイ台詞を言わないといけない展開だ。



「お前ら俺の女に何してんだ!」


あっ、やべ!保奈美のことと間違えたわ。









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