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10話:入寮


両親と別れ、ガラガラとスーツケースを引きながらブレイバー学校の校門を目指す。

一応、学校と言っているので桜並木を想像していたのだが桜どころか木すら植えられていない道が続き、門では守衛が対応している。

俺と同じようにスーツケースを持った者が列を作り、並んでいる。

どうやらここで手続きが必要みたいだ。俺も最後尾に並んで待ってると守衛の1人が手続きをスムーズに済ます為、声を掛けてくる。


「スムーズに手続きを済ます為に入学許可証を出しておいてください」


指示に従い、事前に郵送されてきた入学許可証を取り出して待つ。

待つ間、手持ち無沙汰だったのでブレイバー学校を観察する。


学校にしては高すぎる壁にその上には有刺鉄線。いざという時、前線基地になるわけだから普通なのだろう。

そして、さっきも言ったが木とかなんというか自然を感じるものが一切見えない。代わりに見張り塔というのだろうか?それがポツポツと見える。

まあ、いざという時、前線基地になるわけだから普通なのだろう。

いや、これ学校って言ってるだけで自衛隊の基地じゃん!


まあ、いざという時、前線基地になるわけだから普通なのか?


「そういえば、学校の案内書見たか?」


退屈だっので前に並んでる奴らの会話に耳を傾ける。


「ああ、見た。今年からクラスが増えるって書いてあったな」


「なんでも教育の質を上げる為にジョブ毎に分けるって話だけど、俺らみたいなポーターには正直助かるぜ」


「ホントだよな。戦闘系の奴らがとにかく、デカい顔するから分けてくれて助かったよ」


そうなのだ。俺も案内書を見て驚いた。

職業なしの俺も別クラスなのだ。

しかも、特別講師が指導するとあって、その下には顔写真とブレイバー履歴が書いてあったのだがそれを見た瞬間、震えたぜ。

履歴にはこう書かれていた。


職業なしからクラスアップした唯一の男。

たゆまぬ努力で今では3次職。

現在、最も4次職に近い男と言われ、日本を代表するブレイバーの1人。


東雲しののめ 龍也りゅうや講師


職業なしからクラスアップした。大事なことなのでもう一度言おう。

職業なしからクラスアップした。


奇しくも俺がこの学校で証明しようとしていたことを実現した男。

先を越されたのは悔しいが先人がいるのは心強い。ましてやその人が講師とか参考にしかならない。


最初にこの履歴を見た時の衝撃は計り知れなかった。


「次の方、此方へ」


俺の番が来てしまった。とにかく、この東雲講師の存在を知ってからというもの期待でブレイバー学校へ来るのが待ち遠しかった。


「問題ないですね。寮の場所は案内板が出ているのでそれに従ってください。次の方、此方へ」


守衛の声を背中に真っ直ぐ進む。正面には敷地内で1番大きな建物があり、周辺には中小いくつかの建物が建っている。

中でも目を引くのはサッカーコートが丸々収まるであろう大きな体育館。

学生達の間では別名、コロシアムとも言われ学園生活で最も盛り上がり最も熱いイベント。

学内ランキング戦が行われる場所として有名だ。

このランキング戦で序列が決まり、上に行けば行くほど優遇があるって話だ。


早くランキング戦を見てみたいが残念ながら今日はやっていないし、寮とは逆方向になる。


それにしても敷地が広い歩くだけでも一苦労だ。

校門から15分は歩いたのではないだろうか。やっと、目的の寮へと辿り着いた。

寮の見た目は公共団地といった具合でそれが4団地。

ここで3年間過ごすことになるのか。


他の人達と共に入り口へ向かう。ここでも書類を見せて部屋の鍵を貰う。

俺の部屋は1階で通常は1部屋に2人なのだがどうやら俺1人みたいだ。

1人の方が気を使わなくて済むからラッキーだ。


食事は朝7時と夜7時に各階にある食堂で摂ることと決まっている。昼飯は校舎にある学食で摂るとのこと。


今は14時をまわった頃。まだまだ、時間はある。


さて、何をしようか?


考えた末、敷地内をぶらつくことにした。

明日の入学式が終わった後に校内や施設の案内があるらしいが先に知っておくのも悪くない。

ただし、校内や施設の中に入ることはできないので外をうろうろするだけだ。


荷解きする程の荷物もない為、簡単に衣服をクローゼットにかけて、外へと出る。


ふらふらと目的もないまま、歩いているが俺以外にも似たような奴らが結構いる。


学生寮ということでかテレビは部屋についておらず、食堂にしかない。

Wi-Fiはあるが今はスマホをイジる気にはならない。


そんな感じで目的もないまま、ひたすらに歩いて夕食までの時間を過ごすのであった。


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