7月の小春日和
うらうらと暖かい日。
おじいさんは掘り拡げた洞が上に延びて柏の木の最初の枝の付け根にある洞に繋がったので、そこに転がっていた、洞には東から朝日が差し込んで眩しかった。
雨はタップリ繁った柏の葉が傘になって入ってこなかった。少々日当たりが良すぎるのが玉に瑕で、
下からは焚き火の熱気が上がってきて洞は暑かった。
「ふわあ~のどかじゃのう。」
部屋の隅にはドングリコップが置いてあって、時折チビ人気がジャンプする。何をしているのか聞いてみたら、小さい虫を捕っているらしい。ちょうど良いのでドングリコップを持ち歩く事にした。チビ人魚は器用なもので虫を捕った後で壁に跳ね返ってドングリコップに戻ったりした。
「5.0、5.0、5.0、4.7、5.0、19.7てん!」
「どおして20てん満点じゃないのさ」
「そういうものなのじゃ、どこかの国の人が少し低い点数にする。」
「おじいさんはドコ国の人?」
「地球国じゃ」
(ぶ~ん)虫が来てチビ人魚が跳ねた。
「どう?どう?」
「5.0、5.0、5.0、4.6、5.0、19.6てん!」
「点数落ちたじゃん」
「虫の国が点数を下げとるな」
「ん?おじいさんはチビ人魚の口をこじ開けた、お前さん、面白いものをたべたのぅ」
「え?なに?なに?」
「こいつはミツバチじゃ、ばあさんが喜ぶぞい。」
おじいさんは洞の中をキョロキョロしはじめた。
「居た!ここじゃな」
洞の裂目に何やらブンブン集まっている。
「巣があるのう」
おじいさんは枝を1つ手に取ると、洞の裂目を掘り始めた。やがて、
「お?!当たりじゃ当たり。」
棒の先にドロッとしたものがくっついて、おじいさんが舐めて頬を押さえた、
「むほー甘いのう。」
今度は突っ込んだ枝をくるくる回して、どろどろが落ちないようにする
「ばあさんや!、ばあさんや!」
おばあさんは下の洞で魚を焼いていた、
「なんですか?」
「ほいっ!」
おじいさんはおばあさんの口の中にハチミツを絡めた棒を突っ込んだ
「むぐ?!何をするんで…」
言いかかって頬を押さえた。
「甘い!」
「そうじゃろそうじゃろ、天然じゃぞ?」
「やりましたねおじいさん、お手柄ですよ。」
「ワシじゃからな!」
片手でチビ人魚に「シーッ」としたが、チビ人魚は何だかわからない様子だった。