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柏ノ木の家  作者: 桃色ゴブリン
到着
2/3

6月の雨の日

6月の冷たい雨の日、おじいさんとおばあさんは柏ノ木の洞の中でピッタリくっついて雨宿りしていました。

「うぅぶるぶるぶる、寒いのう、ばあさんもっとバーニングじゃ」

「あたしゃカイロでもなければ焚き火でもないよ、なんだいそのバーニングって」

「ばあさんよもっと熱くなれ!」

「変なとこばっかりさわるんじゃないよ。あ、摘まむな!」

「昔はもっと肉があったのに、今は皮ばっかりじゃな」

「おじいさん、それはせくはらって言うのよ、」

「昔は肉があったのも認めてるんじゃからサービスじゃ、わしのサービスにご不満かの?」

「おじいさんのセクシャルサービスなんかまっぴらです!」

「あ、ほれ、離れるな、サブい!」

「ホントに寒すぎます。何とかして下さいおじいさん。」

洞の外では小川が増水して飛沫を上げ、洞の中をびちょびちょにした。そして、洞の底どこかで川の水が流れ込んでいるのかゴボゴボと水の流れる音がして湿った冷たい空気が上がってきた。

「これはいかん!」

おじいさんは洞の入口で焚き火を炊いたが焚き火の熱気は洞に入って来る事なくながれていってしまうようだった。(ドチャペタ、ドチャペタ)音がしてカエルが上がってきて洞に詰まった。

「こりゃ、来るな!」

しかしカエルが洞に詰まって空気の流れを止めたので、少し暖かくなった

「不味いぞ、一酸化炭素中毒じゃ!」

「どっかで聞いたセリフ・・・」

おじいさんは洞の内側を焚火の火で焼いて掘り始めた。

「わしの夢じゃとこの洞はもっと広い筈じゃ」

洞の内側は木が腐っていたのか簡単にボロボロと広がった。

少し掘ると、ツルッと磨いたような木の肌が出てきた。ボロボロと掘り広げて行くと、洞の中は四畳半くらいに広がって

磨いたような木の肌は焚火の火を反射しはじめた「あら、何だか暖まってきた気がしますよ。おじいさんバーニングしたんですか?」

「ワシはいつもバーニングしとる」

「ほれ、もっと火の近くへ来い。洞の中にあった湿ったカスを捨てたんじゃよ」

「あら、全然違いますね。」(ドチャペタドチャペタ)

カエルが熱くなって戻って行くと、洞の奥から新しい空気が入ってきて、焚火はさらに燃え上がった、

「火事になりますよ」

おじいさんが小川の水をかけると、じゅ~っとスチームが上がった

「こりゃ、サウナじゃな、ととのったぁ」

「今度は暑すぎますよ」

「適当に洞を降りれば涼しいぞい?何なら水風呂もある」

おばあさんは洞の中をまだ掘っている。

「アラアラ思ったより拡がりますよ」

上に抜けられる穴を見つけたようだ熱気が上に逃げて行く。

「ばあさんや、何だか寒いぞい、その穴にもう少し蓋をしろ」お

ばあさんは柏ノ木の葉を蓋にした。火力調節は簡単そうだ、

おじいさんは前日に捕った鱒を枝に刺して火にかざした、パチパチといい匂いがし始める。

「脂がのってますねぇ」

「ばあさん、ヨダレで火が消えそうじゃぞい」

「だってアンタ、お腹がすいてもう!」

「ワシもじゃ」

やっと部屋っぽくなった洞の中で2人はムシャムシャと焼魚を食べて満足した。

「次はあまいものがほしいわねぇ」

「婆さんは贅沢じゃ」

2人はお腹イッパイになって暖かい洞で眠りに着いた。

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