三、旅の果て
旅の終幕は・・・。
翌日すっかり回復した心。
ほっとした明は車を一気に走らせ青森へと向かう。
1日車中泊し龍飛岬に到着した。
「ああここが、津軽海峡冬景色の竜飛岬ね」
「古い歌をよく知ってるね」
「お母さんがよく歌ってたの」
「そうか」
明はふいに真顔となり眼前に見える海原を見つめた。
「どうしたの」
「実は・・・」
「ん?」
「旅の費用が・・・10万円を切って」
「うん」
「海を越えて、北海道に行くべきか避けるべきか」
「行くべきよ!北海道行きたい」
「でもねえ」
「為せば成る」
「って、どうやって」
...10分後ふたりはパチンコ屋に来ていた。
「ここでひと稼ぎよ」
「心ちゃん、刹那的で無謀だよ」
「為せば成る信じれば道は開くよ、大勝負」
「はあ」
「北海道行くのが運命なら必ず勝つ」
「そういうものなのかな」
「そういうものよ」
「さあ、ガロで(初代ガロ、パチンコ爆裂機)」
「ガロって、あのガロ」
「デッドオアライブ(生か死か)よ!さらにはビギナーズラック」
「うわああん」
パチ屋の爆音響く喧騒の中、二人は決死の勝負を仕掛けた。1時間2時間と経過し、全く当たりが来ず、二人に陰鬱な空気が流れ始めた頃だった。
「きたっ!」
「何?」
「激アツリーチだよ。ここで当たらきゃ、なんで来る」
「赤オーラの魔界竜リーチ!」
「そうさ、カモン!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
固唾を飲んで見守る二人の期待も虚しく見事にド外れしてしまった。その後はもう黙々とお金を突っ込むだけのツッコミマシーンと化してしまった。二人は4万ずつ負け総額8万円、残金2万円おそまつという結果で旅の終焉を迎えることとなった。
ちゃんちゃん。
突然に。