十四、前へ前へ
動き出す。
それから後、明たちは自分たちの事に忙殺された。まずいつまでもネット難民をするわけにはいかないので、二人で暮らすアパートを探した。
運良く手頃な物件が見つかったので、即契約をして来月の初めには入居できることとなった。
心は会社を辞め、家出同然に飛び出してきたので、明は彼女の実家の両親に会いに行き、娘さんを下さいと申し出た。
バタバタしていたので事後、改めて心にプロポーズをするという要領得ない形となったが、彼女は喜んでくれたので、明はよしとした。
そんな慌ただしい日々が続く中、神戸氏からホームページが完成したということなので、オーナー宅へと向かう。
神戸氏とパソコンを囲んで、上村夫妻、明と心が画面を見つめる。
いざネットにつないで別府秘宝館を検索すると、記念すべき来館者カウントに1が灯る。
いきなり AKB の「会いた○った」が流れて、動画部分のウィンドウが秘宝館の良いとこどりのダイジェストが流れ始める。
場所、アクセス方法、見所、会員登録、ミニゲームなるものまであった。
さらに、いらなくなった珍宝、展示品の募集までされており、至れり尽くせりのホームページだった。
「すごいっすね、これ!」
明は思わず言った。
「そうだろう」
と得意げな神戸氏。
「でもこの曲まずいんじゃないの?版権とか・・・」
心は呟いた。
確かに彼等は秘宝館に会いたかった(再建)。でも必ずしも会いたくないと思う人たちもういるわけで・・・それよりなにより社会的マナー違反はよくないだろうという結論に至った。
という訳で、各自が意見を出し合った結果、曲はクラシックの「展覧会の絵」に差し替えることとなった。
夢へ。




