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十一、逆転
明。
それから三日が経ち、紳士上村氏から閉館したある秘宝館で、展示品を一部譲り受けることになるという知らせがあった。
ただし、上村氏はその日は所用で行けないということだった。
「はいわかりました俺が行ってきます」
明は即答した。
次の日オーナー所有の軽トラを借り、早速その秘宝館へと向かった。
そして彼にはもう一つ目的があった。
心のことである「考えてみる」と言われて、その後、気持ちが決まったとメールがあったのだ。
あの喫茶店で会うことが決まり、秘宝館行きの道中で立ち寄る。
今回は心の方が先に来ていた。
対峙して座ると、明の心が早鐘を打つ、開口一番、
「ごめん」
と、謝る。
「それは何に対して謝っているの?」
「それは今までのこととか・・・」
「謝るようなことをしたという自覚はあるのね」
「はい」
「わかった。じゃあ発表します。私、藤枝心はあなたについていきます」
「へ」
思わず明は、素っ頓狂な声をあげる。
「しょうがないじゃん。好きなんだから」
心はそう言うと、テーブルの上にどっかりとボストンバッグ置いた。
大逆転だった。
心。




