十、灯明
灯りが・・・。
別府に戻ると明は、再検討の話し合いが行われる間、存続に向けた案をひたすらに模索した。
時間があればオーナー達と話し合いを持った。そしてついにその日がやって来た。
手元にはおよそ30枚に及ぶ資料と案を用意し、存続に向けた強い決意をみなぎらせた。
公民館に集まったのは前回のメンバーともう一人、秘宝館に半年に1回訪れるという地元のヘビーリピーターの神部さんという方だった。
(神戸さん・・・)
巨大な体躯と光る銀縁メガネはまさにヲタの権化といった姿である。
会長が一声あげる。
「では秘宝館の存続について始めます」
明は早速挙手し、会長は頷き、発言を促した。
「まずはこれを見てください。ネットで存続を願う人たちの声です」
「では秘宝館に寄せられた手紙も」
オーナーも同調し、車座の中央に紙を置く。
「では僕も、存続を望む人達300人の署名を」
激しく身体を揺さぶりながら神戸さんは、紙袋から署名の入った紙を取り出した。
心なしか顔が赤く上気しているようだ。
明は、これだけの署名を集めたという神戸さんのバイタリティに感心するとともに、強力な援護に感謝を覚えた。
ただちらりとこちらを見てドヤ顔見せたのはいただけなかったが。
みんなの思いの込められた声や手紙署名を、メンバーは30分ほど目を通した。
「あっ!これ、オレの書き込み」
神戸は1人、ハンバーガーを食べながらネットの資料を見ている。
上村氏は思わず涙を流している。
部長さんはため息をついた。
「これだけの声があるのは正直驚いたよ。でも再開するにしてもいろんな問題点を解決する策がないと」
会長腕組みし、
「うむ。いざ再開しても今のままではとても立ち行かないだろう」
その言葉にはオーナーも下向き加減で頷いた。
・・・・・・。
・・・・・・。
それから救世の案を持つであろう、明に熱い視線が注がれる。
明は一つ咳払いをし、
「はい。それについてはいくつかの案があります」
と言って次の事項をあげた。
一、ホームページを立ち上げ広く秘宝館の存在を知ってもらう
二、開館の日を観光客が見込める時期や土日限定とし、損益をなくす
三。リピーターの確保のため、閉館になった秘宝館から何点かの展示品を譲ってもらい、秘宝館のレイアウトをかえて新しさを保つ
四、しっかりリニューアルをして新生秘宝館をアピールする
五、暗いイメージを払拭し地域と密着した秘宝館にする
六、後継者問題ですが、私でよければ是非やらせてください
明は最後の項は言うまいか迷ったが、自分の決意を示すためにあえて言った。
6つの案を言い終わると一同は静まり返った。誰しもが難しい顔をしている。明は額に冷たい汗を感じた。
しばらくして神戸さんが挙手した。
「上村オーナー。ホームページは僕に作らせてもらえますか?最高のやつにしますんで」
オーナーの顔が綻ぶと、ぺこりと頭を下げた。
「私も今までのお客さんの入り数を改めて調べて分析してみるわ」
「よし俺は閉館したところに、何か譲ってもらえるものがないか、かけあっていてみる」
夫妻は嬉しそうに言った。
「わかった観光課でもできることは考えてみよう」
部長は何度もうなずき、
「旅館でもパンフみたいなのがあれば置いてもいいのかな」
会長はみんなに同調してくれた。
そして明は、
「俺も頑張ります!」
これにて秘宝館は再建に向けての道を動き出したのであった。
見えた。




