てつがくの「てつ」ってメタルのメタですか?
哲学と鉄学
●「哲学って大事ですね」
〇「急にどうしたんですか?」
●「あ、出ましたね。急にとか、みんなすぐ言いますけど。逆に毎回の会話で、満を持されても困るでしょ?」
〇「もうめんどくさいですね。まぁ一理なくもないような気もするけど。本来その心構えOKなのは話しかけてきたあなた側ではなく、話しかけられたこちら側なんですけどね」
●「ちょっとテンポ悪いから先に進んでいいですか?」
〇「業沸くな…」
●「哲学って大事だと思うんですよ」
〇「どうしてそう思ったんですか?」
●「正論って別に、論理が矛盾していなくて、そうであろうっていうだけで、何ら人を惹きつけないじゃないですか」
〇「正論を目の敵にしているんですか?何があったかわかりませんが。まぁ、一見正しいことというのは大切と思われがちですが、正しいことは正しいだけですからね」
●「そういう言い回しいらないんで。で、実際どうなんよ?正論ってさ。立場とかにもよるし、正論それとしては理路整然としてるかもしれないけども、ちょっと魅力も影響力も乏しいよね」
〇「どういう時に感じますか?」
●「例えばね。信号無視した人がいるじゃないですか」
〇「よくないですね。信号無視」
●「そうなんですよ。信号無視はよくないんですよ。でもね。その人はやってるんですよ」
〇「まぁ。やってますね」
●「どうよ?」
〇「え?」
●「交通ルールを一切知らない純真無垢な子供っていう謎設定以外で、信号無視した人が、信号無視は良くないって分かってないわけないですよね?基本的に」
〇「なぜ信号無視をしたかというのは置いておいて、やったことが『悪い』とわかってるわけだから、『悪いことだよ』という正論には何の力もないと」
●「理解が早くて助かります」
〇「でも抑止にはなりうるんじゃないかな?『悪いことをした』事後から考えると無意味かもしれないけど、未然に『悪いこと』だという正論が存在しなければもっとより多くの『悪いこと』が行われていた可能性があるわけで、正論があってこその…」
●「そうなってくるとね。例えば正論の前提となる文法が違えば、同じ現象でも正否・善悪の意味づけは変わってくるわけで…つまりは正論っていうのは何かそれを正論たらしめる共通認識だの規範だのに支配されているわけじゃないですか」
〇「うぅん。そうも言えますかねぇ」
●「そうであれば『私は正論を言っているのだから言うことを聞け』と言ってみたところで『君の言うことは君の言っていることの中でそれ自身には矛盾しないことだけれど、私にとって何の意味もなさないので無視します』でおしまいじゃない?」
〇「なるほど。それで冒頭の『哲学って大切』って話になってくるわけですか」
●「理解が早くて助かります」
〇「じゃぁ、哲学と理屈の違いって何ですか?」
●「え?」
〇「え?」
●「哲学の定義を曖昧にしたままこの話してます?」
〇「そんな正論みたいな理屈で押し切ろうとしたところで無意味です」
●「…」
〇「…」
●「まぁ、何のかんのいうことは大事で、議論したり、意見を出し、広く人の目に触れるということは大事ですが、一番大切なのは…」
〇「思いやりかもしれませんね」
●「これさ。全然落ちてないよ?」
〇「だから、読者さんも思いやりを持っていただいて…」
●「え?まさかのメタエンド??」
〇「タイトルのフリ回収です」
●「そもそも漢字が違います」
ごり押したけど『メタルのメタ』ってそもそも何よ