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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
02_Squilla is not chair.

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02-22

 コルベットやフリゲートの大量配備は諦めたが、恒星系警備隊の船は機械的知性達が乗り込んで操船するので安全には過剰なくらいに配慮したい。船以外で警備隊に有用な何か良いものはないかなと≪金剛城(こんごうじょう)≫のデータベースを漁ることにした。

 エネルギージェネレーター、シールド、武装、センサー、推進器、コクピットユニットなどの船の性能に関連する類のものは船を建造する段階で一番良い物を組み込んであるので手を加える余地はない。

 あれこれ考えた結果、恒星系内のあちこちと外縁に設置する予定のセンサー類と艦載機の基地として改装したコンテナを弄ることにした。


 まずセンサー類。

 ≪金剛城(こんごうじょう)≫で大量生産できる程々のものから、大量生産できる内で最上のものへ更新。


 俺やムチムチ美人さん達の出身国である帝国とその周辺国家において、現行のワープ関係技術の分かり易い欠点として恒星の重力が影響を及ぼす範囲では精度が落ちる点が挙げられる。そのため≪金剛城(こんごうじょう)≫の技術力で作ったほどほどのセンサー類があれば、そういった国家の船が突如新エルフ星周辺にやって来て通り魔的に爆撃していくなんて事態も事前に察知できる。

 だから、今回のセンサー類の更新は人種(ヒトしゅ)に対してのものではなく、宇宙怪獣や自然現象に備えてのものだ。でもやっぱり万が一に備えて、ワープ中の艦船を捕まえて亜次元層から引っ張り出す装置も今よりいいやつを配備しておこう。


 次に艦載機の基地用に改装したコンテナ。

 正直コンテナじゃなくても実際に基地を作ればいいんじゃないかと思うが、機械的知性達にとっては移動が簡易な改装コンテナの方が良いらしい。そのため機械的知性達にとって居心地が良くなるように設備を加える。


 機械的知性達は大雑把に、個性を主張したい派と没個性で居たい派に分かれる。なおどちらもコミュニティに属しそのコミュニティの方針を存在の前提としている点では変わらない。

 個性を主張したい派は、名前とかアクセサリーとかで自分を自分と分かり易く特定できるようにしたい。ロボットでも宇宙船でも自分専用ならデフォルトの機体のままじゃなく、ペイントやオプションパーツで自分好みにしたい。

 没個性で居たい派は、名前は通し番号とかが良いし同僚と比べて目に着くところは無くして、言うなれば黒子に徹したい。配属された部署とかチームとかで統一された規格そのままで使い続けたい。


 その辺に配慮し、機体を改修したりメンテナンスしたりし易いようにドック用コンテナを作ってみた。1人で使って良し、班員と同時に使って良しな感じ。

 センサー類はともかくこのドック用コンテナの評価は悪くない程度でまとまった。格納庫に含まれる設備と比べてもそこまで大きく変わったところもないので、多少は使いやすくなったかもしれないといったところ。悪化したんじゃなければまあいいか。


 警備隊に関して何かできることはないかなと考えて資料を漁っていたら、警備隊の構成人員が気になった。誰に話を聞くのがいいかなと悩み始めた瞬間、目の前に無機質美人のホログラムが居た。自分に聞けってことですね。


「警備隊って機械的知性達しか所属してないけど、新エルフ星の人達も自分で居住惑星守りたいって言ってたりしないのかな?」


「そういった要望は挙げられています。現状では、それぞれの価値観の違いを鑑みたうえで機械的知性達の主張を優先しています」


 警備隊に所属したい人達が居るってことしか分からなかったのでもう少し説明してもらった。


 機械的知性達の認識では、新エルフ星のある恒星系も旧エルフ星のある恒星系も俺個人の所有物である。

 そして新エルフ星の住人達は、言うなれば俺が無料で貸し出した物件に住んでいるだけの他人である。

 そんなわけで、俺個人に帰属しているという機械的知性達としては、俺個人の財産である恒星系の警備を赤の他人には任せたくない。


 機械的知性達の主張は納得できるものだった。


 新エルフ星は元々機械的知性達のコミュニティの1つが維持管理してきた惑星を、その機械的知性達のコミュニティを併合したコミュニティの奉仕対象である俺に――言い方は何だが献上したようなものなので、俺の個人の所有物だと見做すのは分かる。


 新エルフ星の住人達にしても、住むところあるからこっちくればいいよくらいにしか俺は言ってないし、その後の生活も機械的知性達にちょっと手助けしてあげて欲しいとしか言ってないのでほとんど関与していない。彼ら彼女らの生活に対してなんの義務も責任もなければ何かを要求した覚えもない。他人という表現は適切だ。


 他人に財産を預けるのが嫌だなんて至極当然のことだ。


 とはいえ、機械的知性達の主張は真っ当だと思うが、自分達の住む惑星を自分たちで守りたいという新エルフ星の住人達の気持ちも分かるので折衷案というか強権を揮わせてもらうことにした。

 機械的知性達による警備隊はそのまま。それとは別に、俺が船やらを貸与することで警備隊の下部組織として自警団を立ち上げる。両組織の上下関係を明確にしたうえで、警備隊の管轄は恒星系全体、自警団の管轄は有人惑星周辺の一定範囲内とした。あと船とかを貸し出すだけで運営費なんかは知らん。


 ざっくりとした俺の草案を無機質美人のホログラムに預けたのであとは上手くやってくれるだろう。機械的知性達も俺のワガママは奉仕のしがいがあるって喜んでくれるしきっとダイジョブ。

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