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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
02_Squilla is not chair.

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02-21

 皆が集まるタイミングじゃない食堂にて、偶然食事のタイミングが一緒になったデビごっこさんとふわふわヘアーさんが俺の両側にそれぞれ座って何か良く分からないアピールをしてくる。


 デビごっこさんが食べてるのは赤一色。おまけ程度の肉の他は赤い野菜ばっかりという肉より野菜派にふさわしい食事を美味しそうに食べている。

 ふわふわヘアーさんが食べてるのは鳥の丸焼き。満面の笑みでガブガブしてる。鳥由来人種(ヒトしゅ)的には大きい方らしいので猛禽とかが先祖なんだろうか。

 2人とももちょいちょい自分の皿から俺に分けてくれるし野菜も肉も美味しい。


 餌付けされてるような何か良く分からない食事が終わり一息。なんだったんだろう。


「我が眷属よ。手料理はどうであった?」


「美味しかったよ。でもなんで赤い野菜類ばっかりだったの?」


「吸血鬼と言えば吸血だろう? でも本当に飲むとかムリじゃん。あのニオイでうってなるじゃん」


 吸血鬼とか悪魔とか風に喋ろうとするのにすぐ素に戻るのカワイイ。


「貴女は菜食主義気味ですものね。その分は私がお肉を提供することで釣り合いがとれたということで」


 ふわふわヘアーさんがジャーキーらしきものを噛み千切る合間にデビごっこさんをフォローした。フォローだと思う。自分がほぼ肉食ってた言い訳じゃないよね。

 しかしなんで食後にジャーキー食べてるんだ。


「野菜は美味しいけど、それだけじゃ足らんっていうのも分かるかんねー」


「嫌いではないのですけれど……食べられる許容量に限度があり、足らない栄養素は他で補えるとなると……どうしても好きなものに偏ってしまいますね」


 許容量に限度って、まずその力強く握りしめるジャーキーを手放さないと説得力がないよー。

 こうやって見てると豪快ではあっても下品ではないのが不思議。


「そもそも生育食材での料理も食事もほぼ娯楽だもんね」


 ふわふわヘアーさんに感化されたのか、デビごっこさんが食堂の自動配膳機能で調理室から運ばせたケーキを突き始めた。

 なんだか裏切られた気分で見つめていたら、デビごっこさんが小首をかしげた後に頷いて一口分けてくれた。具体的な種類は分からないけどなんとなく野菜風味。美味しいし嬉しいけど俺にもくれって意味じゃなかったんだ。


 結局、本体と複製身体をローテーションさせるように料理しつつ食べ続けるふわふわヘアーさんと、それに引っ張られて手間のかかる割りに量の少ないものを作ってはちまちま食べ続けるデビごっこさんに挟まれて、本体のみで付き合っていた俺は食べ過ぎた。カロリーの収支調整はちょっと考えたくない。




 実のところ運動でカロリーを消費しなくても、メディカルポッドで処置したり専用のナノマシンサプリで労力をかけずにカロリーの収支調整はできる。でもなんとなくいっぱい食べた分は運動しようと思ってトレーニングルームへ行くと、先に居た先輩さんが俺に気づいてコーチしてくれることになった。割りとよくあるスキンシップのパターン。


 前にしなやかスレンダーさんが旧エルフ星出身者でエルフじゃない3人とやっていたような、踊りみたいな格闘技みたいなやつを色んなパターンやった。温度や気体の割合といった室内環境を俺の状態に合わせてくれてなかったら多分途中で倒れてた。平然としている先輩さんには丁度良くないだろうになぜ平然としているのか。毎度ながら分からない。


「うへぁー」


「はい、お疲れさまでした。前よりも大分動けるようになってきてますね」


 疲労によりよく回らない頭で先輩の指示に従い整理体操を終えて個別トレーニング用の個室を出てすぐ崩れ落ちると、柔らかく微笑む先輩さんに頭をなでられた。やめてー。なんかだめになりそうだからやめてー。


 個室の前でぼうっとしていたら、いつの間にか大きい方のダブルで一番さんが壊す前提のターゲット相手にバク宙しながら高い位置を蹴ったりするなんかカッコイイ感じの格闘戦をしていた。

 カッコイイ。カッコイイんだけど……ばるんばるん動いてる胸部は痛そうだ。ていうか絶対に痛い。小さい方のダブルで一番さんとかムチムチ美人さんとか、それこそ大きい方のダブルで一番さん辺りの胸が大きい人達はトレーニングの時は胸をガッチリ固定してるのに、今は何であんな振り回してるんだろうか。見てるだけで痛い。


「あれ、アピールしてるつもりらしいので休憩の時に声かけてあげて欲しいです」


 そっと胸元を抑えた俺の視線を追った先輩さんが、そっと視線を伏せて痛ましいものを見ないようにしつつ教えてくれた。


「アピール……」


「タイミングが悪く私達が個室に入ったすぐ後来たらしくて、一緒にやりたかったという苦情がログに残ってました」


「ああ、一回室内環境の設定すると入れないんだっけか」


 緊急時ともなれば移動用メディカルポッドにぶち込まれた後じゃないと部屋を出るのは危ないと以前に言われた覚えがある。部屋の壁が開いて移動用メディカルポッドが出てくるのはちょっとワクワクしたのですぐに思い出せた。


「じゃ、3人でちょっと遊んでからシャワー浴びよう」


「そうですね。何して遊びましょうか」


 俺を抱えた先輩さんと大きい方のダブルで一番さんがターゲットロボットから逃げ回るという良く分からない遊びは結構楽しかった。

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