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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
02_Squilla is not chair.

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02-12

 海老蝦蛄宇宙戦争はさくっと終わった。


 クルーの皆と話し合い、パトロン的ギフターの思惑に従い介入することを決定。

 ワームホールがギリギリ≪金剛城(こんごうじょう)≫の通れるサイズだったので、船団組んでチマチマ移動するよりはとそのままドックに船を抱えた≪金剛城(こんごうじょう)≫でワームホールを通過。

 遠くからの観測で海老側と蝦蛄側の技術力を推測し、戦力的には一番高い船でも駆逐艦未満の分類なので≪金剛城(こんごうじょう)≫のシールドなら大丈夫との無機質美人のホログラムの見立てに従い接近。

 ≪海老介(えびすけ)≫と≪蝦蛄之進(しゃこのしん)≫を始めとした【自律汎用巡洋艦プラウン】と【近接戦闘特化巡洋艦スクィラ】を機械的知性達に任せて発進させ布陣すると、海老も蝦蛄もこちらに気付きピタリと争いが止まった。

 

 ワームホールは物体が通過するとその物体の大きさに合わせて不安定になっていき、やがて消滅すると分かっていたのでそこだけが不安だったものの、≪蝦蛄之進(しゃこのしん)≫と一緒に拾ったコンピューターのバージョンアップキットが持ってきた異次元干渉技術の中にはワームホールを安定化させるものがあったのでその不安も直ぐに解消されたのでなんの問題もなかった。




「どうしようね」


「そうね。どうしようね」


「ふははは。彼奴等の言うとおりに眷属として迎えてやろうぞ」


 少しばかりうんざり気味の俺とツルスベさんに対して、とっても元気にシンプルな答えをくれたデビごっこさん。

 最後にはデビごっこさんの言う通りに海老由来人種(ヒトしゅ)と蝦蛄由来人種(ヒトしゅ)を受け入れて、新エルフ星や旧エルフ星への移住を手伝うことになるのは明らかだ。

 でも救世主様がお見えになられたみたいな空気にあと何度か耐えなければならないと思うと、現実逃避もしたくなる。淡々と、でも冷たすぎないように事務的にやり取りして話を詰めてくれているムチムチ美人さん達を尊敬する。


 海老みたいな宇宙船と蝦蛄みたいな宇宙船で戦争してた人達は、海老由来人種(ヒトしゅ)と蝦蛄由来人種(ヒトしゅ)だった。

 それぞれが別のところから遥か昔にこの異次元へ流れ着き、その時点で恒星間航行ぐらいの技術を有していた両種族は不思議なことに同じ予言を宗教の主軸に据えていた。


 曰く、宇宙に進出したら海老と蝦蛄が出会う。

 曰く、暫くの間は共存共栄を享受する。

 曰く、いずれ海老と蝦蛄は争い合う。

 曰く、争う海老と蝦蛄の元へ、大きく強い海老と蝦蛄を引き連れた救世主が現れる。

 曰く、救世主により海老と蝦蛄は新天地へと導かれる。


 つい最近まで海老由来人種(ヒトしゅ)と蝦蛄由来人種(ヒトしゅ)は手を取り合って穏やかに過ごしていたのだが、今居る異次元が収縮を始め、直ぐにどうこうならずともいずれヤバいんじゃないのかと不安が蔓延し始めた。

 そこで引っ張り出されてきた予言について検討され、長いこと仲良くしてきたのにこの予言だけを根拠に本気で戦争する気にはならなかったものの、やっぱり予言にすがる民意的な雰囲気があったのでルールを決めて人死にが出ない範囲で模擬宇宙戦争を始めた。


 そして海老みたいな巡洋艦と蝦蛄みたいな巡洋艦を従えた≪金剛城(こんごうじょう)≫が現れたので、やはり予言は正しかったとお祭り状態に突入。


 移住には協力するしそれに感謝されるのも悪いことじゃないんだが、俺についていけば全部オッケーみたい流れができかけてるのが不穏だ。

 更に言えば、俺に従って戦って死ねばその後は楽園に行けるみたいな、もう予言とは乖離してる過激派が居るそうなので単純に怖い。何と戦うんだよ。


「眷属にって言うけどさ、要らん忖度されてテロでも起こされたら迷惑って言葉じゃ済まないでしょ」


「一部は控えめに言ってちょっと危ないみたいだから、ありえないとは言えないね」


「あー……あの人達なー……」


 刹那的でたまに知性をどこかに置き去りにするデビごっこさんだが、今は正常な思考を有していたので一緒に悩んでくれている。

 でも恒星に氷惑星をいくつかぶち込んだら居住可能になるか試そうといういつかの提案は忘れてないからね。なるわけねーだろ。

 あの時は何人かで協力して無理矢理メディカルポッドに突っ込んで異常なしの結果だったけど、未だにメディカルポッドの異常だったと俺は思ってる。

 ……でも世の中不思議でいっぱいなので、俺如きでは完全にアリエナイと断言できなかったりもする。


「最悪の場合は多数のカウンセラーが必要になるかも。どうしようか」


 前向きなのかそうでもないのか微妙ではあるものの、予想しうる事態への備えを考え始めたツルスベさん。あのちょっと危なそうな人達も宗教にのめり込み過ぎた結果と言えるのでカウンセリングが必要と言うのは理解できる。

 マジどうしよう。


 その後一仕事終えてぐったりしたムチムチ美人さん達を出迎え労うと、過激派になりかけていた人たちは機械的知性達が『そんな軟弱な意志と身体で主に奉仕するなど認められない』とガッツリ教育した結果一般人に戻って行ったそうだ。


 そんな機械的知性達の過激派は、呼吸や鼓動すら任せて欲しいとか言い始めるのでそっちはそっちで注意を払う必要がある。

 ダメ男製造機ってレベルじゃないんだよなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 機械的知性の主になりたい也
[一言] >模擬宇宙戦争を始めた。 >やはり予言は正しかったとお祭り状態に突入。 思ってたののマイナス255倍くらいゆる~~~い・・・
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