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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
02_Squilla is not chair.

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02-11

 パトロン的ギフターからワームホールが開くと言われた日、ギフト化幼馴染殿と無機質美人のホログラムが受信したデータの場所に無人無機械的知性の船を複数放って監視していたらワームホールが発生した。


 ワームホール強行観測船で通過可能であることを確かめ、無人無機械的知性の船で往復できることも確定させた。

 船が自動で取得してきたデータを解析して危険はなさそうだと判断できたら、有機械的知性のワームホール強行観測船で更に安全確認。

 そしていよいよワームホール有人船往復実験だ。


 まず最初に俺が立候補したら≪金剛城(こんごうじょう)≫のクルー全員に何言ってんだコイツって表情で無言のままじっと見つめられ、あれこれ言って説得を試みたもののお前になにかあったら≪金剛城(こんごうじょう)≫をまともに運用できるか分からないと返されてぐうの音も出ず完敗。


 俺は候補から外された後は誰が船に乗るかで大層紛糾した。


 格闘技トーナメント、プールで100メートル自由形、料理コンテスト、寝顔コンクールなど様々な選抜方式が提案され、最終的にはオープンソースの抽選ソフトウェアを参加者全員の監視下その場でムチムチ美人さんが作った。

 なお、青少年にお見せできないような選抜方式は横から即座に却下させていただいた。むちっとしたあの人は一人で対象年齢を引き上げやがる。メディカルチェックでも性欲が暴走している様子はないのに不思議な話だ。


 なんの仕込みもないと全員が納得したソフトウェアによる厳正な抽選の結果、ワームホール有人船往復実験の被験者は駐在エルフさんに決定した。

 これで目立てるといういろいろな感情のこもったつぶやきは聞こえなかったことにしたが、以前相談を受けたキャラが薄いという悩みまだ解決しそうにないようだ。


 あれ? ≪金剛城(こんごうじょう)≫ってギフトじゃないから、≪金剛城(こんごうじょう)≫を掌握してる無機質美人のホログラムに所有権を明確化しておけば俺が居なくても大丈夫じゃないの?

 抽選は終わってしまったが、俺って冴えてるとばかりに無機質美人のホログラムに訊いたところ、明確な答えを貰えず首を横に振られたので今度こそ諦めた。明確な答えを貰えないのがあまりに不穏だった。




 駐在エルフさんの乗り込んだ有人船でのワームホール往復実験はさくっと終わった。すぐに各種検査も行われたが何の問題も見受けられないので多分大丈夫。

 初めての有機械的知性船の時と同じかそれ以上に俺はそわそわしっぱなしだったが、今回は特定用途のスキンシップルームに閉じ込められずに済んだので検査後すぐに出迎えられた。


「お疲れ様。大丈夫? なんか気分悪いとか、見えないはずのものが見えるとかない? 大丈夫? ちょっと時間経って何か変化したかもしれないしもう1回検査した方が良いんじゃない? 大丈夫?」


「あ、はい。だいじょうぶです」


「心配なのは分かるけど、少し落ち着こう」


 真っ先に駐在エルフさんを出迎えたものの、俺の後ろにくっついて来ていたぎしゃーさんに抱えられて直ぐに部屋を出ることになった。

 あー待って待ってまだ検査するって言質取れてないから戻って……。

 再検査の必要性を訴え続けていたら、うるせー大丈夫だからお前は寝てろとばかりに疑似恒星光のサンルームへ連行されて寝かしつけられた。


 後から聞いたところによると、無機質美人のホログラムを介してパトロン的ギフターからワームホール通過による人体への影響に関するデータが検査中に送られてきていたそうだ。

 最近パトロン的ギフターが干渉を隠そうともしなくなってきてるのはきっと気の所為じゃない。




 ワームホール有人船往復実験は成功に終わったが、駐在エルフさんがワームホールの向こうで目にした光景はちょっと皆で話し合う必要のあるものだった。

 無人無機械的知性船の時と有機械的知性船の時は何もなかったというのに、駐在エルフさんが向こうへ行って即座に回頭して再度ワームホールを通過するまでの間に大規模な船団が二つ衝突を始めていたのだ。


 海老っぽい船の集団と蝦蛄っぽい船の集団の二つの衝突である。


 海老と蝦蛄。


 求められていることはなんとなく分かるが作為が過ぎる。

 最初に拾ったギフトの【自律汎用巡洋艦プラウン】≪海老介(えびすけ)≫と、最近拾った【近接戦闘特化巡洋艦スクィラ】≪蝦蛄之進(しゃこのしん)≫。

 そしてとうとう日時の指定までしてきた今回のワームホール。


 多分、何か理由があって海老っぽい集団と蝦蛄っぽい集団の恐らくは戦争に介入させたいんだろう。

 戦争か……。


 深宇宙で出会って≪金剛城(こんごうじょう)≫のクルーになった機械的知性の件とか、母星が宇宙怪獣の襲撃を受けてもうどうにもならない状態だったエルフさん達の件を鑑みると、この海老蝦蛄宇宙戦争も俺たちがちょっと首を突っ込めばあっさり解決する可能性もなくはない。ゼロではないという意味で。

 色々事情があって当人達ではどうにもならなくても、俺達が流れに身を任せることでエルフさん達と同じようになんか良い感じの方向へ流れる人達も居て、パトロン的ギフターとしてはそういう良い感じの流れを俺達に作って欲しいのかもしれないと思ったりしなくもない。


 でも明らかに戦争やってるんだよなぁ……。

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