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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
02_Squilla is not chair.

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02-10

 大型採集器を搭載した採集母艦を建造し、新エルフ星の衛星ドックに放り込んでいた採集船と併せて採集船団を組んで銀河間宙域で宇宙塵の採集を開始。

 当面は養殖する宇宙怪獣の餌に困らない見通しが立っている。


 ゆるくてふわふわさんが開発したという亜次元干渉技術による柵的なシールド発生装置をちょっとヒく程の量作って、星系1つ入りそうな囲いも完成。宇宙塵を採集し終わった銀河間宙域なので本当に何もないけどこれで大丈夫なのか。


 正直ここまで大げさにやらなくとも≪金剛城(こんごうじょう)≫の技術を使って宇宙怪獣の習性やサイズなんかを遺伝子からデザインし直した方がいいんじゃないかなと思ったので訊いてみたところ、≪金剛城(こんごうじょう)≫の技術や機材的には可能でもそれを扱える人が居ないのでまだ無理だと返された。


 その場にいた大半の人の視線があからさまに泳いでいたので実際は別の理由なんだろう。無機質美人のホログラムならこういうことをやりたいと伝えたらやってくれそうだし、多分暇つぶしとか趣味とかだと思われる。


 隣に私室を設置しても変わらず入り浸っているコントロールルームでぼうっとしていたら、ふとその辺が気になったのを思い出したので無機質美人のホログラムに直接訊いてみた。


「養殖だか牧場に合わせて丁度いい感じに宇宙怪獣のデザインして欲しいって言ったらやってくれたりする?」


「直接生物を変質させる行動にはロックがかかっていますね。今の貴方でも直感的に操作できる機材の設計や作成は可能です」


「変質って遺伝子改造的な?」


「だいたいそうです」


 だいたい合ってるならそれでいいや。


「ああ、さっきのはできるか気になっただけだから実際には作らないで」


「はい。その辺りの機微は理解しています。そして少し私に優しくするともっと有能になるかも知れません」


 恋人というかお嫁さんというかな相手に優しくするのはやぶさかでないが、どのような形で表現すべきかが問題だ。


「うーん……フルダイブでピクニックでもする?」


 今見えてる無機質美人のホログラムは飲食するし触れる感覚も得られるがホログラムということになってるので、ホログラムのアバターを動かすのもVRでアバターを動かすのも変わらないなら普段と違うことをやってみよう。


「フルダイブデートは良案です。でもピクニックだと疑似恒星光のサンルームでのんびり過ごすのと方向性が似てしまうので、某帝国の主星でも再現して観光しましょうか」


「そんなデータあったんだ」


 なんでそんなのが≪金剛城(こんごうじょう)≫にあるんだろうか。


「帝国が販売しているVR観光用のデータです。帝国内で合法的に増やしていたクレジットで購入したものなので違法性はありません」


「あ、はい。じゃ、ダイブするよ」


 法的に問題がないと念押しされると逆に不安が増すのでさくっと切り上げ、私室のベッドに転がって船内ネットワークにフルダイブした。

 目新しいことをやってると気付いた他の人達もぞくぞくと帝国主星の観光に参加し、皆で楽しんだ。


 本体と同時に複製身体もフルダイブするとVR空間でもアバターを複数動かせるのは初めて知った。

 一部が提案した一般的な公序良俗に違反する楽しみ方の発想はいらなかったし、そんな楽しみ方はしない。VRじゃなければ良いとかじゃなくて、被せたARに合わせてぐにょんぐにょん動くなんかすごい部屋でもそんなことはしない。公序良俗は守って欲しい。




「ところでエルフさん達って植物由来人種(ヒトしゅ)だけど具体的には植物の何由来なの?」


 皆で御飯を食べていると誰かがそんな疑問をこぼし、その声はなぜか食堂のざわめきを無視して皆の耳に届いた。

 中央のテーブルに居た誰かの声なのに、四方それぞれの端近くに居る俺の複製身体でも聞き取れたのがびっくり。


「え、えーと……なんの植物なんでしょう? 性質的には樹木……みたいな……?」


 一斉にぐりんと視線を向けられたエルフさん達の内、≪金剛城(こんごうじょう)≫では最古参の駐在エルフさんが代表して応えた。

 おおざっぱな感じではあるが、まあ、自分の種族に大してなんてそんな認識だよねと皆頷いている。


 俺とかプライマリーヒューマンらしいのに、結構最近まで猿由来人種(ヒトしゅ)だと思ってたし、種族を間違ってた所為で種族の出身惑星すら間違ってた。≪金剛城(こんごうじょう)≫のデザインで元にした要塞は、俺とはなんの関係もなかった。


 そもそも帝国的な感性だと自分の種族のルーツやらはざっくりとしか認識していない。

 どこぞの星で発生する人種(ヒトしゅ)というのは単一種である方が稀で、近縁種と交雑を繰り返したり時代ごとに系統の定義が変わったりと遺伝子を解析するにもその種族の歴史を辿っていく過程で限界がある。

 種族発生の星を飛び出して星間交流を始めると、近縁種から全く関係のない種族まで一気に交雑が進む。

 結局はざっくりとどういう種族かを健康診断とかでなんとなく理解するだけだ。


 更に話をややこしくするのが、なぜか広大な宇宙のどこにでも存在するプライマリーヒューマン。

 プライマリーヒューマンは帝国で判明している大概の人種(ヒトしゅ)と交雑できるくせに、どこの星で発生したのか全く分かっていない。

 更に更に、エルフさん達の元に残されていた遺伝子サンプルから旧エルフ星にも居たと判明しているので、俺達が交流を先延ばしし続けてるお隣の銀河にも多分プライマリーヒューマンは存在する。


 更に更に更に、帝国のある銀河で大概の人種(ヒトしゅ)の言語は基本構造が同じだというのも大きな謎として有名だったが、お隣の銀河で発生したエルフさん達の言語も基本構造が同じだ。

 この件に関しては救難信号を受け取った時に無機質美人のホログラムが≪金剛城(こんごうじょう)≫にあったエルフさん達の言語パックを≪金剛城(こんごうじょう)≫のクルーに配布したので、≪金剛城(こんごうじょう)≫においては何も問題はなかったとされている。なぜエルフさん達の言語パックを持っていたのかはロックがかかっていたので放置。


 こうして考えてみると根拠に怪しくて支持者は少ないが、プライマリーヒューマンは先史文明の末裔だとか、先史文明が崩壊する前にプライマリーヒューマンの遺伝子を拡散させるべくばら撒いたとかの話もあながち間違ってないのかもなと思う。

 ムチムチ美人さんもいつだかそんな事を言ってたような気がしなくもない。


 そんな感じに、帝国のある銀河における種族に対する受け止め方の話が食堂の各所で旧エルフ星出身者にされていた。


 で、皆して一様に注釈を添えるのが、プライマリーヒューマンがどこにでも居るようにどこにでも存在する純血主義者。

 遺伝子を解析すると構成員の大半が何かしらの別種族と交雑してるらしいのに、あくまで純血だと主張して選民思想を唱えているちょっとアレな人達。


 単為生殖だけをしてたらエルフさん達は完全に純血を保てたりするのかはちょっと気になったものの、エルフさん達はエルフさん達で内部的には複数の種族が居るって今丁度だれか言ったのが聞こえた。

 そうなると全部ひっくるめて植物由来人種(ヒトしゅ)って呼ぶのはまだしも、エルフさん達って括るのは――当人達は気にしないのね。


 エルフさん達の由来となる植物は調べないと分からないし誰も調べる気にならなかったので、エルフさん達とは別の植物由来人種(ヒトしゅ)と出会うまでは細かいことを気にせず植物由来人種(ヒトしゅ)という大雑把な呼び方で良いかと結論が出た。

 ドリュアスとかエントとか宇宙のどこかにいるのかね。

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― 新着の感想 ―
[一言] プロトカルチャー的な存在がいそうな宇宙だねぇ。 ワームホールの向こうに旅立って、こっちギフトを送り付けてる?
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