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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
01B_むちっとした彼女の日常

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01B-02(01-03~01-05)

01-03


 青年はブレインインストールマシンに忌避感があるようだ。

 うん。正しい。これね、頭への入力だけじゃなくてね、頭からの出力も強要できちゃうからね。

 それにお金や権力持ってる人達ならともかく、青年みたいななんらかの特殊な事情でブレインインストールマシンの使用を薦められる人達はバックドア経由で何されるかわかんないよ。私もこんなもの使うくらいなら意地でも自力で頭に叩き込むね。


 とはいえ青年のオツムの出来は悪くないようで、しっかりと彼に合わせたカリキュラムを可もなく不可もなく消化し各種資格をとんとん拍子に取得した。

 えらいえらーい。でもえろくなーい。ちょっと可愛くないなこいつー。


 必要な各種資格を取得してしまったし、直接触れたり船内に侵入したりしない範囲のギフトの調査も一通り終わったので青年をギフトを放り込んだ特別ドックへ連れて行くよう指示が下った。


 正直ギフトとか近づきたくないけどこれもお仕事なのよね。

 青年がお外出たくないって言うなら仕方なく上司にそう伝えるしかないものの、青年は特別ドックへ行きたいらしい。

 ところで青年、酒池肉林っていう青年と私と警護チームを合わせた12人で遊ぶゲームがあるんだけど興味ない?


 特別ドックに到着し、青年が投げやりな音声パスを入力するとコンテナを開いた。

 そしてなんかワキワキしてるドローンが1機出てきて青年に端末っぽい何かを渡した。


 本当に正しかったのか疑問符の付く音声パスは無視するとしても、コンテナ内のドローンが勝手に動いて所有者に何か渡すとかもうね……。

 そういう上司に報告しないといけないことやめてくれますー?


 青年が受け取った端末っぽい何かを操作すると、私の内心のブーイングへの仕返しかの如くワキワキしたドローンがコンテナから溢れ出した。思わず上げそうになった悲鳴を飲み込んだ私を誰か褒めていい。


 ワキワキしたドローンが溢れ出したショックで動きの止まった私と警護チームは、褒められるどころか青年がワキワキしたドローンに掴まれて運ばれていくのを見て漸く追いかけたことをめっちゃ叱られた。

 いやだってあれどうしようもないでしょ。ギフトがギフテッドを害するはずもないんだし油断してたの仕方なくないですかね? 仕方なくないですね。反省します。


 なお、青年に教えられたコンテナの中身の船の組み立て完了が想定より遥かに早いことに上司も顔を引きつらせていた。はは。ざまあ。



01-04


 青年の船の組み立てが始まると、青年がちょくちょく見学に行きたいと言うようになった。

 ワキワキしたドローンが作業しているところをワクワク眺める青年はちょっとカワイイのでおねーさんどんどん許可しちゃうぞー。

 警護チームからは公私混同をするなと多少の苦情が挙げられたが、私と同じように普段より子供っぽい青年ウォッチを楽しんでいる同類ばかりなので聞く耳持ちません。


 大人しくて聞き分けの良かった青年がちょっと申し訳なさそうに外出したい旨伝えてくると、手続きや移動の準備を待たせている間はお菓子でも食べさせたくなる。

 これが母性なら結婚にはもうちょっと前向きになっても良いかもしれない。


 子供が欲しいだけなら、私の稼ぎが十分な以上パートナーは要らないのか。

 でも出産関係で青年の担当を外されたらギフテッド対策室予備役としての手当は受け取れなくなる契約だった気が……ぐぬぬ……。


 しかし、どんどん出来上がっていく青年の船が何やら生物っぽい見た目でちょっと面白い。どことなくワキワキしたドローンと雰囲気が似ている気もする。

 ちょろっと職権を濫用して類似した画像の検索をしてみたら虫とかそれ系の生き物がモデルのようだった。

 え、このわしゃわしゃしたこれ食べるの? えぇ……わしゃわしゃ……。生育食材食べるくらいの金持ちが考えることは良く分からんわ。


 見た目はともかく青年が教えてくれた性能はヤバヤバだった。

 まじかー。これ所有する青年を私が担当する可能性が……。警護チームの同情の視線にイラっとした。


 ねぇ、青年はこんな凄い船使って本当に運送業やら採掘業をやるの?

 こう、宙賊狩りっていう流行りのスポーツに興味持ったりしないかな?




01-05


 青年の許可を得てギフトの怒りを買わない範囲での調査も終えた後、青年は組み立てられた船に居住場所を移して実質特別ドックに住み始めた。

 手を出されなかったことに嬉しいのか悔しいのか微妙な気持ちを抱えつつギフテッド対策室予備役としての業務を終えた解放感に包まれた。


 警備チームとともに呑みに出る直前、青年と行政との専属窓口という形で港湾局への異動をギフテッド対策室の眼鏡上司に命じられた。

 分かり切ってはいたけどそうなってほしくはなかった現実を突きつけられ、いまや同胞とも言える警護チームの皆と浴びるように呑んだ。

 青年がハビタットに滞在するときは必ず同胞の皆も呼んであげるからね。


 ギフテッド対策室予備役の業務に就く前に熟していたどこぞのボンクラの後始末チームの業務を、散々嫌味を言われながら急いで後任に引き継ぎ。

 一応港湾関係として配属された先での唐突かつ不透明な人事にネチネチと嫌味を言われ。

 研修と並行して青年の入出港手続きや物資の補給などを行う特殊な勤務体制に関連各所からちょっとした嫌味を言われ。


 そうして忙しくしている内に青年が宙賊の襲撃を受けて更になんでかほぼ無傷の宙賊船を曳航してきた。


 確かに宙賊ハンティングのマニュアルも私が用意したけど、もうちょっと仕事に慣れるまで待ってほしかった……。

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― 新着の感想 ―
裏事情系の別視点は楽しいねぇ 本編がやや希薄(演出よね?)に描写されているので、ニヨニヨパワーが膨らみますなぁ
[一言] いい!おねーさんの話。すごくいい! 前の話があってこそなんだろうけれど1章よりも断然良い!
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