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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
04_Indestructible-Fortress

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04-20

 プライマリーヒューマンの播種船と遭遇した一件により≪金剛城(こんごうじょう)≫データベースに収蔵されている物質でありエネルギーみたいな魔素に関係した技術の閲覧がアンロックされたことで、≪金剛城(こんごうじょう)≫クルーには魔素関係を研究するブームが到来した。

 より正確には、魔素関係技術をいじくりまわして遊んでいる人が多い。


「シールドの研究が一向に進まないわけだよねー」


「技術の基礎を知らなければ技術発展を成し得ない典型例となりましたね」


 小さい方のダブルで一番さんと大きい方のダブルで一番さんが俺を挟んでうんうんと頷いている。

 共用研究室という名の俺に実験を見せたり軽く講義するための部屋にて、いつものごとく俺は小さい方のダブルで一番さんを抱え込むように座り、そんな俺を大きい方のダブルで一番さんが抱え込むように座るいつものフォーメーションのまま、俺を挟んだ二人がホロウィンドウをやり取りしたり俺には分からない専門用語を使い口頭でやり取りしている。


 俺の視界にいるデフォルメされた無機質美人のホログラムが一々ホロウィンドウをポップアップさせて俺にもわかる簡単な解説を付けてくれているので、二人は魔素関係シールド技術を研究というか学んでいるのがわかる。

 なんでシールドなのか疑問に思ったら、魔素関係技術のうち最も身近なのがシールド関係だとホロウィンドウがポップアップ。

 無機質美人のホログラムはなんでデフォルメモデルなのかと疑問に思ったら、様式美だとホロウィンドウがポップアップ。


 デフォルメな無機質美人のホログラムの注釈アンド解説ポップアップホロウィンドウから俺が理解したところによれば、≪金剛城(こんごうじょう)≫のみならず俺の出身銀河帝国でも一般的な亜次元を用いたシールドは魔素を用いたシールドの発展形らしい。

 だというのに、どこぞの銀河では魔素関係技術の存在すら知らないまま亜次元を用いたシールドを利用していた。その原因は……。


「多分、お姉ちゃんの残して行った戦艦を解析して亜次元シールドをコピーした所為でこんな歪な技術発展を遂げたんでしょうね。発展してませんけれど」


 気付けばちょっと砕けた感じの話し方もしてくれるようになっている無機質美人のホログラム。彼女が言う姉の残していった戦艦、つまりどこぞの銀河帝国の王権そのものとすら言えた帝国宙軍総旗艦【強襲戦艦オルシャネウス・オルシア】が、俺の出身銀河の技術発展を歪にしたということか。そうなのかな。そうかも。それでいっか俺は困らないし。


「私たちは困らないけど、あっちの銀河はねっちゃねっちゃ困るねー。ねっちゃねっちゃ」


 小さい方のダブルで一番さんが右斜め上を指さして言う。そっちに銀河はないよ? しかもねっちゃねっちゃに困るっていうのがどう困るのか分からない。


「そうですね……冗談とか誇大表現でなく、自力で亜次元シールドを開発した文明と非友好的に接触したら根絶か家畜化の二択しかないくらい困るでしょうね」


 大きい方のダブルで一番さんが左手の指二本を立ててわきわきする。

 俺が思うに、それはもう困るとかそんなレベルではないのではないでしょうか。


「そんな違うもんなんですか?」


 素人としては、同じ物使ってるならそんな大差なくね? って感じる。


「んー……あっちの銀河にゃー」


 小さい方のダブルで一番さんがあっちと言って指さしたのは真っ直ぐ左だった。もしかして別の銀河の話してますかね。


「亜次元シールドしかなくって、ちゃんと技術を積み重ねた仮想銀河にゃー亜次元シールドにふさわしいエネルギージェネレーターとか船体とか砲とかーとかとかー」


 途中で例を挙げるの面倒くさくなったんだなって分かる。


「俺らが前に使って……使って……俺は一回も使ったことないけど、某帝国あった辺りで使われてる宇宙船って亜次元シールド以外そんなレベル低いんですか?」


 面倒臭くなったらしい小さい方のダブルで一番さんではなく、上を向いて大きい方のダブルで一番さんの顎に訊ねる。


「今思えば……まあ……よくそんなもので宇宙船作ってるなって思うくらいには低レベルですねぇ。根本的に亜次元シールド頼みの構造ですから。攻性武装に関しても、亜次元シールドに負荷をかけてシールドジェネレーターをダウンさせるのが目的になってますし、亜次元シールド自体は貫通できない程度の水準ですね」


 ふむ。つまり。


「下手したら亜次元シールドを開発できてない技術レベルの敵性集団が相手ですら、その集団が基礎から順当に技術を発展させていたら亜次元シールド関連の技術を奪われて負けかねないと。……というか、そういやって某帝国がやられたせいでその帝国があった銀河は亜次元シールドだけ広まって技術レベルが歪になっているのでは?」


「多分そうだと思います。だから、身内が原因でそうなってしまう可能性を考えると、ちょっと責任を感じてしまいますね」


 困ったなーと無機質美人のホログラムが困ってなさそうに言ってらっしゃる。


「でもなんでしたっけ? 完成品から技術を解析する研究方法? とかありますよね。あっちの銀河でそういうの全くないってことはないんじゃないですか?」


 実際、そうやって曲がりなりにも亜次元シールドは実用化されているわけだし。


「細々とは研究されています。細々と。ただ亜次元シールドとそれ以外で技術レベルが隔絶していることで複製の効率化くらいしか成果はないですね」


「ま、銀河間航行をするよりも銀河内で開拓ないし侵略する方がコストは低いですし、近隣の銀河に銀河統一国家が誕生しない限りは気にすることでもないでしょう」

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