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なんかすごい性能の宇宙船を拾った  作者: 工具
04_Indestructible-Fortress
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04-10

「そんなわけで、新しく手に入れたエネルギージェネレーターを使って超小型人工クェーサー生成装置を作ってみました」


「ちょっとそこ座って」


 超小型人工クェーサー生成装置が完成して一番最初に出くわしたツルスベさん、ぎしゃーさん、白手袋擦り合わせる拳の鋭い子のどういう集まりかよくわからない三人組にじゃじゃーんとホロウィンドウで紹介したら、タイムラグなしでお説教タイム。


 まあ、予想はしてた。すごい沢山のエネルギーを恒常的に得られるエネルギージェネレーターを手に入れたから何かすごいもの作ろうと≪金剛城(こんごうじょう)≫のデータベースを漁った結果作ったのが、超小型人工クェーサー生成装置だ。試運転すら躊躇われるほど、これは明らかに危ない。だって超小型とはいえ、クェーサーを生成する装置だもん。クェーサーが何かはぼんやりしか知らないけど、クェーサーって銀河の中心にあるすごい光ってるやつだったはずだし、クェーサーってだけできっとヤバイものだ。


 あれ? でも蟹シリーズの母艦のどれかってクェーサーの近くまで行って調査できるんじゃなかったか? だったら超小型のクェーサーを生成する装置くらいならそんな危なくないかもしれない。


「さすがに擁護のしようもないほどの危険物なのでしっかり叱られてください」


 一瞬大したことない気もしたが、俺に対してだだ甘な白手袋擦り合わせる拳の鋭い子すら擁護の一切を拒否するレベルにやっぱり危険物だった。いつものように拳をアピールする様子すらないほどガチだった。いつもアピールしてるのは拳じゃなくて擦るとなんかイイカンジの音がする白手袋か。

 危険物を生み出したと再度しっかり自覚したのでツルスベさんとぎしゃーさんに挟まれたお説教は真摯に受けとめた。でも途中から二人とも美味しい鉱物とか美味しいお肉の話にズレていくのはちょっとどうかなと思いました。


「銀河間宙域にある星が増えてきたし、恒星の重力による回転だけじゃそろそろ不健全じゃないかなーって」


 消滅間近な異次元で様々な資源を採集するのは、それそのものが趣味みたいなものになってしまいやめるにやめられない。あと俺達の生まれ育った宇宙じゃ超をいくつ付けても足りないような希少資源もわりと手に入ったりするという理由もある。そういう希少資源に限ってものすごい有用だったりするのが悪い。


 そんなわけで放っておけば消滅するだけの異次元から持ってきた莫大な資源をどうするかとなり、雑に大量に使おうと俺があれこれ理由をつけて星を作ったり、星が増えすぎたので分散しようと恒星も作ってみたり、そんな感じで俺所有の恒星系が銀河間宙域にいくつも存在する。

 俺としては俺個人の所有ではなく≪金剛城(こんごうじょう)≫にて生活する集団の所有にして責任を分かち合いたいが、満場一致で遠慮されており仕方なく俺個人の所有する恒星系と認識している。


「……今更ながら、銀河としての自然なありようを考えて人工的に再現するとか頭おかしくなった気分になるよね」


 ぎしゃーさんが文字通り頭を抱えて蹲ってしまった。

 今更というならこれも今更なんだけど、通路の途中で床に座らされて説教を受けるのが日常風景ってちょっとびっくりだ。そうやって説教を受けるのは例外なく俺なのが一番びっくりだ。


「その辺はうまいこと自分自身で折り合いを付けてもらうとして、恒星系も増えてものすごい小規模な銀河として管理した方が良いって案はちゃんと考えるべきかも」


 なぜ俺が超小型クェーサー生成装置などという危険物を生み出したのか理解したツルスベさんは、だったら仕方ない可能性がなくはないという雰囲気に変わった。

 でも危険物を独断で生み出したのはしっかり反省しています。さっきの俺は悪いです。反省したので今の俺は悪くないです。


「さっきの君と今の君は連続してる自我である以上、反省したとしても今の君やこれからの君がペナルティを受けるのは変わらないからね」


「はい」


 最初からペナルティから逃げるつもりなど毛頭ありません。はい。でも、行動の正当性を認められれば少しくらいペナルティが軽くなったりはするよねきっと。

 そんなわけで、超小型人工クェーサー生成装置はいったん没収されてしまった。所有する恒星系が増えたのは確かな事実であり、本当に可能なら人工銀河にしようとは思うが、ちゃんとみんなで装置の細かいことを確認してから次のステップへ進もうという決定だ。安全には厳重に配慮したいので俺としても文句はない。


 でもやろうと思ってたことができなくなって予定空いちゃったしどうしようかな。

 あ、今のままじゃ小型の銀河っていうにしても恒星系が少なすぎるかな。それっぽくするために恒星を増やして、その周囲を回る星も増やそう。そすれば無駄に溜め込んでる資材もある程度消費できるし良いんじゃないのこれ。


「何考えているのか分かりませんけど、何か思いついた顔をしているので先に言っておきますね」


 ススっと俺の認識の範囲外から現れた白手袋擦り合わせる拳の鋭い子がにっこり笑顔でいらっしゃる。


「独断で下手なことして叱られたくないなら、何かする前に誰かに意見を聞いた方が良いですよ」


「はい」


 ハハ。さっきの今でそんな勝手をするはずないじゃないですか。で、相談なんですがね。


「金剛帝国に関連して忙しいところに超小型人工クェーサー生成装置を持ち込んだ今、もっとタスクを増やしたら嫌われかねませんよ」


 真顔になった白手袋擦り合わせる拳の鋭い子に案の定忠告を受けた。ならばそれとなく皆の意見を伺おうと恒星系増大計画は白手袋擦り合わせる拳の鋭い子と相談の上で草案をまとめ、≪金剛城(こんごうじょう)≫のイントラネットに放り込んだ。即座に凍結が提案され瞬く間にそれへの同意が増えた。

 はい。この件に関してはまた今度考えましょうね。むやみやたらと増やした星の管理を任せてる機械的知性達のストレス値が高めになってる問題を指摘されると、俺でも考え直そうと思いました。


 再びさて何をしようかと考え始めて、再び思いついた。

 高出力のエネルギージェネレーターを活用して、生存性と居住性と機動力に突き抜けた、遠征用の船でも作ってみよう。

 いつも≪金剛城(こんごうじょう)≫でお出かけするのも≪金剛城(こんごうじょう)≫に何かあったら危ないって誰かに言われた気がするし、今後はいっそ新エルフ星に近い宙域で≪金剛城(こんごうじょう)≫を固定しても良いかもしれない。絶対座標で宇宙空間に固定すると危ないんだったっけ? 新エルフ星と相対距離を固定するのが良いかな。

 さ、どんな外見の船にするか≪金剛城(こんごうじょう)≫のデータベースを漁ってみよう。

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