03B-08(03-16~03-30)
03-16~03-22
青年が深深度亜次元の探索を計画しているときに次元すべりとは、相変わらず青年のうんめいちからはすごい。
私よりも更に高位次元だったり高技術水準の存在が、青年に対して私みたいに当人に分からないようあれこれやっていてもおかしくないような巡り合わせを感じる。
流石にいないよね?
青年が主導して立てた計画通りに予定は進まないだろうとは思っていたけど、≪金剛城≫クルーの他の面々の主張であっちこっち寄り道するとは思わなかった。
何回か本来の目的宙域を通り過ぎていたのも寄り道と表現して良いものなのか。
そんな感じの深深度亜次元探索旅行は、私の杞憂など的外れのまま何事もなく終わった。……たぶん何事もなかった。
今更、過去の文明が残した人工惑星をいくつか拾うくらい大したことじゃないよねきっと。
拾った物は私と無関係のギフトと関わっていそうだったし、後で調べておかないといけないなあ。
03-23
お姉ちゃんめ。
ひとまずは意識体の器をオートで動かして接触してきた船を調べさせ、そのうちに本体の方でお姉ちゃんに直接聞いた。やっぱりお姉ちゃんがあの次元で活動しているときに使っていた船だった。
くれるのは嬉しいけど、お姉ちゃんがあっちに行かなくなってからの現地での付加価値とか私と接触するタイミングとかいろいろ……。
事前に知らなかった所為でついぽろっと人っぽい反応しちゃったじゃーん。
めっちゃ恥ずかしい。こっち見ないでー。
03-24~03-27
お姉ちゃんがくれたものだからって何も考えず受け取っちゃったけど、ムチっ娘さん達に申し訳ないくらい負担かけちゃった。
今までは会話すれば――いや、海老蝦蛄さん達の一部は機械的知性達が解決してくれたんだったか。でも会話でどうにかなったことは違いない。あとアレな相手と言えば、青年は会話した内容を丸ごと忘れていることはあっても会話自体は成り立つ。
細かいことはいいか。
ともかく、そういう風になるよう育てられたって言ってもあんなに会話が成り立たない人っているんだなーと実感。
船内部のデータだけ引っこ抜いたら制御の権限は抱えたまま放流しちゃって、中身が空っぽになったあと回収すればよかったかな。同じようなことがあるとも思えないけど、次回に活かそう。
03-28~03-29
渉外担当に皇女さん達を引き込む計画は思いの外すんなりと完了。
消極的反対を示していた青年も、よくわかんないし嫌だなくらいなものだったため、≪金剛城≫クルーの皆に説得されたことで、強いて言うなら反対ではないくらいに落ち着いた。
青年を除いた≪金剛城≫クルーの総意とはいえ、中心人物の青年があまり乗り気ではないのを少々強引に説得したのだから、何か問題が起これば青年以外の面々で解決する意思だけは忘れずに居よう。
そもそも皇女さん達を≪金剛城≫へ迎えるのは、青年が所有する有人惑星を管理する負担を軽減するのが目的だ。
青年は住民がすでに結構いる惑星を複数個人所有しているものの、そもそも所有しているつもりもなければ所有したいとも思っていない。現在はムチっ娘さん達が方針や制度の大枠を決めたら、実際に即した形に整えたり細かい詰めを行うのはほとんどを機械的知性達のコミュニティが受け持っている。惑星住民の代表による委員会も意見を出すが、それを汲むか否かは機械的知性達が判断している。
そして青年は、ムチっ娘さん達の負担が大きいようなら有人惑星の所有権は手放すつもりでいる。恐らく、現在もある惑星住民の代表による統治を機械的知性達にサポートさせることになるだろう。
この場合、≪金剛城≫に由来する技術や機械的知性達は徐々に回収していき、最終的には≪金剛城≫というか青年との関わりは全くなくなる。
誰も困らない。困らないが、ムチっ娘さん達としてはちょっともったいない。有人惑星というか、居住惑星の個人所有なんて望めば誰も叶えられるものではないから。
そんなわけで皇女さん達を≪金剛城≫に迎えるのは青年以外の意思によるものだ。その責任を青年に押し付けてはいけない。
仲良くなったら青年が押し切られて名実ともに≪金剛城≫クルーとなるかもしれないのはまた別の話だ。
皇女さん達に関して責任を自覚するとともに、皇女さん達と一緒にいたギフテッドの子についても何かあれば私がしっかり対処しないといけない。
彼女はこっちの次元で言うギフターが権利を放棄している状態だったので、ついその権限を取得してしまった。私が後見人というかなんというかになっている。私の本体がある次元とは関係ないギフトだったのでコレクション欲求を抑えられなかった。反省。
でもこれは言わなければ誰もわからないよね。
03-30
高位次元の存在として現地住人に接触する資格を取得できたので、満を持して私の正体を暴露……のハズが、とっても反応が薄かった。だよねー。
ムチっ娘さん達には確実にばれているとは思っていたし、なんだったら鈍い青年も気づいてるかなーって思ってたらそんな程度じゃなくばれていた。
意識的に目を背けていたけど、けっこう失言が多かった。自覚はありました。そのうち打ち明けるしその前に察されるとしても別にいいかなとか思ってましたはい。
なにはともあれ、私を私として受け入れてもらえたのはうれしい限り。
これからはできる範囲でどんどんギフト持ち込んじゃうぞー。え、そんなに要らない? でもあれとかあれとかあると便利じゃない? 試しに持ってくるからちょっと使ってみて考えようよー。
2022/02/07
・03Bの予約投稿終了とともに、とりあえず完結とさせて頂きます。
・ちょっとこの作品の続きに手を付けられる目処が立ちません。
・飛び飛びですが、おおよそ一年ありがとうございました。




