03B-04(01-24~01-28)
01-24~01-26
私としてはすでに身内と思っている≪金剛城≫クルーの女性陣のために、ちょちょっと帝国の公的機関の電子データを書き換えたりする形で彼女たちが移住するお手伝いをした。
犯罪としての記録が残らないなら犯罪じゃないっていう相手のルールに従っただけだし別に何も問題はない。司法機関による法律の解釈がすべての国民に対して公平じゃない国家において、犯罪行為がどうこう悩むなんて無駄という見方もある。
余計な荷物を下ろして自由の身となり解放感に包まれた皆と騒ぎ倒すのはとても楽しかったので、些末事がどうでもよかったというのが本音ではある。
植物由来人種のエルフさん達関連は滞りなく予定を消化している。
惑星の再生は順調そのもの。移民船団の追跡もトラブルはないのでそのうち捕捉し合流できると確信できている。
つまり、≪金剛城≫のクルーには余裕があるということなので、ちょっとばかしサプライズでもしましょう。
青年の幼馴染ちゃんを、≪金剛城≫へ連れてくることにした。
幼馴染ちゃんは、そろそろ新しいギフトを青年にあげようかと送り出すための接続口をワームホールに繋げるとき、目について拾ってしまった難破船に居た。
事故に遭った船の中でかろうじて死んでない最後の人だったし、調べてみたら事故現場からものすごい奇跡的な経路で亜次元を流されてきた結果私の手元に来たし、運命を感じて手元に置いていた子だ。
丁度良いギフトが見つかったから新しい身体を上げて青年へのギフトにしようと思ってたものの、タイミングをどうしようかと悩んでちょっぴり棚上げしてたが、このままだとさっぱり忘れてしまいそうなので、特にきっかけもないけど青年の幼馴染ちゃんを≪金剛城≫に招待しよう。
そう決めたのと前後して丁度良い宙域にワームホールが開いた。私の巡り合わせなのか、青年の巡り合わせなのか。
大いなる意志的なサムシングは脇に置いて。
顔合わせの時の青年がいつになく素晴らしい頭の回転を発揮し、幼馴染ちゃんの魂を別の身体に移そうだなんて提案する一件はちょっと舌打ちしそうになった。そんな面白くなさそうなことを思いつかなくてもよいでしょうに。
その所為で少しばかり余計な小芝居を挟んだりしつつ、事前に必要そうな知識やソフトウェアを新しい身体に詰めておいたおかげか、幼馴染ちゃんはあっという間に≪金剛城≫に馴染んだ。
高位次元存在であると理解してるだけに私に対してだけは慣れるまで時間を多目に要したが、上手いこと折り合いをつけられたようでなにより。
01-27~01-28
青年は植物由来人種のエルフさん達のために恒星間移民船団を追跡していたわけで、なんとなく船団内の空気がエルフさん達を排斥する方向へ向かっているのでどうしたものかと悩んでいた。そんな状態で青年が接触してもトラブルが起こりそうだし。
青年達を介さず機械的知性達だけに頼んでエルフさん達を引き抜いてしまおうかと検討し始めたら、なんと恒星間移民船団の方でその面倒な作業を済ませてくれた。
これが青年のうんめいちから。
ついでに、結構な数の人種が破滅に向かうのを放置したことで青年が精神的に弱っている機会を逃さず、ちょっとだけ私たちのために利用させてもらおう。
具体的には青年の内側に一番踏み込んでいける幼馴染ちゃんと親密に過ごす時間をつくり、リアルタイムでメディカルチェックをしつつ一線を越えやすいように身体の状態を後押ししてあげる感じ。
危険な薬物とかそういうのは使ったりはしない。良い気分というか少しだけ興奮しやすい香りをそれとなく室内に満たして、抑圧された精神の解放を手助けする。
青年に知られたら拗ねられたりしそうではあるものの、釣った魚に餌を与えない青年の責任を追及する方向で誤魔化せばいける。
どっちかというと物理的にも実態的にも囲われてるのは青年の方だってことに自覚ないみたいだし、わざわざ指摘することでもない。
この件に関して幼馴染ちゃんは重大な責任を伴う役割を担うため、一番槍の栄誉は幼馴染ちゃんでと話がついている。
順番待ちリストを作った際にも、青年との関係性やその年月を加味して反対の声は上がらなかった。
淑女協定加盟者は全員が順番とかは特に気にしなかったという表現をすると、青年を蔑ろにしているように感じられてしまうのでやめておこう。
細かいことは気にしないでいっか。
大事なのは私は私が望んだ通りの恋人と出会って、名実ともに無事結ばれたということなのだから。
青年はスローライフを満喫する気満々だけど、生きるのに飽きたりしない程度にメリハリつけてあげないとなぁ。




