03B-03(01-13~01-23)
01-13~01-14
この次元の人種は、性衝動を不活性化させすぎると恋人関係を構築するのに障害になりうるというのが驚きだった。
肉体的な反応を抑えすぎると良くないようなので、私が≪金剛城≫クルーの一員となった際には気を付けていきたい。
そんな結論に至るまで調べたりしているうちに、何やら居住可能惑星の降下探査などという大きなイベントが終わっていたようでとても悔しい。
しかもその惑星というのが、私の祖先が高位次元へ移住するまで生活していた惑星のコピーだったのだから明らかなミスだ。低位次元のあちこちには、こういった高位次元へ至る可能性を示す仕込みがなされていると知っていたものの、実際にどこにあるかを調べておかなかったのは手落ちと言わざるを得ない。
この次元の人種に対する理解を深めるのは大事だが、できればイベントも見逃したくないし、今回のような事前調査における見落としがないかのチェックもしなければならない。
加えて≪金剛城≫に私のアバターを置くためのギフトの解析が≪金剛城≫にて行われている。アバターが≪金剛城≫のクルーと初めて接触する時は私が直接操作しておきたいのでそちらの進捗も気にかけておかねばならない。
当初の予定よりもタスク管理が難しくなってきた。ギフトを放出する際にもう予定から逸脱していたし、ちょっと予定を見直さないとダメっぽい。
01-15~01-18
私の祖先が高位次元へ移住するまで生活していた惑星や遺跡のコピーを管理するため配置されていた機械的知性と≪金剛城≫が接触した。
双方が友好的だったため何も問題なく合流することになったが、機械的知性のコミュニティが半分野良化していたのはちょっと危なかった。
これからは機械的知性のバックアップを受けるのでもう気にしなくて良い危険性か。でもそのポジションは私が狙っていたんだよぉ。
青年が複製身体を作り、一度に対応できる人数を増やしているのはとても奨励したい。
何に対応するのかとかはさておき、青年を除いた人種のクルーだけでも11人いるわけで、そこに私が加わったり機械的知性達の奉仕を受けるとなると身体が1つというのはなかなか厳しいものがあるんじゃないのかなと思っていたところだ。
どんな形のスキンシップであれ、身体が多ければ選択の幅は広がるのでぜひともどんどん増やしていってほしい。
そうして青年が複製身体の操作に慣れてきたところで満を持して私が参戦。
これからガンガン攻めていく――かはわからないけど、漸く生の青年と触れ合えるよー。
01-19~01-20
レクリエーションは審判や審査員役を任されてしまって直接参加はできなかったのがちょっと惜しかったけど、≪金剛城≫のコンピューターで私のアバター動かすとなると独り勝ちになっちゃうから仕方ない。
外から見てるだけじゃなくて一応は輪の中に入れるようになったので良し。
他のクルーには内緒で巡洋戦艦をこっそり建造して叱られ、大して時間も経たないうちに今度は母艦を建造して叱られる青年は精神にも魂にも身体にも異常が見られないのでそういう嗜好があるということだろうか。
ディープな要求には応えられるほどこの次元の人種を理解できたとは言えないので、もう少し待っていてほしい。私、ガンバルよ。
それはそれとして、【自律汎用巡洋艦プラウン】の≪海老介≫を気に入っているようだからと、私の意識体の器になるアバターを構成するためのギフトに入れておいた【自律汎用巡洋戦艦クレイフィッシュ】や【自律汎用母艦モンスターロブスター】の設計図を喜んでもらえて何より。
01-21~01-23
あ、この惑星の住人が全滅しそう。他では少ない特徴があるみたいだし、絶滅してしまうのは惜しい。救援に行ってあげてくれないかな。
ほぼプロポーズ同然の意思を青年に告げようとして落ち着きがなくなってるクルーの皆はちょっとかわいそうだと思うし、別に私が悪いわけでもないんだけど、緊急事態なので許してあげて。
青年に邪推されてるのはともかく、私の操縦に従う≪金剛城≫は植物由来の人種の発する救難信号の下へ向かう。希少種族が助かりそうで良かった良かった。
人命だけではなく破壊しつくされた惑星もどうにかしてあげたいとの青年の頼みを受けて、惑星を再生するシミュレートをぱぱっと済ませて見せてあげたら安堵していた。間違って放出した【自律汎用巡洋艦プラウン】のコンテナを拾ってくれたのが青年で良かったよ。




