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つちのこうやのラブコメ (それぞれ別々にお読みいただけます)

 彼氏に浮気されたと涙目で愚痴る幼馴染とそれを聞いてあげてる美少女委員長の近くにいる、可愛い後輩(彼女)の手作りアップルパイを後輩と一緒に食べる僕。


「うわーん」


 なんか教室の中に聞き慣れた声が響いている。


 昔からよく聞いていた、幼馴染の声だ。


 そんな幼馴染の声に時々混じって、とても大人びた、そこら辺の人を誘惑しそうな声が聞こえた。


 最近学活の時間によく響く、美少女委員長の声である。


 ちなみに今なんの話を二人はしているかというと、「幼馴染の彼氏が浮気したうわーん」と言う話だ。


 まあ……僕も慰めたいところだけど、女子の輪に入って慰めに行くほどでもないかな。


 そんなことを考えながら、僕はアップルパイをかじった。


 お、美味しい……。ちなみにどんな味でも美味しいという未来が確定しているのだ。


 可愛い彼女のアップルパイ最高。


「美味しい?」


「うお」


 な、なんで二年生の教室にいるんだ? 結構上級生の教室って入るのに勇気いるもんじゃないの?


「こうすけちゃんが美味しく食べてるの見たくて来てしまいました、ちゃいました」


 可愛い彼女は一つ下の後輩だ。


「美味しいよ。ありがと」


「うふふ。こうすけちゃん、好き!」


「だったらこうすけちゃんって言うのやめてな」


「なんで」


 普通にみんなに笑われてるからだよ。


 幼馴染ですらにやにやしてこっち見始めたぞ。

 

 ちなみに、美少女委員長は上品な微笑みである。


 いや、なんでそんなに常に美少女らしく振る舞えるんだろうねほんと。


「ちなみに、こうすけちゃんは知ってる?」


「なにを?」


「美少女委員長さん、未だに告白を断り続けている……と思いきやこの前おーけーしたこと」


「いや知らなかった」


「ふっふ、その彼氏は私のお友達なの。美少女委員長さんは年下好きだったようね。こうすけちゃんと同じ」


 僕も勝手に年下好きにされたようだ。


 僕は年下好きと言うより、君が好きなだけだよ。


 とか言うとまた変にカッコつけたとか言われてバカにされそうなので、それは言わないでおいた。


「ところでこうすけちゃん、知ってる?」


「またなんか情報?」


「うん、えーと、幼馴染さんの浮気した彼氏、存在しないよ」


「え? どういうこと?」


「あれは、こうすけちゃんの同情を引こうとしてるだけだよ」


「ええ……ほんと?」


「たぶん」


「たぶんなのかよ」


「でも確信的なたぶん」


「むずい表現……」


「ま、とにかく、どうせこうすけちゃんなら幼馴染として慰めに行くと思うけど、あれですね」


「おお」


「私が、こうすけちゃんのことを愛してるっていうのを忘れないようにお願いしますね?」


「そりゃもちろん」


「幼馴染さんが抱きついたりして泣いても、それこそ、浮気しないでくださいね」


「しないよ、なんでそんな心配してるんだ今日」


「それは……こうすけちゃん、なんであんなもう文句なしの幼馴染がいるのに、私が好きなのかなって」


「……」


 僕はアップルパイの最後の一欠片を食べて、そして自身なさげな、女の子を見つめた。


 そして、抱きしめる。ちょっと強めのぎゅっ。甘すぎのアップルパイのような空間が出来上がる。


「え、え、教室だよ……」


「好きだから」


「あ、はい……」


 ちょっと自信を失いがちだけど、しぐさも笑う時も可愛くて、優しくて明るくて、アップルパイを作るのが得意な女の子は、こうすれば、やっと自信を持ってくれる。


 だから、遠くから、


「は? なんで教室の中で抱き合ってんのー! 私の気持ち考えてよお!」


 幼馴染の叫び声が聞こえだけど、今の間だけ幼馴染には我慢してもらうことにした。


 

 

 ちなみに、幼馴染が彼氏に浮気されたのは本当だったらしく、僕はその日の放課後、幼馴染の愚痴を三時間、聞いてあげた。


 





お読みいただきありがとうございます。もしよろしければ評価を頂けたら幸いです。

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