第80話
ご覧いただき、ありがとうございます!
「「むむむむむ!」」
結局、お昼一時前まで寝転がっていた俺とハルさんは、二人に合流すると、頬をパンパンに膨らませていた。
「非道いぞ正宗! 私の時はおでこにチューはなかったではないか!」
なあ!? アレを見られてたのか!?
「ホントだよ! 私の時は、絶対にあれ以上のことしてよね!」
あれ以上って……そ、それこそキスくらいしか残ってないじゃないか!?
環奈の奴、本気で言ってんのか……?
「うふふ……最高の時を過ごせました……」
そう言うと、ハルさんが俺の左腕にそっと寄り添った。
「「あー! もう時間切れなんだから、それはナシ!」」
「ふふ、それは残念です」
二人が指を差しながら一斉にクレームを入れると、ハルさんは苦笑しながら離れてしまった。
名残惜しい……。
「そ、それより! 早くお昼ご飯を食べに行こうよ! もうお腹ペコペコだよ! ……そ、それに、これ以上二人をいい雰囲気にさせないんだから……(ボソッ)」
環奈の最後の言葉はよく聞き取れなかったけど、そうだな……ちょっとお昼を過ぎてしまったから、俺も腹が減って仕方がない。
ここは環奈の提案に全力で乗っかろう。
「そうだな、環奈は何が食べたい?」
「わ、私? 私はえーと……せっかく京都に来たんだから、京都らしいものを食べたい! ……だ、だけど、アタシが選んじゃってその……いいの?」
「へ? なんで?」
環奈が少し頬を赤らめながら、上目遣いでおずおずと尋ねる。
けど、別に昼メシくらい誰が選んでも……って、ハッ!?
「正宗くん……私には聞いてはくれないんですね……」
「むむむむむ! 正宗、なぜ私に聞かないんだ!」
や、二人とも年上なんだから、少しは譲りなよ!?
「まーくん……ありがとう」
そして環奈はなんで瞳をウルウルさせてるんだ!?
「……やはり承服しかねます。ここは公平にジャンケンで決めましょう」
「うむ、そうだな。昼食を誰が決めるか、ジャンケンだ!」
やはり二人はこれっぽっちも折れる気はないらしい。
「えへへ……ま、まあ、まーくんは私の意見をって言ってくれただけで、いいんだけどね」
「「むー!」」
そして環奈の今の一言が引き金になり、二人はますます不機嫌になった。
早く昼メシに行こうよ……。
◇
「へえー、こんなところにこんなお店があるんだなー」
結局昼メシの勝負はハルさんが勝ち、俺達はハルさんの希望するお店へと足を運んだ。
お店の場所は、四条河原町の大きな交差点にあるビルの裏手、お漬物屋さんのすぐ傍にある、おばんざいの料理屋さんだった。
「ハルさん、よくこんな場所知ってましたね」
「ふふ、これも先程の舞妓さんと同じで、あらかじめ調べておいたんです……その、正宗くんと一緒に来たいなあ、って……」
そう言うと、ハルさんが頬を染めながらそっと俯いた。
うわあ……すごく可愛い……。
「それじゃ、中に入りましょう」
「「「はい(うむ)」」」
俺達はお店の中に入ると、お昼を過ぎていることと平日ということもあって、すんなりと席に座れた。
といっても、俺達で席は全部埋まっちゃったけど。
「せっかくなのでランチプレートにしましょう。みなさんそれでいいですか?」
「「「異議なし」」」
ということで、俺達はランチプレートを人数分注文し、雑談しながら待っていると。
「お、来た来た」
俺達の前に置かれたランチプレートは、ごはんにおばんざい三品、サラダ、デザートの小鉢がついたものだった。
「うわあ……美味しそう」
「うむ。これは食欲をそそられるな」
うん、環奈と姉ちゃんも満足なようだ。
「ふふ、それじゃ食べましょうか」
「「「「いただきます!」」」」
俺達は手を合わせた後、思い思いに箸をつける。
「美味っ! これ美味っ!」
「本当だね! わあ……これどうやって作るのかなあ」
「え? 環奈が作るの?」
「あ、うん……だ、だって、まーくん美味しそうに食べてるから……」
う、うむ……そ、そりゃあ俺のためにって、その、そう言ってくれると、すごく嬉しかったりするわけで……。
お、俺はそれに対してどう答えようかと迷っていると。
「ふむ……よし! ならこの私が作ろうじゃないか!」
「ふふ、そうですね……私も作りますね?」
おおう、二人もこのおばんざいにチャレンジするのか。
や、嬉しいんだけど、全員が作らなくても……。
「ふふ、じゃあ誰が一番美味しく作れるか、勝負ですね」
「ま、負けないんだから!」
「むむ、正宗の健康と胃袋を預かる身としては、これは譲るわけにはいかないな」
いつの間にか勝負することになってるんだけど。
三人とも、ホント勝負が好きだな。
まあ、俺は美味しいご飯が食べられるから、メリットでしかないんだけど。
それにしても……三人が俺なんかのためにこうやってご飯を作るとか言ってくれて、いつも優しくしてくれて、傍にいてくれて……。
俺……本当に幸せ者だ。
三人の騒がしいくらいの会話を聞きながら、心地よい京都の昼を楽しんだ。
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は明日の夜投稿予定です!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!




