第71話
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「へえー、四角の形をしたみたらし団子って、ちょっと不思議」
環奈がみたらし団子を手に持ち、しげしげと眺めている。
俺達は寺社巡りを順調にこなし、最後の『本能寺』を残して今はみたらし団子のお店でお茶しているところだ。
「モグモグ……つか、『鈴虫寺』ってガッツリ恋愛成就のお寺なのな。しかも、なんでも叶う御守りってマジでヤバイ」
「えへへー、京都に来たら絶対に行きたかったんだ」
そう言うと、環奈はスマホを手に取って嬉しそうに眺める。
まあ、『鈴虫寺』で入手した御守りをスマホケースに忍ばせているんだろうな。
「オマケに『貴船神社』も恋愛成就で有名だし、なんだか恋愛祈願してる気分だ」
女子達も喜んでるみたいだからいいんだけど。そして、葉山だけ目的と喜び方が違ったけど。
「……なあなあ。ところで、“コレ”ってそういうこと、だよな……?」
俺は環奈にそっと耳打ちする。
“コレ”というのは、俺達の目の前に座っている佐々木と葉山のことだ。
葉山は『貴船神社』から興奮冷めやらぬ感じで、しきりに佐々木にオカルトについて力説し、それを佐々木がニコニコしながら頷きつつ聞いている。
「あはは。でも、どちらかというと佐々木くんのほうが真剣、なのかな」
「そっか……」
確かに打ち上げの時も、俺達がファミレスに着いた時には二人とも同じテーブルに既に座っていたし、班決めの話の時も、佐々木がやたらと推してたしな。
佐々木の奴、結構モテるくせに女子と付き合ってなかったのは、こういうことなんだろうな。
そして、俺がそういうことに気づけるようになったのも、そういうことなんだろう。
まあ、今まで俺の目が曇ってたってことかな。
「だが……アッチはもっと意外なんだけど……」
俺はチラリ、と端に座る二人……長岡と山川を見やる。
「デュフフフ、明日の自由行動では、キッチリ聖地巡礼をするでござる!」
「その聖地巡礼ってなんなの?」
「決まってるでござる! 神アニメの舞台となった場所でござるよ!」
「そ、そう。それって一人で回るの?」
「特に考えてなかったでござるが」
「な、ならさ! その……私も一緒に……って、ホ、ホラ! アンタがまた変な真似しないかちゃんと監視しないと!」
「そ、そんなことしないでござるよ!」
うん、アレって間違いなく山川は長岡に気があるよな。
一体いつから……。
「雫はね、結構前から長岡くんのこと、好きだったんだよ」
「そ、そうなの?」
「うん。長岡くんって、言動は怪しかったりするけど、結構気遣いもできて優しいし。まあ、他にも色々あったみたいだし」
「そ、そうなのか……」
や、俺って友達のこと、ホント全然分かってなかったんだな……。
いかに俺が自分のことしか考えてない野郎だってことを、つくづく痛感させられた。
「四人とも、うまくいくといいな」
「うん、そうだね……そして、私も……(ボソッ)」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、別に!」
? ま、いいか。
◇
「あ、あれ……」
店を出ると、道を挟んで向こう側に……優希達の班が歩いていた。
女子二人が嬉しそうに杉山に話しかけ、杉山と他の男子二人は一生懸命優希に話しかけ、当の優希はそんな男子を無視して、なぜか焦るような表情でキョロキョロしながら周りを見てる。何だアレ。
「まーくん! あんなの見る必要ないから! 早く行こ!」
環奈が少し怒り気味に俺の手を引く。
「や、だけどさ。なんだか変な感じしねーか?」
「興味ない」
「まあ、そう言うなよ。なんつーか、アイツの後を杉山達が追っかけて、その杉山の後を女子二人が追っかけるって、シュールだなって」
「全然!」
おおう、環奈がこれ以上なく怒っているので、俺はそれ以上は言わずに、大人しく環奈に腕を引っ張られながら本能寺へと……。
「オーイ! お前達!」
……どうやら杉山達が俺達に気づいたようだ。
「……どうする?」
「無視して早く行こうよ!」
「ま、わざわざ相手する必要もないんじゃね?」
「は、はい、私もこの六人のままが……」
「だよねー。見る限り、アッチって色々と面倒そうだし」
「デュフフフ、まあ、坂口殿が使用済みの割り箸を提供するというのならやぶさかでは……ホゲエ!?」
「いい加減にしろ!」
うん、みんなの心が一つになったところで、俺達はあの声を無視することに決め、一路『本能寺』へと向かう。
……後ろからは、いまだに俺達の名前を呼ぶ杉山がいるけど。
つか、往来で俺の名前を大声で連呼するな。
で、俺達は杉山達を振り切って『本能寺』へと辿り着いたわけだけど……。
「やあ正宗、みんな、奇遇だな!」
「うふふ、こんにちは」
……なんで姉ちゃんとハルさんが京都にいるのかな?
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次話は今日の夜投稿予定です!
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