第42話
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「『何か?』じゃない! 聞いたところによると、君達が提供するそのケーキ、腐っているらしいじゃないか!」
「「「「「はあ!?」」」」」
コイツ、なんて言いがかりつけてくるんだよ!
「おい待て! さすがにそれは聞き捨てならねーぞ! 何を根拠に言ってやがるんだ!」
「フン! しらばっくれるな! 貴様等のケーキはどうやって入手したのだ?」
「ああ!? んなもん、ステラから仕入れたんだよ!」
どうだ! ステラなら安全安心、そして超美味いと完璧だぞ!
これのどこにイチャモンをつけられる要素があるんだよ!
「ほう? ステラ、ねえ」
すると、船田と松木は、ニヤニヤしながらこちらを見る。
コイツ等……一挙手一投足ムカつくんだけど。
「すいませんが、そのような誹謗中傷はさすがに看過できません。ステラとして正式に謝罪を要求します」
見かねたハルさんがズイ、と前に出て、二人に対し毅然とした態度で抗議する。
「あ、ああ、いやいや、僕もステラを疑っている訳じゃないよ……」
船田の奴がハルさんに凄まれ、日和ったのか慌ててかぶりを振る。
「だったら!」
「僕が言いたいのは、そのケーキ、いつ搬入されたものなのだ?」
「……昨日の夜だけど?」
本当にコイツ、何が言いたいんだ?
「ほう、昨日の夜! ケーキを一晩置いたままで提供したと!」
「? 別におかしくねーだろ」
オイオイ……ひょっとしてコイツ、一晩置いてたから腐ったとか、そんなことが言いてーのか!?
だとしたら、無知にもほどがあるだろ!
「言っとくがケーキを一晩置いたくらいで腐るわけ……」
「じゃあ“どこ”に保管してたんだ?」
そう言うと、船田は勝ち誇ったような表情になり、松木も何が面白いのか、ニヤニヤが止まらない。キモイ。
「どこって、そりゃあ冷蔵庫に……」
……あ。
「ほう、冷蔵庫に! その冷蔵庫は、ちゃんと冷蔵庫として機能してたんだろうなあ!」
ああ、そうか。
コイツ等、冷蔵庫の電源が切れてたの、知ってやがるんだな?
だけど、どうしてそれをコイツ等が知ってるんだ?
うちのクラスの奴の誰かがコイツ等に言った?
……それはないか。好き好んでこの二人と会話したいバカはクラスにはいないだろ。
じゃあ他のクラスの奴が?
……うーん、それもなあ。大体他所のクラスの奴が、冷蔵庫の電源が切れてたこと、知るはずがないしなあ。
仮にうちのクラスの奴が他所のクラスの奴にそのことを話したとして、それを聞いたコイツ等が調子に乗るなんてことも、あり得ないんだよなあ。
となると、昨日のアレって……。
「うわ、オマエ等本当にクソだな。マジで生徒会長と顧問……つーか教師なの?」
「何を言っている! それで、その冷蔵庫はちゃんと機能していたのか!」
「ああハイハイ、冷蔵庫は朝来てみたら、なぜか電源が切れてたんだよ」
「「やっぱり!」」
船田と松木が鬼の首でも取ったかのように、満面の笑みを浮かべる。
や、仮にそうだとしても、普通は問題にどう対処するかで頭を悩ませて、表情は青ざめるモンなんだけどな。
本当にクソだな。
「ハハハ! 認めたな! 電源が切れた冷蔵庫の中にケーキを保管していたんだ! ならそのケーキは腐っていて当然だ!」
「うむ、船田の言う通りだ。これは生徒会……いや、学校としても由々しき事態だ。このクラスの出し物は即刻中止! 桐山先生の監督不行き届きと、責任者である坂崎の管理責任は免れん!」
まくしたてるように語り出す二人に、クラスメイト全員が白けた表情をしながらジト目で見る。
うん、ある意味憐れではある。
「しかし本当に残念だ……優秀で綺麗な君を、生徒会として処分しなければならないなんて……だが、生徒会長の僕が、少しでも処分が軽くなるように動いてみよう。君もつらいだろうから、いつでも僕が相談に乗るよ」
うおお、船田のバカが気持ち悪いこと言い出したぞ!?
つーか、マッチポンプ感が半端ねえ!
「……会長、いいですか?」
環奈が神妙な面持ちで、船田のバカを見据える。
「おお! 坂崎くん、早速頼ってくれて嬉しいよ!」
「ああいえ、そういうことじゃなくて。とりあえず、うちのクラスが提供しているケーキ、傷んでませんけど?」
「うんうん、君の気持は分かった。ケーキは傷んでないと……はあ!?」
まさかのノリツッコミだ!?
「はい。今回提供しているケーキは、常温で最大三日間は保存が可能なケーキですから」
「そんなバカなことがあるか! クリームを使ったケーキが、そんな日持ちがするはずないだろう! 適当なウソを吐くな!」
「大丈夫です」
ハルさんが凛とした表情で二人に断言する。
「今回、このクラスに搬入したケーキはバタークリームを使用しています。これは傷みやすい生クリームと違い、常温で保管しても問題ありません。それに、使用しているフルーツについても砂糖漬けしたものを用いています。ですので、たった一晩冷蔵庫の電源が切れていたからといって、それで傷むようなことはあり得ません」
うん、俺達が言っても眉唾だけど、この学校の生徒じゃなくて、しかも、ステラの従業員のハルさんが言うと、ものすごい説得力だ。
その証拠に、二人の顔は明らかに狼狽している。
「うちのクラス全員ハルさんから説明を受けてますから、もちろんそのことは知っています」
うまい具合に環奈が追い打ちをかける。
……じゃあ、後は俺がそれを引き継ぐだけだな。
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次話は明日の朝投稿予定です!
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