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第39話

ご覧いただき、ありがとうございます!

「まーくんおはよ!」


 文化祭当日の朝、環奈がいつものように家まで迎えに来た。


「おう。じゃ、行くか」

「うん!」

「待て、正宗。私も一緒に……」

「や、姉ちゃんは大学あるだろ!?」

「む。今日は休みだ!」


 姉ちゃん、なんでそんなすぐバレる嘘吐くの!?


「ダメだって姉ちゃん。大学終わったら来てくれたらいいからさ」

「むう……な、なら午後一番に行くからな! 午後なら大丈夫だからな!」


 なんだか言い訳くさい……。


 本当は午後も授業あるんじゃないのか?


「姉ちゃん」

「む、なんだ正宗?」

「午後も授業……あるよね?」

「むむむむむ!? あ、あるが調整可能だから大丈夫なのだ!」

「ホントに?」

「ほ、本当だ!」


 ……これ以上問い詰めても、多分姉ちゃんは午後イチには来るな……。


「分かったよ。姉ちゃんを信じる」

「う、うむ!」


 そう言うと、姉ちゃんはパアア、と表情を明るくした。


 ハア……俺も甘いなあ……。


「それじゃ、今度こそ行ってくる」

「うむ。二人とも気をつけてな」

「「うん」」


 ということで、家を出て学校に向かっているんだけど……。


「な、なあ、ハルさんどうしたのかな……?」

「う、うん……今までこんなことなかったんだけど……」


 いつもの通りを歩いているけど、ハルさんと一向に遭遇しないのだ。


 いつもなら、必ずこの通りで出会うはずなのに。


「病気とかになってなければいいんだけど……」

「だ、大丈夫だよ! たまたま今日は早めに家を出たとか!?」


 環奈は励ましてくれるが、心配なモンは心配だ。


 俺はスマホを取り出し、RINEを立ち上げる。


『ハルさん、連絡ください』


 メッセージを送り、スマホをしまうと。


 ——ピリリ。


 うお!? は、早っ!?


 というか、これ電話のほうだ。

 もちろん発信者の表示はハルさん。


「はい、もしもし」

『ま、正宗くん! なにかトラブルでもあったんですか!?』

 

電話越しにハルさんの心配する声が聞こえる。


「あ、ああいえ、俺は大丈夫っすけど、その、ハルさんを見かけなかったから……」

『え? あ、ああ、今日は早めに家を出たものですから』

「あ、そ、そうだったんですね。失礼しました」

『ふふ、いえいえ。それじゃ、また後で』

「はい、失礼します」


 俺は通話を切るボタンをタップし、スマホをポケットにしまう。


「ハルさんはなんだって?」

「あ。ああうん、やっぱりいつもより早めに出ただけだった。それと、『また後で』って言ってた」

「そっか。何もなくて良かったね」

「おう」


 だけど……また後で?


 ……いや、大学終わってから手伝いに来てくれるから、多分そのことだろ。


「ホラホラ、まーくん! 早く行かないとみんな待ってるよ!」

「お、おお、そうだな」


 環奈に手を引っ張られ、俺達は学校へと急いだ。


 ◇


「……で、校門前になんでハルさんがいるのかなあ?」

「ふふ……おはようございます!」


 学校に着いたらなぜかハルさんが校門前で立っており、環奈がジト目で睨んでいる。


「え、ええとハルさん、その、大学は?」

「今日はお休みです」


 ええ!? 姉ちゃんと同じこと言ってる!


「い、いや、大学をサボってまで来てもらう訳には……」

「うふふ、元々お手伝いすることは決まっていましたから、大学の先生方にはあらかじめお休みすることは伝えておきましたので大丈夫です」

「そ、そうですか?」

「はい」


 う、うーむ……姉ちゃんみたいにズル休みしようってわけじゃなさそうだから、いいんだろうけど……。


「で、でも、俺達のために大事な授業を休んでもらうのは……」

「正宗くんは、私と一緒はイヤ、ですか……?」


 ハルさん、その聞き方は反則と思います。


「イ、イヤじゃないです! イヤじゃないですけども!」

「ふふ、なら良かったです」


 く、くうう……ハルさんにいいように手玉に取られているぞ!

 まあ、嬉しいんだけど。


「ハイハイ、いいから早く行こうよ!」


 環奈が少し不機嫌そうなので、俺達は肩を竦めながら教室へと向かった。


「ういーす」


 教室の扉を開けて中に入ると、みんなが冷蔵庫の前にたむろしていた。


「ん? どうしたんだ?」

「さあ……」


 俺達三人はみんなの元へと行くと。


「昨日最後に確認した奴は誰なんだよ!?」

「わ、私が見た時はちゃんと動いてたし!」

「じゃあなんで電源が切れてるんだよ!」


 なぜかクラスのみんなが言い争っていて、険悪な雰囲気になっていた。


「なあなあ佐々木、一体何があったんだ?」

「ん? おお、堀口。いや、実は冷蔵庫の電源が切れてたんだよ」

「何だって?」


 見ると、確かに冷蔵庫のコンセントが抜かれていた。


 でも、昨日俺とハルさんが教室に戻った時は、冷蔵庫は普通に動いてたけどなあ。


「それで?」

「いや、それでって言われるとアレなんだけどさあ、ホラ」


 そう言って、佐々木は冷蔵庫から取り出したケーキを指差す。


「普通ケーキってさ、ちゃんと冷蔵保存しとかなきゃいけないんだろ? だから、昨日の夜から冷蔵庫が止まってたんなら、ケーキが傷んじまってるんじゃねえかって。それで、今は誰の責任かってんで、揉めてるところ」


 うわあ、下らね。

 こんなの誰かのせいにしても、何の解決にもならねーじゃん。


 それよりも。


「ハルさん……」


 俺はとりあえずどうしようかと、隣にいるハルさんを見ると。


「ん? あ、ええ、ですが心配しなくても大丈夫ですよ?」


 なぜか大変心強いお言葉をいただいてしまった。

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は今日の夜投稿予定です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] さあ、裁きを下そうではないか(^ω^)
[気になる点] 冷蔵庫の件は生徒会の駄目人間2人のうちどちらかが怪しい…特に会長の方が… [一言] 主人公のお姉さまだけ大学とか可哀想…
[一言] 確実に誰とは言わないが逆恨みによる嫌がらせだな。
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