表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/108

第38話

ご覧いただき、ありがとうございます!

 文化祭に向けた生徒会での最後の仕事を終え、俺と環奈は教室へと戻る。


「……しかし佐山の奴、最後の最後まで行かせまいと粘りやがったせいで、ちょっと遅れちまったじゃねーか」

「あ、あはは……まーくんも災難だったね。でも本当は、ちょっと嬉しかったんじゃないの?」

「嬉しい? 俺が?」


 何で?


「えー、だって睦月ちゃんってかなり可愛いよ? 一年生だけじゃなく二年生でもかなり噂になるくらい」

「ふーん」

「あれ? 興味ない?」

「ない」


 佐山がモテようがどうだろうが、俺にとってはメンドクサイ後輩でしかない。


「そっかー……えへへ」

「?」


 環奈の奴、なんで嬉しそうなんだ?


 ……ま、いいや。


 教室に着いた俺達は扉を開けて中に入る。


 すると。


「正宗くん!」

「ハ、ハルさん!」


 教室の中にはハルさんの姿があった。


 そして、はにかみながら俺の元へと駆け寄ってきた。


「ハルさん」

「はい、今日は店長と一緒に明日のケーキのお届けです!」


 さすが店長!

 予定通りキッチリ搬入してくれたな。


「それで店長は?」

「え、ええと……」


 ハルさんは少し気まずそうな表情でチラリ、と教室の奥を見る。


 すると。


「あらあ! アナタ、なかなかカワイイじゃない!」

「は、はあ……」

「それに結構筋肉もあるわね、何かスポーツでもしてるのかしら?」

「え、ええと、サッカーを……」

「んまあ! イイじゃない!」


 ……杉山の奴が店長に身体をペタペタ触られていた。


「ま、まあ、店長も嬉しそうだしいいんじゃないかな……」

「そ、そうね……」

「いいんですか!?」


 いいんです。


 杉山一人で満足してもらえるなら、ケーキを持ってきてくれたご褒美ということで。


「だけど、お店のほうは大丈夫だったんですか?」

「はい、今日は元々搬入のこともあったので、早く閉めようって店長が言ってましたから」

「そうだっけ?」


 俺は環奈のほうへと振り向くと、環奈も首肯した。


 アレ? 俺が失念してただけか。


 ——ガララ。


 また教室の扉が開く音が聞こえたので振り返ると。


「正宗! 手伝いにきたぞ!」

「姉ちゃん!?」


 なんと、今度は姉ちゃんまでやってきた。


「ええ!? だ、だけど、姉ちゃんも家のこととかで忙しいんじゃ……」

「心配するな。家事は全て済ませてきた」


 なんだこの完璧超人は。


「じゃ、じゃあ俺達もがんばってラストスパートするか」

「「「おー!」」」


 ◇


「よし! これで後は明日を迎えるだけだぜ!」


 全ての準備を終え、佐々木が元気よくガッツポーズする。


 アレ? 佐々木ってこんなキャラだったっけ?


「デュフフ、明日は楽しみでござるよ。いよいよ隷属執事喫茶の開て……ブフォ!?」

「するわけないでしょ!」


 長岡の闇の計画をうっかり山川に聞かれてしまい、哀れ長岡は教室の屑となった。合掌。


「まーくん……やったね」

「おう」


 環奈がスッと俺の左肩に寄り掛かる。


「うふふ、がんばった甲斐がありました」


 すると今度はハルさんが俺の右肩に寄り掛かった!?


 な、なんだこの状況は!?


「ふむ。終わったのなら帰るぞ正宗」


 そう言うと、姉ちゃんが俺の腕に抱き着いて引っ張る。


 やや!? 姉ちゃんの胸の感触がダイレクトに!?


「……羽弥、正宗くんにはまだ明日のケーキの保管の確認をしてもらったりする必要がありますから、あなただけ先に帰っては?」

「む? 帰る場所は同じなのだから、一緒に帰るに決まっているではないか」

「ですけど、羽弥はもうすることはありませんよね? ここにいても、後輩さん達が委縮してしまうんじゃないですか?」

「なら早く正宗を開放すれば、私達はすぐにでも帰るが?」


 ア、アレ? 姉ちゃんとハルさん、親友同士のはずだよね?

 なんでこんな険悪ムードなの?


「ハイハイ、二人とも部外者なんですから、そろそろ帰ってください! 後は私達でしますから、ね?」

「「イヤだ(です)」」


 おおう、ここに環奈まで乱入してきて、訳が分からんぞ!?


 ま、まあいいや……三人がワチャワチャしている間に、ケーキの保管について店長とすり合わせしておくか。


「それで店長、ケーキは冷蔵庫に保管で大丈夫ですよね?」

「ええ、それで問題ないわ。だけど……」


 店長からケーキに関して注意事項を一つ一つ確認する。


「……とまあ、そんなわけだから、少々のことは大丈夫よ」

「ありがとうございます!」

「いいのよ! それより、せっかくだからその執事喫茶でシッカリうちのケーキ、PRしといて!」

「はい!」


 うん、やっぱり店長は男前だな。オカマさんだけど。


「よし、じゃあ帰……」


 いつの間にか佐山まで加わり、四人はまだ言い争いをしていた……。


 ◇


「え? あ、あれ?」


 ハルさんが少し慌てた表情でズボンのポケットを手で触ったり、ヒューズボックスの中を確認したりしだした。


「どうしました?」

「あ、い、いえ……どうやら教室にスマホを落としてしまったようでして……」

「本当ですか?」

「は、はい……」

「じゃあ今から教室に戻りましょう。みんなはちょっと待ってて」

「私達も行こうか?」

「や、大勢で行く必要ねーだろ。とりあえずハルさんと俺で行ってくるから」


 ということで、俺とハルさんは教室へと戻る。


「す、すいません……」

「あはは、それくらいお安い御用ですよ」

「はい、ありがとうございます……で、ですけど、ちょっとだけ、嬉しいです……」


 暗がりで良く見えないけど、心なしかハルさんがはにかんでいるように見える。


「文化祭の準備中は正宗くん、あまりステラに来れませんでしたから、こうやって二人きりになるの、久しぶり……」

「そ、そうですね……」


 ヤベ、そう考えると緊張してきた。


 周りが暗くて静かなこともあるせいか、ハルさんの息づかいがよく聞こえ、それに、ハルさんの香りも……。


 お、落ち着け俺……!


 そんな緊張した状況に耐えながら、俺達は教室に着くと。


 ——カタ。


「ん?」


 今、中で物音がしなかったか?


 俺はハルさんのほうを見ると、ハルさんにも聞こえたようで訝し気な表情を浮かべている。


「と、とりあえず中に入ってみましょう」

「は、はい」


 俺達は中に入り、教室の明かりをつける。


 ……だが、中は特に変わった様子もない。


「……気のせいか」

「みたいですね……あ、ありました!」

「良かったっす!」

「はい!」


 ハルさんはなぜか手作りソファーの上に置いてあったスマホを取ると、俺達は明かりを消して教室を出た。

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は明日の朝投稿予定です!


また、新作の短編「冷たくあしらう委員長に俺は今日もめげずにチャレンジした結果、その関係が少しだけ進展した話」を投稿しました!

下のタグから飛べますので、こちらもぜひ!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 修羅場が起きてますがヒロインは何人いるんでしょうね? うふふ・・・ 正宗君の日和見(?)は何処までいくのでしょう?
[良い点] お姉さん参戦! [一言] 修羅場来たー!修羅場来たー!
[一言] むむ、修羅場がおきてるのに正宗は他人事かいっ!w …妨害工作?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ