第33話
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「ええと……とりあえずケーキセットに用意するケーキとドリンクの手配は無事できました……」
今日のクラスミーティングで、朗報のはずなのに環奈が少し複雑な表情でみんなに報告した。
や、ハルさんが手伝いに来てくれたんだから、そこはもっと素直に喜べよ。
「じゃあこれで準備は……」
「うん、あとは前の日までに内装をしっかりやれば終わりかな」
「「「「「ヤッター!」」」」」
環奈の完了宣言を受け、クラス中が歓声に包まれた。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 来週が本番なんだから気を抜いちゃ……!」
「分かってるって環奈! とにかく、ここまでみんなでがんばって来れたから、とりあえずは喜ぶくらいいいじゃん!」
そう言って、クラスメイトの女子……山川が環奈の背中をバシバシ叩く。
「うーん……ま、いいか!」
環奈は笑顔になり、山川とハイタッチする。
うーん、相変わらずあの二人は仲が良いな。
「だけど、思ったより早く準備できたな」
「おう……まあ、俺達男子にはまだ本番の罰ゲームが残ってるけどな……」
「デュフフ……」
佐々木の言葉に、俺と長岡はガックリとうなだれる。
「何言ってんだよ、むしろ女の子とお近づきになれるチャンスだろ!」
「や、佐々木はなんだかんだで顔もいいし女子の友達も多いからいいかもしんねーけど、俺達には指名される可能性はほぼないからな……」
「デュフフフ、まあ拙者は女子が前を通り過ぎた時の残り香だけでHP全回復でござるけどな」
「「変態じゃねえか!?」」
長岡……やはりコイツは只者じゃねえ……。
……ま、まあ俺もハルさんの香りだけで十年戦えるけどな。
「だけど……ムフフ」
「? おい堀口、何だよ急に気持ち悪い笑い方しやがって」
おっとイカン、当日はハルさんが助っ人に来てくれることを思い出したら、嬉しくてついつい笑ってしまうな。
うん、別に指名されなくても、ハルさんがいてくれるからいいや。
「いやあ! 明後日が楽しみだなあ! アハハハハ!」
「つ、ついに堀口氏が壊れたでござる……」
「お、おう……」
フン、何とでも言うがいいさ。
——ガララ。
「す、すいません……」
するとそこに、佐山が教室にやってきた。
……で、当然だけどクラスメイト全員が佐山を睨みつける。
みんな、環奈がどれだけ大変な目にあったか知ってるからな。
「アンタ、何しに来たの?」
「あ、あの、環奈さんを……」
「ごめんねー、環奈は今忙しいから」
山川が早速佐山に詰め寄ると、環奈に会わせないようにしつつ、けんもほろろに対応する。
「だ、だけど……」
「悪いけど、教室から出てってくれない?」
すると。
「か、環奈さんお願いします! 私達を助けてください!」
埒が明かないと思ったのか、佐山の奴は教室中に響くほどの大声で叫ぶ。
その表情には、悲壮感が漂っていた。
「……睦月ちゃん」
はあ……よせばいいのに環奈のヤツ、佐山の元に行っちゃったよ。
ヤレヤレ。
俺も環奈に続いて三人の傍に行く。
「か、環奈さん! た、助けてください!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて! 一体どうしたの!?」
「そ、それが……」
環奈が抜けた後、案の定生徒会は機能しておらず、今回の文化祭の運営も全くうまくいっていないらしい。
それでも何とかしようと、佐山は佐山なりにがんばってはみたらしいが、なんと肝心の船田が匙を投げちまったとのことだ。
「おいおい、つーか会長のくせに何やってんだよ……それで、アイツはどうしてんだ?」
「そ、それが、家に引きこもっちゃって、学校に来なくなっちゃったんですう!」
「「はあああああ!?」」
ホントに何やってんだよ!?
「ど、どうするんだよ!? 文化祭、来週だぞ!?」
「だ、だから環奈さんに……」
本当に非常事態じゃねーか!
「そ、そうだ! 松木! 松木の奴はどうしたんだよ! アイツ、一応顧問だろ!」
「ま、松木先生は文化祭は学生の領分だから教師は不介入だって……」
「メ、メチャクチャだろ……」
俺と環奈は、思わず茫然と立ち尽くす。
こ、これ、本当に文化祭できなくなるぞ!
「ですからお願いです! 今までのことは全て謝ります! 環奈さんにも、堀口センパイにも! で、ですから、ですからあ……!」
「うおっ!?」
佐山は泣きながら土下座し、環奈に戻って来てくれと懇願する。
はあ……しょうがない。
俺はスマホを取り出すと二通メッセージを打つ。
「……睦月ちゃん、それで今、どこまで作業は進んでるの?」
「か、環奈さん!」
環奈の言葉に、佐山は勢いよく顔を上げる。
「まーくん、その……ご、ごめん、今日はステラ……」
「はあ……で、俺は何すりゃいいんだ?」
「ま、まーくん!? だ、だけど……!」
「バカヤロウ」
俺は環奈の頭をガシガシと少し乱暴に撫でる。
「前も言っただろうが。お前がバイトすることを認める条件」
「あ……」
「とりあえずはハルさんには休むって今RINE打ったし、一人強力な助っ人頼んどいた」
「す、助っ人!?」
「おうよ。ってことで、早速やろうぜ。時間がもったいない」
「う、うん!」
てことで、急いで生徒会室に向かおうとしたんだけど……。
「……で、お前達はなんなの?」
「そりゃあ友達の環奈が困ってるんだから、アタシも手伝うわよ!」
「つーかさ、何か面白そうじゃね?」
「デュフフ……生徒会室というシチュエーション、萌えるでござるよ」
見ると、山川や佐々木、長岡をはじめ、クラスの連中まで一緒について来てやがる。
「私達、大して役に立たないかもしんないけどさ!」
「ああ、俺達にもやらせろよ!」
「大体うちのクラス、あとは前日に内装の準備するだけだしな!」
「みんな……」
感極まって泣きそうになる環奈の背中をポン、と叩く。
「ま、お前のこれまでの行いっつーか、人望ってことで」
「うん……うん……!」
さーて……それじゃ、一気に片づけちまうか!
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は今日の夜投稿予定です!
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